• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民180人目
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  • 2013.03.28

 今週は映画「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」監督の静野孔文さんです。僕が静野さんと初めて出会ったのは映画「名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)」を手がけ始める頃です。普通、監督候補と初めて会うのは当人一人となんですが、静野さんは所属事務所kry社長と二人で面接。

 映画コナンは1から7作目までこだま兼嗣監督、8作目から14作目までは山本泰一郎監督の元でそれぞれ名作傑作を生み出してきました。当時の相棒プロデューサー吉岡さん(アニ民27 )と相談し、このタイミングで年に1本の映画でこそチャレンジブルにいこうと監督の若返りを図ったのであります。別に7作づつで区切ってきたわけではありません。

 そうしてまず会ったのが冒頭の静野さん。まだ30代で見た目も若いのに妙に落ち着いたイメージ。社長と二人での面接はちょっと変わってましたが、要所は抑えながらも、アニメ監督としては意外に物静かなイメージが妙に印象に残り、その後他の候補を探して会うことはしませんでした。まずは山本泰一郎さんを総監督にお願いして、監督に静野さんを据えて映画のコナンチームはまた新たな航海に出ることになります。でもよくよく聞いてみるとTVシリーズコナンの演出で何度かお世話になっていたりしてたんですよね。

 本格的に作品に入ってもらう前に、偶然に新宿3丁目のお店Eで出会ったのも思い出ですね。ここでも物静かな飲み方をする静野さんに好感を持ったことを覚えています。そしてそのタイミングで出会えちゃう縁にも感謝ですよね。

 そうして制作に没頭してもらった映画「沈黙の15分」は、しかし大きな荒波にさらされることになります。2011年3月11日の東日本大震災です。映画公開予定の1ヶ月前という時期でした。灯りが消えてしまったような節電や節制生活はもちろん、各地区に振り分けられた計画停電が実際のアニメ制作進行に支障をきたします。監督の裁量による若干の内容変更も、初めての作品に取り組む静野さんをかなり苦しめたに違いありません。

 復興を期する人たちやコナンを応援してくれるみなさまのおかげもあって、山本総監督・静野監督を頂点とするコナンスタッフチームは総力で作品を何とか完成させ公開、大ヒットすることになります。面白さを貪欲に追求しミステリーエンターテイメントを掘り下げる「 沈黙の15分(クォーター)」は、震災後の空気に対して一役買えたと信じています。

 Jリーグと完全タイアップした「11人目のストライカー」もその絵作りやアクションシーンなどに高評価を得て、これもおかげさまで大ヒット。満を持しての3作目が防衛省海上自衛隊全面協力の「絶海の探偵(プライベート・アイ)」。ここ3作をみていて思うのは静野さんは“持ってる監督”ということ。最新作はミラクルな面白さで超おススメ!斬新な発想の映像表現を今回も大きく期待してもらって大丈夫であります。舞台がずっとイージス艦上での物語を、さてどんな風に巧みに紡いでくれるのか、みなさんだけでなく僕もワクワクしているんです。

 とにかく今の僕の願いは、映画制作がひと段落ついたら久しぶりに二人で新宿にくり出したい。まずはそれまであと少しになっている厳しい制作作業をキチンと終わらせなくちゃです。4月7日放送の「スワラジ」のゲスト予定になってる静野監督。さてその頃はどんな精神状態でお話しできるでしょうかね、お互いに。