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『この国の失敗の本質』
(柳田邦男、講談社:1998、12、4)
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1998年に買って、読みかけでほったらかしになっていた一冊。内容が濃いので、なかなか読み進めなかったのが、その原因デス・・・。
こういう本が出るということは、1998年には「日本という国は90年代、バブルの崩壊とともに『失われた10年』に陥った。つまり失敗したのだ。」という考えが元になっている。
確かに失敗だったのだが、日本という国はそういった失敗を繰り返すことで賢くなっていくかと言うと、そんなことはなく、世代が変わるとともに失敗の歴史に学ぶことなく同じ轍を踏むことの繰り返し・・・。「この国」の本質は・・・それは「ゼロ戦コンセプトの成功と失敗」に端的に表れていると思う。
この本のタイトルは、司馬遼太郎の『この国のかたち』を思い出させるが、「この国」と言うと、とても「他人事」感が漂う。そう言っている自分は「この国」の住人ではないような無責任な感じで、第三者の物言いのように感じる。柳田も「この国」を見限ってしまったのか?司馬遼太郎は「あの世」に行ってしまったから、今や「この国」でよいと思うが。
この本を読んでいる時に、ちょうど政府与党の委員会での「愛国心」論議があったので、それを受けて『「わが国」か「この国」か』という話がアナウンス部内で出た。私は最近、「この国」という表現に”胡散臭さ”のようなものを感じる。(司馬遼太郎の本が出たときは、「この国」という表現は新鮮だったのだが・・・。)

★★★
(2006、4、15読了)
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