• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民182人目
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  • 2013.04.11

 今週のアニ民は僕と一緒にTVシリーズ「名探偵コナン」ではチーフプロデューサー、映画ではプロデューサーのクレジットされているトムスエンタテインメントの石山桂一さんです。僕より一回り以上も若い世代の石山さんと初めて会ったのはコナン始まってすぐだったと思います。それからの活躍でTMS社内でも若きリーダーとして着々と成長したのですが…。

 世代交代も含めた会社の方針とはいえ、コナンスタート当時からずっと一緒にやって来た吉岡CPを急に引き継ぐことになった石山さん。もちろん僕も驚いたし困惑したけど、もっと驚き悩んだのは石山さん自身であることは間違いありません。若返ったのは確かでも、大先輩の歩んできた道をそのままその先へ行くことの難しさを、制作経験者なら良くわかってるはずですよね。

 とにかくここ数年、映画担当プロデューサーとして見事な辣腕をふるってくれてます。ちなみに経験豊富世代の僕も石山さんの横で、作品にとってMAX出来るだけのフォローをしてますし、何よりTVシリーズの山川PはじめTMSの若手後輩たちのがんばりもあって、コナンはTVも映画も時代に応じて見事に成長できていますし進行形でもあります。

 石山さんの映画制作の仕事は制作会社として背負うそれこそ制作全般にわたります。シナリオ開発はもちろん、絵コンテから作画音響すべて、それこそ作品の津々浦々に至ります。今回の映画で言えば、作画のための美術ロケハンなどにおける防衛省側との交渉や、コナン側防衛省側の作品内における希望事や禁止事項の調整も主に石山さんの範疇になります。

 作品が完成に近づくにつれそれらの多くの仕事は、どんどん時間との戦いがメインになってくるのですが、最後の壁を乗り越えるような追い込み作業をどこまで成し遂げられるのか、がプロデューサーとしての本懐とも言えるのではないでしょうか。もちろん僕も自分の持分作業はヒーヒー言いながらもがんばっているのですが。お互いそれぞれの作業が作品を支えるチームワークとなり、そのセンターに位置するのはやはり監督に一番近い制作会社のプロデューサーと言っていいでしょう。

 人の意見を聞いて「あ、そうですよね、そうですよね」とフォロー相槌を打ちながらいつの間にか自分のペースのレールに引き込んでいける石山さん。そのプロデュース力は一言で言えば“しなやか”とか“柔らかい”という感じでしょうか。おそらく相当追い詰められてるのにハタから見てもそうは見えない感じは、いつ見ても飄飄とした静野監督と同じタイプみたいですね。

 石山さんはどう見てもプライベートなどを犠牲にした仕事ぶりですが、どうかそちら側はせいいっぱい大切にした上で、これからも前向きに上向きに「名探偵コナン」を楽しんでいきましょうね。僕らと一緒に、映画とTVシリーズに東京ムービー時代から延々続く、歴史あるTMS制作パワーをより激しくぶつけていきましょう!