「湯灌師」
という職業がある。遺体をお湯で洗う仕事だ。もとはテレビ制作会社の社長だった著者が、バブルの崩壊で会社をつぶし、その後、生きた人間をお風呂に入れる「入浴サービス」の仕事から、亡くなった人間をお風呂に入れる「湯灌師」として独立。夫婦で10年間に4000体もの遺体の「お世話」をしたという体験をつづったもの。
文章は決してうまくはないが、「その道のプロ」が書いたものだけに、なかなか貴重な書だと言えるだろう。著者によると、
「『死体』は湯灌で初めて『ご遺体』になる」
のだそうだ。
この本は1ページにたった13行しかなく、全部で192ページ。表紙のカバーもベースが「白」、「ページの余白」と相まって、
「そこはかとない、あの世とこの世の境界感」
を抱かせる・・・と言うのは、言い過ぎか。 |
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