2004年の12月に出た本なので、買ってから読むまでの1年ほど経ったが、全然古びていなくて、タイミング的にもちょうど読むのによかったかなと思った。アメリカが危険部位を日本に輸出していたことがわかって、再びアメリカ産牛肉の輸入が停止された時だったので。いろいろとためになることが書かれていた。BSEに関する知識がと言うよりは、そのもっと文化的な背景という意味で。たとえば、
「BSEもスピード化によって生まれた。」
「進化すなわち変異と選択には、時間がかかる。」
「経済的な加速は、病原体の進化をも加速しているのだ」
「加速には余分なエネルギーが必要で、環境のどこかでそれ以上のエネルギーが失われている。一方、加速したことによって出現した効率は、環境のどこかでそれ以上のつけを払わなければならない、という単純な原則である。(エネルギーとエントロピーの法則)」
「私たちが現在、悩まされている病禍は、まさに環境からの報復作用」
つまり、経済至上主義を徹底するとどうなるか、自然が私たちに教えてくれているのがBSEという病なのである、と。
それに対して医学的レベルで封じ込めようとか対処を考えていても、結局はイタチごっこなのではないか。人類、特に先進国の人間に対して「人類としての生き方を考えなさい」と神様が警告しているのがBSEなのではないか。この本を読んでいたら、そんなことを考えさせられた。
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