• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民36人目
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  • 2010.04.15

 今週は「名探偵コナン」小嶋元太役・声優の高木渉さんです。

 アニメから洋画の吹き替え、そして舞台と思い切り活躍の場を広げている高木さんですが、ここではいつものように“わたる”と呼ばせてもらいます。ぼくがわたると初めて出会ったのは新宿歌舞伎町の居酒屋Oでしたね。あれは1995年8月ごろ、東京ムービーの吉岡Pが「コナンに勧めたい役者がいるので紹介する」と連れてきてくれました。一見まじめそうな容貌ですが、ひょうきんなおしゃべりの中に飄々とした余裕みたいなものを感じたのを覚えています。

 コナンのオーディションにも元太で見事合格、その後のコナンでの活躍はみなさんの知るところですが、まずは高木ワタル刑事役を文字通り自らの本人名で生み出したことは有名です。初期から姿を見せている無名の刑事たちにも役名が必要になった時に、即座に自分の名前を主張したのです。千葉一伸さんの千葉刑事も同じタイミングでした。ちなみに元太と高木刑事が掛け合いするところは、元太から高木に演じ分けるより、高木から元太に変わる方がやりやすいって言ってましたね。

 声優としてはもちろんですが、それ以上に僕がわたるにコナン制作に関わってもらってると感じているのが「ネクストコナンズヒント」、みなさん見てくれてますよね、番組のラスト10秒のあのコーナーであります。1話から登場しているこのコーナーのまずタイトルコールですが、スタジオ内の勢いでわたるが「ネクストコナンズヒント!」と発声し出したのがはじまり。そして毎回いろんなバリエーションで表現してくれた5秒のヒントの後に“エンド”と呼んでいるコミカルな5秒があって、ここがまた別の戦いの場と化します。わずかの時間に面白みを出そうとこちらが用意する原稿を、わたるやみなみちゃんがそのまま読んで…くれるはずがありません。とくにわたるは自分が演じるためにも、そこにこちらの原稿以上のものを、時には全く違うネタを仕掛けようとしてきます。毎回いくつかのパターンを試していて一応最後の決定権はこちらにありますが、この5秒に対するテンションにはしばしばアタマが下がります。

 わたるの熱心な舞台活動も有名ですね。所属している劇団「あかぺら倶楽部」の公演をはじめ、いったい1年に何度舞台に立っているのでしょうか。そのエネルギーは想像以上です。今回は4月21日から25日まで東京新宿のシアターサンモールで関智一さんと「電波ヒーロー〜夢みるチカラ〜FINAL」を公演するそうです。主演の2人をダブルキャストで関さんとお互い入れ替えて両方の役をやる、ってそれってセリフが単純に倍になる強烈なハードワークになってるじゃん。

 あれはもう何年前になりますか。毎年どこかで初日の出を見る事にしている僕が、ひょんなことから大晦日にわたるを誘ったら出てきてくれて。あの一緒に焚き火を囲んだ時の風景やその後のファミレス初食事は忘れられません。そんな年に限って曇ってしまって日の出が見えなかったことはご愛嬌ですが、そんな年もいろんな年もそしてこれからもいっぱい重ねて飲んで仕事して、公私共に「名探偵コナン」とこの業界にエネルギーを注入し続けていってくださいね。