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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民14人目
- 2009.11.12
みなさん、長寿アニメと言えばどんな作品を思い出されますか?「サザエさん」「ドラえもん」「それいけアンパンマン!」「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」が現在の上位6作品と思われます。この中でサザエとまる子を除く4作品に共通することは何でしょう?それは音響制作会社「オーディオ・プランニング・ユー」通称APUです。
今回のアニ民はそのAPU社長・浦上靖夫さんです。僕にとって音響監督・浦上さんほど強く長くしかも継続してお世話になっている人はいないかもしれません。音響監督こそは一部別のスタッフにお願いしていたりしますが、ご一緒いただいた作品を挙げていきますと「シティーハンター」「YAWARA!」「魔法騎士レイアース」「名探偵コナン」「ガンバリスト駿!」「ブラック・ジャック」となります。当然のように3月放送した「ルパン3世VS名探偵コナン」も担当してもらいました。
虫プロ時代からの超ベテランでありながら、その音響センスは自由自在。スタンダードを大切にしながらも、時代を流行を超えた感覚が光ります。演出に対してのもの静かな語り口は説得力があります。そして「シティーハンター」の音楽や挿入歌の大胆な使い方には何度も驚かされましたし、実はここ数年担当してもらってます「名探偵コナン」、音楽とミステリードラマの緻密な耳あたり?は力強く作品を支えてくれてる大きな要素だと思います。
浦上さんとのお話も本当にいっぱいあるのですが、一つだけとなると“昭和最後の日ゴルフ”でしょうか。実は浦上さんは僕のゴルフの師匠です。20年以上たってもあまり変わらない悲しい弟子ですみませんが、昭和64年1月7日は記憶に残ってますよね。メンバーは数週前にここに登場した植田益朗さんに声優・麻上洋子さん。真冬と言うのにものすごく天気が良く暖かく、プレー途中の茶店で「元号を平成とする」という当時の小渕官房長官の放送を聞きました。まだ携帯電話はなくて浦上さんの車には当時でも珍しい、ショルダーバッグのような自動車電話が登載されてた頃です。スコアは残念なものでしたが、その日の天気と日本国中の物悲しさがしっかり対照として感じられ、時間を空気を同時に体験した者同士が持つ感覚を共有できたことは忘れられません。
ひとつ選んだのがゴルフですみません。でも仕事の方こそ師匠であり技や恩を感じる出来事の連発で、プロデューサーとして音楽音響周り作業が、少しでもやりやすい環境作りをと思うものの、なかなかそうはなっていないのが現実です。数年前に大病されたにもかかわらず、本当に驚異の回復力で現場を支えてくれる、その背中を見て育つことが僕らの使命でしょう。これからもその芸術的な作品演出をじっくり見せていってくださいね。