• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民41人目
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  • 2010.05.20

 今回はカナダ出身のアニソン歌手HIMEKAさんです。

 僕にとって業界における恩人友人を紹介するこのコーナーに異色な人物が登場!ですが、実はご本人とお話したのはまだ2回しかありません。それでも僕は彼女を通してアニメ業界の明日を感じたのでここで書かせていただきます。

 ’青い目のアニソン歌手’などと呼ばれていた彼女は有名で、その情報はかなり前から耳にしていました。でもその歌と姿を初めて体験したのは3月20日TAFでの表彰式会場でした。司会者が紹介すると真っ白なドレスに身を包んだHIMEKAが静かに登場、そしてその歌った1曲目が僕に縁がある「ゆずれない願い」(魔法騎士レイアース主題歌)でした。公募作品などのコンペティションが行なわれる舞台の、厳粛で厳格な空気を大風で吹きかえるがごとくリンとした存在、華やかでそれでいてピンと張り詰めたものを感じさせる歌声は会場の誰をも魅了していました。

 功労賞の審査員として舞台近く正面に座っていた僕は、なぜかこの人にはちゃんとお話したい、と思ってすべての進行を終えてからスタッフにアポイントをお願いしたのですが、その時にはもう移動されて会えずじまい。しかしそのチャンスはすぐにやってきました。コンテンツプロデューサーとして活躍する友人・櫻井さんがHIMEKAさんをつないでくれて、「名探偵コナン」アフレコ見学をしたいと言われたのです。

 日本のアニメ大好きな彼女ですがとりわけ「スレイヤーズ」を演じていた林原めぐみさんの大ファンで、本人にもお伝えして4月中旬にお2人を会わせることが出来ました。その際コナンのアフレコも見学してもらって、日本のアニメ作りのさらなる一端を感じてもらえたようです。でも僕はそのロビーでの会話ではぜんぜん物足りなく、お願いしてもう一度席を設けていただき、先週新宿Cという店で食事しながらお話しすることが出来たのです。

 同席してくれたのは櫻井さんとマネージャーのアースリーナイン・本田さん。(冒頭の写真は左からスワッチ、HIMEKAさん、本田さん、櫻井さん)カナダケベック州出身のHIMEKAさんは肉と魚が苦手、チーズと野菜は大好きで、なんとこの時代にやわらかいものがダメだそうです。意外に硬派?ですよね。GWに200人キャパの会場で8曲を歌ったライブとトークはかなり大変だったそうですが、本田さんからみてかなりストイックな準備をしてたそうで、自分にプレッシャーをかけていけるタイプのようですね。そりゃそうでしょ、自分の意思でただ好きなコトだけのために海を渡って来た人なのですから。

 HIMEKA、とは小さいころから空想していたキャラクターの名前で、理想の自分だそうです。来日して2年2ヶ月、300曲以上のアニソンを歌えるというHIMEKAさんの今のテーマは’もっと強くなる’。まさに今のアニメ業界にこそ必要なテーマと言えます。この言葉を発するジャンヌダルクがごとき彼女の気迫に圧倒されることなく、今われわれが極められる最高地点を目指してそこから世界に向かって面白いものを発信しなければいけない!そんなことをしっかり感じてしまった、おいしく楽しい時間を本当にありがとうございました。

 すごく印象に残った本田さんの言葉が’HIMEKAはネットの子’。なんだかとっても意味深ーいものを感じます。これからさらにネット支配下に置かれるわれわれは、そんな時代だからこそ彼女のように強い意思と実力や実行力を持って立ち向かって行きたいと思っています。