• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民48人目
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  • 2010.07.08

 今週は手塚プロダクションチーフプロデューサー・久保田稔さんです。

 僕がこの業界に入ってこれて今も続けていられる大きな要因のひとつが“マンガの神様”手塚治虫先生の存在。そして一ファンとして僕が作品を通して見つめてきた、先生のリアルを教えてくれたのがこの欄でも紹介した手塚プロ・松谷社長と久保田さんでした。

 久保田さんとの出会いはいつだったんでしょう。気がつけばいろんな会合でお目にかかり、ディープにお話したりしてますよね。そんな会話が実ったのか、丸13年以上におよぶラブコールの末、2003年12月2時間特番「ブラック・ジャックスペシャル〜命をめぐる4つの奇跡〜」を作ることが出来たのは本当にうれしかった出来事でした。原作選びから始まってひとつひとつアニメ作品になっていくその時間は、あのあこがれの手塚先生が一歩一歩近づいてきてくれてるような錯覚におちいったものです。

 その後続くTVシリーズも含めて久保田さんのプロデュースは、いろんな意味で大人の采配が光り見事なものです。手塚眞監督を中心としたスタッフつくりやアニメーターなどの制作環境つくりを、細かく指示している様子がよく伝わります。そのベースにあるのは手塚作品に対する崇高な愛情でしょうか。

 2年にわたる「ブラック・ジャック」TVシリーズにおいて特筆すべきはやはり「ブラック・ジャック21」でしょう。視聴率が振るわなかったことは残念ですが、久保田さんと一緒に過ごしたそして手塚眞監督と過ごした時間を、手塚先生とのそれに想い置き換え、これが21世紀今の僕らのBJだ!と言えるものが出来たと自負しています。そのDVD‐BOXは僕の最新最高のコレクションとなってます。

 手塚先生ご存命の頃、9年間に渡って毎日毎日仕事として、先生のさまざまなアシスタントを続けたという久保田さん。ハイヤーよろしく車の運転もしたりいろんなオーダーをきいたり、天才なる先生に対する対応も含めて、実際はとっても大変だったんだそうです。でもその思い出をちょっと楽しそうに振り返る久保田さんを見てると、今のアニメ制作活動にとっていかに素晴らしく珠玉の時間を積み重ねていたんだろうと、毎度うらやましいを通り越す感情にまみれます。

 実は今でも月に1度のペースで久保田さんとお会いしてます。逆風の中いかに現状と戦うか、けっこうハードな議論も重ねています。そして生粋の舞台演劇ファンでもある久保田さんは、そのビックリするような広い交流の中から毎回ステキな友人を紹介してくれます。そんな広い視野をもちながらお互いにこれからも新しい“手塚治虫”を追い求めていけるといいですね。その中でもとにかくBJ!もう一度早く新しいBJを手がけていきたいものです。