タイトルを一見すると筑紫哲也とNEWS23(TBS)を賛美するファンの書のようであるが、実はこれは、まったくその逆で「ほめ殺し」の書である。ただ、誹謗中傷を書いただけの本であれば、さすがに文春新書からは出さないであろう。相当のインテリジェンスを持って、筑紫と23のこれまで進んできた道が、如何におかしいかと言うことを、本当に重箱の隅をつつくように例証を挙げ、あげつらった書である。途中で、「もう、ええやろ・・・」と、さすがの私でも思わないでもないぐらい。
なにせ著者は「筑紫哲也と共に生きてて、もう四年になる」と言うぐらい、筑紫とNEWS23をつぶさに観察し続けたのだから。観察すればするほど、言行不一致、自分に甘く他人に厳しい筑紫という人の「にんげん」が見えてくる・・・って、そんなに筑紫哲也を見たいとは思わないのだが。
あの人は「TBSは死んだ」と宣言した時に辞めなければならなかった。そうでなければTBSとともに死んでしまうことになる。新しく生きるためには、一旦は辞めなければならなかったはずだ。しかし、辞めなかった。辞める判断が出来なかったということで、「そういう人なのね・・・」と、その時点でみんなわかったのではないか、四年も観察しなくても。「多事争論」にしても、もう何をつぶやいているのかよくわからないし、何の迫力もないのはみんな、わかっているのではないか。それをこれほどまでに拘らなくてもいいじゃないか・・・・。でも世の中の高齢化が進む中では、そういうふうには思わずに、同世代の「希望の星」として見ている人も多いのかもしれない。
皮肉屋にとってはおもしろい本だが、帯にあるように「完膚なきまでに笑おう!」という気持ちにはなれなかった・・・。
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