過去の放送

#6004月4日(日) 10:25~放送
海の向こうのアーティストは今!?

 ついに放送600回を迎えた『グッと!地球便』。前回に続いて、「海の向こうのアーティストは今!?」と題した特別企画をおくる。ぐっさんこと山口智充がこれまでに登場したアーティストの今の姿を伝えるとともに、いよいよ13人のアーティストたちと世界を繋ぐ1曲だけのスペシャルライブを開催する。
 今回中継を結ぶのは、2013年に紹介したカナダ・トロントのフォーリーアーティスト、小山吾郎さん(当時39)。「フォーリーアーティスト」とは映画の音効技術者のことで、映画の創成期に足音や動作などに音を後付けして映画界に革命をもたらしたジャック・フォーリーの名に由来する。中学生の頃、映画「ロッキー」を見てハリウッド映画に夢中になった吾郎さんは、18歳で映画監督を目指してカナダの大学へ。そんな矢先、日本の父が病に倒れ視力を失ってしまう。いつかは自分の映画を撮って見せたいと思っていた吾郎さんは大きなショックを受けるが、その頃フォーリーアーティストという仕事を知り、「これをやれば親父にも伝わる」と即決。そしてフォーリーアーティストとなり18年。数々の大作を手掛け、2012年にはテレビ界のアカデミー賞といわれるエミー賞で音響効果賞を受賞した。取材から8年。吾郎さんはその後も「ブレードランナー2049」や「グレイテスト・ショーマン」など数々のヒット作に携わってきた。父は3年前に他界したが、「グレイテスト・ショーマン」は映画館まで足を運んで見に行ってくれたそうで、「『面白い音がいっぱい聞こえた』と言ってもらいうれしかった」と振り返る。中継では身の回りにある道具を使って、ある動作の音を再現。また吾郎さんのリクエストに応えて、ものまねが得意なぐっさんが夏の定番のあの音を伝授する!?
 続いて登場するのは、2012年に出会ったアルゼンチン・ブエノスアイレスのバンドネオン奏者、奥村友紀さん(当時34)。19世紀末にこの町で生まれたアルゼンチンタンゴに欠かせないのがバンドネオンという楽器。あまりにも演奏が難しいことから“悪魔が発明した楽器”ともいわれている。大学生の頃にバンドネオンを始めた友紀さんは、プロを目指して23歳で京都のタンゴ楽団に入団。しかし、なかなか芽が出ず悩む日々が続いた。それでも諦めきれず、本格的に修行をするためアルゼンチンに渡り、バンドネオンの巨匠であるカルロス・パソさんに弟子入り。3年間住み込みで特訓し、腕を磨いた。一方、日本の父とは大学生の時から絶縁状態に。父のある一言がきっかけで激怒した友紀さんが離縁状を叩きつけたというが、父はそのことをずっと後悔していたのだった。8年半後の現在も、友紀さんはアルゼンチンでバンドネオン奏者として活躍中。ブエノスアイレスの街角から中継し、哀愁ある音色をぐっさんに届ける。取材後、父とは関係を取り戻したというが、師匠のカルロスさんは2年前に他界。友紀さんはその意志を継ぎ、これからもバンドネオンを弾き続けるという。
 紆余曲折を乗り越え、コロナ禍の今も世界各地で奮闘するアーティストたち。今回、そんな彼らとぐっさんによるスペシャルプロジェクトを行うにあたって、ドイツで現代音楽の作曲家として活躍していた酒井健治さんに作曲を依頼した。現在は京都の母校で講師も務める健治さんは、『グッと!地球便』のために「前へ進む」をテーマにした曲「Tsubasa」を制作。コロナ禍で活動が制限される今、世界各国で奮闘する全ての人たちへ明るい未来を願って。13人のアーティストとぐっさんが国境もジャンルも超えて、「Tsubasa」のメロディを奏でる。