「傑作小噺のやり口は、詐欺の手口にソックリだ」と、まず米原さんは看破してこの本は始まります。「悲劇も喜劇も紙一重」「動物と子どもには勝てない」「木を見てから森を見せる」「権威は笑いの放牧場」など、具体的な小噺・笑い話、アネクドートなどを分析していく。
最後まで笑いながら読んで、あとがきにたどり着くと、そこには現在の米原さんの「体調」が記されていた。2003年に20年間介護してきたお母さんが死去、それと期を同じくして悪性の卵巣嚢(のう)腫の摘出手術を受け、生きる意欲・執筆意欲が最低になり、その上、術語1年4か月経った頃に癌の左鼠径部(そけいぶ)リンパ節への転移が判明したとのこと・・・。命を削って「笑い」について分析した、本書はそういう書物である。
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