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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民25人目
- 2010.01.28
今週はシナリオライター・隅沢克之さんです。
そういえば、「犬夜叉」シリーズになくてはならない脚本家・隅沢さんとの出会いは残念ながらステキなものではなかったですね。何度かお話しているのですが、東京ドーム前水道橋駅への横断歩道ですれ違った印象がよくなかったのです。もう20年くらい前のことですが、あの時はお互い何があったんでしょうね。逆にそんなことを今でも覚えているということが、最初から僕と隅沢さんの間にあった何かかもしれません。
なのでサンライズ富岡Pから「犬夜叉」のライターに隅沢さんの名前を聞いた時、少し身体が身構えたように思いました。でも実際にシナリオの打ち合わせを始めてみると…、なんなんでしょう、あの感覚。炎天下の氷像のようにつまらないわだかまりが解けていったのです。ものつくりに好き嫌いなど関係ないことは当然ですが、面白いものを追求する姿に好き嫌いなんて入る余地はありません。というかそこの時間を共有していくことが文字通りかけがえのないものになっていきました。
隅沢さんとの仕事で一番印象深いのは「ブラック・ジャック21」です。手塚眞監督の下、あの偉大な手塚治虫先生の作品に真っ向から挑み、まさに志は“新しいブラック・ジャックを作ってやる”気合に満ち満ちていました。それでそのチーフライターをそれまでのシリーズに参加してなかった隅沢さんにお願いしたのです。あのシナリオつくりもまさにかけがえのない時間でした。ただでさえ、究極の名作BJを手がけてるBJに触れている、というプレッシャーがあるのに、その上で21世紀に通じる新たなBJを作ろうというのですから、もう何もかもが“おこがましい”作業でしたね。
今全17話がDVD BOXで販売されてますが、手塚監督、久保田P、隅沢さんたちとともに僕にとっても見事な新BJができたと思います。もうこれはわれわれの言わば“青春の勲章”だ、なんて堂々と発言したいくらいです…言ってるか。もし機会があればぜひご覧いただけることをオススメします。
で、「犬夜叉 完結編」では全26話のうち25話を書き上げるという偉業を成しあげた隅沢さん。イタリア旅行のあと見事にイタリアワインにはまり、その造詣を順調に深めていってる隅沢さん。お互いいろいろなことを乗り越えて、同じ時間をたくさん共有していきましょうね。どうしても脚本家は孤独な作業になりがちですが、いつでもすぐ横にわれわれ仲間がいっぱいいます。で、次は何をでっかくやりましょうか。