• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民35人目
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  • 2010.04.08

 今週は「名探偵コナン」音響効果・横山正和さんです。

 前々回の日記で映画のダビングのお話をしたけど、そのダビングで言わば作業の中心となるのが音効の横山さん。音響監督・浦上さんの指示のもと、音楽・大野さんと音の両輪となる効果音を入れていくのが横山さんのお仕事です。なんて簡単に言っちゃってますが、これが本当に細かく究極にすごい作業であります。

 横山さんと初めてお会いしたのは「名探偵コナン」なのですが、それ以前からTMSやサンライズなどの作品をものすごくたくさん手がけていらっしゃる超ベテラン。それだけにコナンの世界をどう作り上げてもらえるか、興味津々でした。コナンはアニメーションにして緻密なミステリードラマの世界。つまりリアリティを追求するところが大切なんですが、音効が見事にそこを支えているんですね。しかしよくそこだけを聞いていないとなかなか気付かないのですが、そこが効果の技術でしょう。

 例えば喫茶店で聞こえてる喧騒、そのノイズがその店の大きささえも表現したりします。そこに重なる携帯電話着信音。すべての効果音がこの世界に見事なリアリティを与えています。さらにTVモニターなどいろいろな家電が大きく進歩して、視聴者の耳も肥えてきているので、効果音のクオリティを保持していくのもタイヘンな時代ですよね。

 実はダビング時、われわれが聴く段階ではピッタリの効果音がついてきてますが、その時までに横山さんによって事前にしっかり仕込まれているんです。特に映画などではその音の種類や数ってすごい量なので、音探しから始まってそれまでにかけている手間や時間を考えるとぞっとします。それに実際にある音をつけることより、それらしい音を見つけたり作ったりすることが多いそうで、その想像力と創造力には本当に敬服いたします。

 で、映画「天空の難破船」での見どころ、じゃなくて聴きどころは飛行船の音だそうです。実際に乗船して採取した音は、過去の映画などを参考にしてもちょっと今回の映像には合わなかったので、今回の音に行き着くまでにかなりの試行錯誤を繰り返したそうです。観ている僕らは横山さんの作り出した音で飛行船フライトを体験することになるんですね。

 今は連名でクレジットされている、横山亜紀さんというステキな頼もしい後継者も育てて、ますますその仕事の幅が広がっている横山さん。リアリティやファンタジーなどの作品世界観はもちろん、その先の先を表現していく音響世界をこれからもいっぱい僕たちに聴かせていってくださいね。