• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民187人目
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  • 2013.05.23

 今週のアニ民は小学館マルチメディア局クロスメディア事業センター チーフプロデューサー・久保雅一(まさかず)さんです。実は会社人歴は僕と同じ、すなわち同時期入社となる久保さんを、ここではいつものようにくぼちゃん、と呼ばせてもらいます。

 くぼちゃんと初めて出会ったのはおそらく1985年秋、僕がアニメ「ロボタン」のパブリシティのため小学館の学習雑誌の編集部に出入りした時だったと思います。その当時は「めばえ」「よいこ」から学年誌と呼ばれる「小学1年生」~「小学6年生」まで、アニメを取り上げてもらえたら最強な雑誌群がそろっていました。くぼちゃんは「てれびくん」の編集担当、お互い入社3年目、そろそろ一旗あげてやろう、そんな事を思っていた時期だったかもしれません。

 でも実際くぼちゃんといろいろ話したのはその編集部ではなく、歌舞伎町・風林会館近くのお店Kだったように思います。この店、スナックとでも言えばいいのかカウンターメインで、妙な源氏名を名乗るおねーさま様二人の印象がすべてという記憶。まだお互い20代独身で、だからというわけではないのですが、なんとなくアウトローを気取ってしまう、その店でのそんな飲み方や立ち居振る舞いが好感触として残ってます。

 その後僕がビッグコミックスピリッツ連載浦沢直樹先生原作「YAWARA!」を手掛けるあたりからくぼちゃんは僕の前に姿を見せなくなります。というより「コロコロコミック」という「少年サンデー」とは別なラインの確立に没頭していったのでしょう。現在年二回開催されている超ビッグイベント「次世代ワールドホビーフェア」の前身が確か「田宮模型」のミニ四駆ものだったと思うのですが、そのイベントを育てながら、子供に対しての徹底的なマーケティング研究をしていきました。

 そして到達したのがあの爆発的な「ポケットモンスター」です。まだ20世紀の頃から、映画の特報などで大きく“エグゼクティブ・プロデューサー久保雅一”の文字を見るたびに同期人としての誇りと、大きく先を越されてるなあ的な羨望を感じたものでした。でもそれは羨望というよりやはり尊敬に値するとすぐ気がつきます。先に述べた徹底的なマーケ手法を完全にものにし、各地のコンベンションで熱く講演するくぼちゃんを見るからです。その講演手法も今なら当たり前なパソコン駆使したデータ解析を、その研究よろしく当時から披露していたのがずいぶんまぶしく見えたものです。

 一時期ゴルフに凝って、当時僕もすこーし調子が良いこともあって“永久スクラッチ”なんて同じコンペで競争してたことが何度もありました。マルチメディア局が主催者である大きなコンペは、表彰パーティーも非常に楽しく、リーダーであるくぼちゃんのキャラクターが踊っていたものです。何度か連れてってくれた、大学の同級生が経営する小さなお店Jにも感謝するしその存在がうらやましい。

 そんなくぼちゃんがいろんな戦歴を引っ提げて、アニメの映画&TVシリーズを小学館で担当するクロスメディア事業センター・チーフプロデューサーとして、再び僕の近くに着任してくれました。小学館の映像部門の責任者となったわけです。なので映画の完成披露試写会や初日などくぼちゃんに会える機会が増えました。そしてその際にお互いにかわす何か一言が、実は妙に楽しみだったりします。別に会社も違うし張り合う要素も何もないのですが、僕にとってくぼちゃんがライバル、って思ってるのでしょう。まあ東京(=くぼちゃん)vs大阪(=僕)な力量バランスがいいトコでしょうが。

 お互い入社30年を越えちゃいましたね。なんとなく達観した感ある年齢になっていますが、その内に秘める炎は健在!なんちゃって。これまで歩いてきた道をじっくり振り返りながら踏みしめながら、そしてさらに前向いて前進あるのみだよね。