ヘッダー Space『ヒトのオスは飼わないの?』
(米原万里、文春文庫:2005、6、10)
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この5月にガンで亡くなった米原万里さん。この本はまだ読んでいなかった。
生涯独身であった(と思うのだが)米原さんが、犬やネコをたくさん飼っていた。それも血統書付きとか、そういうのじゃなくて、捨て猫や捨て犬ばかり。それだけ動物に愛情が注げるのであれば、なぜヒトにも愛情を注いで、結婚するとか子どもを産むとかしなかったのか。それは、ハタからもしばしば問われる疑問であり、米原さん自身にとっても疑問であったのだろう。だからタイトルが「ヒトのオスは飼わないの?」なのである。
私はこの年になってようやくネコや犬がかわいいと思えるようになって、触れ合えるようになってきたが、これまでは動物全般が苦手であったので、動物を飼ったことがない(飼えるような住まい=一軒家に住んでこなかったこともあるが)ので、米原さんの可愛がりようは、はっきり言ってまだよくわからない。しかし、
「自分の子どものようなものなのだろうな・・・」(この「・・・」は阿刀田高ふう)
という想像は出来る。愛犬家、愛猫家の方には必毒・・・もとい、必読の書であろう。
巻末の「シモネッタ・ドッジ」ことイタリア語通訳の田丸公美子さんの「解説」も必読。
それにしても本当に惜しい人を、若くして(私よりは年上だが)亡くした。悲しい。合掌。

★★★★
(2006、7、4読了)
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