• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民63人目
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  • 2010.10.21

 今週は「名探偵コナン」監督・於地紘仁さんです。

 TVシリーズ代4代目監督となる於地さんは、歴代監督の中で一番小柄です。というか細い、うらやましい。そんな於地監督を僕の感じてるイメージで、ここではおちさんとひらがなで書かせてもらいます。

 おちさんと初めて出会ったのは名探偵コナンの初期も初期。各話演出を担当してもらった時です。第一印象はなんだかおとなしいタイプってなイメージ。そのあとすぐに脚本家としても参加してもらい、なんと僕が本名で登場して松尾貴史さんに殺害されてしまう「テレビ局殺人事件」もおちさんのシナリオ。最近それに気づいてちょっとビックリ。

 そして演出や絵コンテを続けてもらって丸2年、いよいよおちさんの本領発揮となり、アニメオリジナルストーリーの前後編を脚本・演出とほとんど一人舞台でこなしてもらう事になります。「ドラキュラ荘殺人事件(‘98)」「呪いの仮面は冷たく笑う(‘00)」「秘湯雪闇振袖事件(‘04)」。どれも奇抜な発想と緻密なトリックをあわせもった、おどろおどろしいお話ばかりですよね。おちさんがTVアニメの監督になってくれることが当時から決まっていたかのような名作ばかりです。

 普段もの静かなムードただようおちさんですが、シナリオ会議などでは一変、論説明確に怒涛のごとく発言します。元来シナリオライター志向の経歴の持ち主がゆえに、「名探偵コナン」にとって何が一番大切な要素なのかを完全に習得しています。そしてそれを軸に脚本家が提案してきたストーリーの輪郭から骨の髄まで洗い出し、見事に見直しラインを提示してくれます。シナリオ会議の全体のうち、半分以上はおちさんの発言に占められてるんじゃないのかな。これは僕にとっても勉強にもなりますし反省もしなくちゃですね。

 アフレコ現場でもそのバイタリティは変わらず、監督としての魅せたいところと見せたいところ、その微妙なさじ加減をベストな状態で視聴者のみなさんにお届けすべく、各話演出の方々に対する指導や協力、音響監督に対する要望など多岐にわたって発言が続きます。我らがコナン君はコナン丸の船長・おちさんの作り上げた空間の中で、毎週楽しく面白く活躍している、そんなイメージであります。

 基本的に作品は監督のおちさんにすべてをまかせていますが、例えばサブタイトルについてはよく対立し会話しますね。これも「名探偵コナン」については隅から隅まで手がけようと言う、作品に対するおちさんの姿勢そのもの。でも最近もオープニングやエンディングなどもすべて手がけたりして、TVシリーズの仕事がもろもろ立て込んで、あまり眠れていないことが多いですよね。お互い身体が資本ですので、これからも分けるべきは分けて、楽しくコナン丸を操舵していってくださいね。