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【独自解説】「ニューヨーク州司法試験」小室圭さん再挑戦はー 膨大な問題量にマニアックな出題、言葉の壁…超過酷試験の裏側を合格者が解説
2022年2月25日 UP
アメリカ・ニューヨークでは、2月22日から司法試験が行われています。眞子さんと結婚した小室圭さんは、去年7月の試験で不合格となった後、法律事務所で働きながら、今回の試験に向けて準備を進めてきたものとみられています。小室さんと同じ試験を受け合格した日本人弁護士を取材したところ、その過酷な試験の舞台裏、そして合格の“秘策”の存在も、明らかになりました。
「二度と受けたくない…」過酷な試験内容
2021年にニューヨーク州の司法試験に合格し、現在は愛媛弁護士会に所属している村尾卓哉弁護士。日本では2009年に司法試験に合格し、翌年に弁護士登録されています。
村尾弁護士に、ニューヨーク州の司法試験を振り返ってどうだったか聞いてみると、「論文問題も選択問題も、時間がカツカツで、常に追い立てられているような気持ちで試験を受け、自信はあまりありませんでした。合格の一報を受けたときは、正直驚きました。あんな“しんどい”のは二度と受けたくないです」とのことでした。
そして、実際にニューヨーク州の弁護士資格を持つ国際弁護士・清原博さんにも、どのような試験だったか聞いてみると…
(清原弁護士)
「なんといってもニューヨーク州の司法試験の場合は、問題の量が多いので、試験時間中に解くのは極めて難しいです。アメリカ人の受験生も含めて、試験後に合格の自信がない人の方が多いようです」
Q.英語が堪能でもわからない法律の専門用語も出てきますか?
(清原弁護士)
「もちろん難しい専門用語も出てきますが、それは勉強していますから理解できます。ですが、試験の英文の量が膨大なので、それを読んで、理解して、そして問題を解くという作業を、試験時間内で全部するのは本当に至難の業です。なので、たとえ英語が堪能でも、日本の弁護士資格があっても、しっかり試験対策していないと、試験時間内にきちんとした答案は書けません。スピードが求められます」
Q.初日の試験に架空の州の架空の法律を解くというのがありますが、ニューヨーク州なのになぜ架空の州なんですか?
(清原弁護士)
「ニューヨーク州の試験なんですが、同じ日に全米50州で一斉に司法試験が行われています。そしてほかの州も同じ問題を解くので、ニューヨーク州の試験問題というわけではなく、全米共通の問題なんです」
初日はこの問題のほかに、実際の法律の知識や理解に加えて記述力が求められる論文があります。最初に架空の法律の論文が3時間、次に実際の法律の論文が3時間の、計6時間の試験になります。二日目は、憲法・民法・刑法など主要8科目に関する選択式の問題200問を、6時間で解く試験になります。400点満点で266点取れば合格です。
合格した村尾弁護士によると「初日の論文は、A4の用紙20ぺージを読んで回答するのですが、普段英語を使っている人にとっては、ここが“砂漠のオアシス”と言われ、得点が取れるところになります。一方で日本人の場合は、問題を読むだけで一苦労で、その上、英語で書かなくてはいけないので、時間が足らなくて冷汗をかいた」とのことです。
Q.英語圏の人には勝てないんでしょうか?
(清原弁護士)
「勝てないというか、日常生活で英語に親しんでいる人と同等に戦うのは難しいと思います。英語がネイティブの人は、斜め読みができるわけです。一語一語全部読まなくても、キーワードさえ追っていけば理解できるんです。しかし、日本人で英語にそんなに慣れていない人は、一語一語丁寧に読んでしまいます。そうするとそれだけ時間がかかって、不利になってしまいます。私の場合何度も訓練して、多少斜め読みのようなことができるようになりました」
村尾弁護士は「2日目の選択式の問題は、200問もあるので1問あたり1分48秒。設問によっては問題文が10行以上ありますので、とにかく焦りがちでした。ネイティブなら一問一問に時間を取られないでしょうが、それでも余裕のある試験ではないはずです」と言っていました。
Q.スピードを求められる理由はなんですか?
(清原弁護士)
「やはり、事務処理能力の高さを試していると思います。実際に弁護士の仕事量が多く、一つの仕事にじっくり時間をかけることが難しいので、たくさんの仕事をこなすには、スピードが求められます」
前回2021年の7月の試験は、コロナ禍のためオンライン試験でしたが、今回は実際の試験になっています。前回、受験生は自宅やホテルで受験して、専用ソフトに答えを打ち込んでいたのですが、受験の様子は常に録画されAIが感知していて、例えば目の動きがおかしい、変な動きをしている、などがあるとチェックが入りました。そして不正の有無は、試験委員会が最終判断をして、ここで不合格になることもありました。
2月受験はさらに狭き門 マニアックな出題も…
司法試験は、毎年2月と7月に行われるのですが、実はその合格率に差があると言います。2021年の場合、2月は合格率49%、そして小室さんが受けた7月は63%でした。村尾弁護士によると、「難易度や合格点が変わっているわけではないが、マニアックな分野から問題が出されるようだ」とのことです。
Q.“マニアック”というのはどういうことですか?
(清原弁護士)
「ロースクールを卒業したら、まず7月の試験を受けます。残念ながら7月に合格できなかった人が、翌年の2月に再受験になります。そのため、7月と似た問題ではなく、まだ出題されていない分野の問題になると、どうしてもマニアックな分野からの出題になるようです」
Q.7月に多くの人が合格するから、2月の方が合格率が高くなりそうですが?
(清原弁護士)
「7月に不合格になった人は、2月の試験までの間、多くの人が働くので、勉強に専念できないんです。勉強不足で2月の再受験になってしまいます」
村尾弁護士によると、なんと日本人受験生の間で受け継がれている、試験対策の本が存在するそうです。“日本人ノート”と呼ばれ、これがかなり実用的だということです。
Q.“日本人ノート”の存在はご存知でしたか?
(清原弁護士)
「噂には聞いたことがありますが、私が通っていたロースクールには日本人がほとんどいなかったので、手に入りませんでした。」
今回の試験結果は4月下旬に判明するということです。
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年2月23日放送)