『アニメ村のステキな住民たち』アニ民15人目

　今週の住民はシンエイ動画会長・楠部三吉郎さんです。

　「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」といえば某局で放送されている長寿アニメですね。これらの作品に加えて「あたしんち」そして「バカ姉弟」などを制作しているのが、東京都は田無にあるシンエイ動画です。まわりから“三ちゃん”と呼ばれる楠部さんは、お兄さんである故楠部大吉郎さんとともにずっとこの老舗制作会社を支えてこられました。

　20年を越えるお付き合いの中で唯一のお仕事はTVアニメ「美味しんぼ」の番組販売がらみでした。それ以上にずっと多くある接点は、たとえば数多くのアニメ制作会社などで組織されてる日本動画連盟（現・日本動画協会）と在阪TV局との懇親交流会です。まだアニメの世界に慣れていないころからそんな場所でいろんな形で声をかけていただき、アニメの営業的側面から企画の拡大の仕方などを教えてもらった気がします。

　一番覚えているのがその会が大阪で開かれた後、その日東京へ帰る予定だったのが突然楠部さんに誘われ、半ば強引にお食事へ。そして自分の本拠地でもあった大阪の地で、僕よりよっぽど街を知っている楠部さんに感動。その夜はなんと楠部さんの友人の家に泊めてもらってしまうという始末。ホント一緒にいても先の展開がよめない人です。

　一緒に飲食をしていてもそのパワーが、いわゆるハメをはずす、に近く見えることもありますが、気がつくと楠部さんの目は周りによく配られており、調子に乗ってたこっちの身が引き締まることも…。視野が広いというか経験が豊富というか、とにかくどんな場所でのスピーチも笑いと含蓄に富んで飽きさせません。もっとも今はもっぱら乾杯の音頭をお願いされることが多いですよね。やはりこの業界の仲間も、楠部さん自身になんだか目出度いイメージを感じてるからでしょうか。

　ゴルフでも「もう歳だから」と言いながらもここ一番、という時のショットは100％目を見張るものを見せます。そんな楠部さんの、長寿番組の代表としてゴールデンタイムの金曜19時枠の2階建ての両番組を継続するパワーは、本当に想像を超えるものですよね。残念ながらYTVは月曜19時アニメを引越ししてしまいました。でもそんな今でも面白いもの家族みんなで楽しめるものを目指し、劇場作品とともに存続している両作品の、明るい陣頭指揮者としてこれからもどうかがんばってください。もちろんわれわれ部外者もいろんな面で一緒に率いていってくださいね。