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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民42人目
- 2010.05.27
今週は編集・岡田輝満さんです。
アニメーション制作の仕事で編集って言ってもあんまりピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、これが作品の出来不出来を決める超重要な作業なんです。もちろんどの作業も重要であることは変わらないのですが、作品のスピード感とか見やすさにつながるリズム的なポイントは、事実上編集という作業で確立します。
編集は描いた原画や動画を撮影したものを、絵コンテや進行表に合わせて1本の映像につなげる作業です。ここで指示されたこと以上の何か、が編集マンによって映像作品に投入されます。さらにその1本の素材を、監督やプロデューサーのチェックを受けて尺にあわせて切り込んでいく“カッテイング”という作業を重ねて行きます。
岡田さんは「名探偵コナン」スタート当時からずぅーっと担当してくれてるベテラン編集マンです。スタート当時と言えば実はアニメはフィルムで制作していた時代。特に16ミリのフィルムは小さくて、今や文化財の展示品を見るようなビューラーなど特別な機器や道具を使ったフィルム編集作業は、見ていて気が遠くなるような作業でしたね。
それがアニメ業界は20世紀末から21世紀幕開けあたりのタイミングで、次々とビデオを使った編集にチェンジすることとなりました。その作業自体は少し楽になって作業時間はちょっと短縮されたそうですが、バラバラな素材を1本の作品につなげていく緊張感は少しも変わりません。
そしてフィルムからビデオに変わった「名探偵コナン」でも作業の本質は何も変わっていないと言います。各話の担当演出により、例えばコナン君のしゃべる速さは映像では口パクのリズムが違っていることが多いのですが、そこをコナン君本来のものに合わせていくのも大切なこと。つまりコナン君のオリジナルテンポを持っているのはコナン君本人の高山みなみさんと岡田さん、と言うことになるんです。
時代の進行につれて機器や道具そしてハードやソフトがどんどん進歩して行き、多くのジャンルでその道の職人技が次々と機械などにとって代わられる状況が続いています。そんな中でも作品全体のリズムをその身体にしみこませて、毎週激しい編集作業を繰り返している岡田さん。これからも年に1本の35ミリフィルム作業も含めて、これぞ「名探偵コナン」という作品リズムを守っていってくださいね。冒頭の3枚の写真は岡田さんの仕事場、カッティング作業をチェックしているTMS山川Pと於地監督、そして劇場作品のために仕事場の一角にそのままになってるフィルム時代の機器や道具です。