ヘッダー Space『日本語でなまらナイト〜しのざき教授の
なまらやさしい方言講座』
(著・柳川圭子、監修・しのざきこういち、
小学館:2006、10、10)
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監修の、しのざきこういち(篠崎晃一)先生は、東京女子大学の教授(方言学、社会言語学)。お会いしたことはないが、お名前は存じ上げている。著者の柳川圭子さんは、女子高生言葉の本を、以前出している(読みました)が、今回は「著者名」に名前が出てくるけど、そのほかに出てくるのは監修の篠崎先生。表紙は「著者、監修者」の順だが、奥付けは「監修、著者」の順。なんでだろ?
それはさておき、この本のタイトルは、当然NHKの番組「英語でシャベらナイト」をパロったものであろう。また、北海道弁の「なまら」と方言の「訛り」をかけている。が・・・本家の番組をあまり好きではないので、それをパロられてもなあ・・・。
内容は、方言に関するQ&Aが前半、後半は各都道府県別の代表的な方言や、その方言の傾向を、見開き2ページで解説。その都道府県出身の著名人(大体、タレントや歌手、芸能人。しかも若い人向け)も列挙している。ああ、あの人のしゃべり方かぁとわかって、これは良いと思う。
以下に気づいた点を挙げる。
38ページ、明治持時代に多くの外国人が日本にやってきて、犬(洋犬)のことを呼ぶ時に「Come」「Come on」と呼んでいるのを聞いた人たちが、外国では犬を「かめ」と言うんだと勘違いしてしまったそうですとあるが、私は「Come on」ではなく「Come here」を「カメや」と聞いたという説を読んだことがある。
次の39ページの5行目の「需用」は「需要」の誤植では?
66ページのトンボの呼び方は、古くは全国で「アケズ」と呼ばれていたと考えられるとあるが、トンボはさらに古くは「アキヅ」または「アキツ」ではないのか?秋津島の秋津。
76ページ「画鋲(東日本)」「押しピン(西日本)」とあるが、西日本でも「画鋲(=学校で使うもの)」「押しピン(つまむところが付いていて、コルクボードなどに刺すもの)」というふうな「意味の分化」が起こっていて、両方使われているようだ。
88ページ、京都・ならでは「いってらっしゃい、はよお帰り」とあるが、これは「お」を付けて「おはようお帰り」ではないか?京都・奈良だけではなく、大阪でも言う。
117ページ「いますぐ使える東京方言」の3つめ、太字の例文は「いつまでも金を返さないから、んぞる気かな?」とあるが、したの解説文では「んぞる」となっている。どっちが正しいのか?
120ページから121ページ、新潟県の佐渡では、「らち」という言葉がよく使われます、と書いてあったので、「ははあ、やっぱり北朝鮮の『拉致』問題のせいか」と思ったら、全然関係なかった。紛らわしい・・・。
139ページ、三重県の「いますぐ使える方言」に「机をつる」(持ち上げて運ぶ)を入れて欲しかった。
147ページ、「歩きもって(=歩きながら)」は兵庫県ですか?京都の人も言いませんか?
とまあ、こんなところだったが、各都道府県別の代表的な方言がわかって、大変勉強になった。


★★★★

(2006、9、27読了)

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