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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民181人目
- 2013.04.04
今週のアニ民は「名探偵コナン」音響効果担当の横山亜紀さんです。ここではいつものように亜紀ちゃんと呼ばせてもらいます。
このアニ民でも紹介しました横山正和さん(アニ民34)は実父。なので音響効果技師としての仕事は、公私の隔てなく勉強してきたと言えますね。「名探偵コナン」のスタート当初からずっとお父さんにお仕事をしてもらってきたのですが、いつの頃からかミキサー卓の横に亜紀ちゃんが座っていました。
初めてのお仕事はやはり「名探偵コナン」、2001年ごろのTVシリーズだそうです。師匠であるお父さんの横で鍛えられて、それから数年でTVシリーズでは毎週メインで効果作業をしてもらうようになりました。アフレコと時間も異なるダビング作業なので、あまり僕とは時間が重ならず、映画の時以外はほとんど会えなかったりしますが、その仕事ぶりは音を経て毎週しっかり伝わってきています。
もともと音楽に興味があり音響の専門学校に通ったほどなのに、音効の仕事は本当はあまりやりたくなかったそうです。実はお父さんのあまりの忙しい様子に思わず助け舟を出したのがこの仕事の始まりだとか。まあ、血は争えないってやつですね。
それにしても監督から出る指示をひとつひとつ聞きながら、そのシーンに最適な最高な効果を細かく入れ込んでいく作業には、横で見ていてじんわりアタマが下がります。あまり詳しくは書けませんが、今回の映画で言えば、例えば蘭のアクションのシーンもそんな細かい要素の集合体。二つのパソモニターを見ながらそれぞれのトラックに的確に音をはめていく。そのシーンが出来上がるごとに何か一つ完成していく嬉しさはあるのですが、それって実は数秒のことで、約110分の作品の長さを考えてしまうと、途方もないとしか言いようがありません。写真は作業中の亜紀ちゃんです。
さらに言うと昔は音声種類は8トラックまでみたいな限界があったそうなんですが、今は無限に重ねられるそうです。つまりリアルな音環境にこだわったら幾重にも重ねてしまえてキリがない。でも実はこんな音も入ってたんだよ、って2度見て気づいて驚くなんて芸当も出来るというわけです。今回もそんなシーンがちゃんとありますよ。
あともう一つ、亜紀ちゃん曰く、今回のメインゲスト謎の女性自衛官・藤井七海の足音は自分のヒールで作った、そうです。これもホントはいろいろ細かく説明したいトコロです。とにかくこれから映画をご覧になるみなさん、そんなコトを知って観れるのもちょっとプラスかもですよ。
劇場の音作業で面白いのは音が自由に振れることだそうです。ヘリの音とか船の移動とか、画面上で左右だけではなく前後に移動するのも、実はパソコン上で思いのまま。擬音で見事な効果を作り出していたアナログ音マジックの時代から、それも込みでパソコン上での作業も含めて、効果技師の活躍エリアはどんどん増加してるというわけですね。
毎年恒例のコナンスタッフ旅行にはスタッフとして常連、というよりもう座長・高山みなみさんの横に控える副座長的存在な亜紀ちゃん。女性同士ということもあるとは思いますが、みなみちゃんとの愉快なコンビネーションにはもう付け入るスキがございません。少し色黒でいつも丸い笑顔の奥に、音効を突き詰める根性がにじみ出ている亜紀ちゃん。旅行の時にも進んで面白さを開拓して行くポジティブな精神で、これからも「名探偵コナン」の音世界をよろしくお願いいたしますね。