• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民79人目
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  • 2011.02.17

 またとっても大切な人を亡くしてしまいました。僕がいろいろな意味で大先輩で師と仰いでもいるのに、なぜかいつでも会えるような身近な友人みたいに思っていた片山さんが、2月12日鬼籍に入られたそうです。本当に言葉もありません。今週のアニ民は多摩美術大学教授・故片山雅博さんです。

 日本アニメーション協会理事・事務局長であり、社団法人日本漫画家協会参与、日本アニメーション学会理事、広島国際アニメーションフェスティバル組織委員(ホントにすごいです!)など業界の要職についている片山さんと僕が知り合いになったのはいつだったでしょうか。お付き合いは20年にもなると思いますが、仕事など一緒にした訳でもなく、いつの間にか日本アニメ界の公式な行事やパーティーの時など、必ずその姿を探したい人になっていました。

 でも片山さんに一番多く会えていたのが2年に一度の広島国際アニメーションフェスティバルであったのは確かです。広島に滞在する数日の内、必ず片山さんとご一緒する楽しい食事会がありました。底抜けに明るいキャラクターの持ち主で、僕は片山さんと一緒に夕食を過ごすために、当日のいろんなスケジュールをこなしていた感さえありました。

 こんな話をしながらも、とにかく僕は片山さんの本当の仕事のコト、例えば多摩美での教授でいらっしゃった様子などを知りません。いろんな公式行事などのご本人の洒脱な挨拶は何度か聞いていますが、片山さんの専門である、本来の美術的作品に対してお話したこともありません。アニメの業界に長いこと居る、以外に共通点は何もないのです。なのにどうして片山さんはいつも僕を見ると「スワちゃん、ちょっとどこか飲みに行こうよ。いつも忙しがってないでさあ」と声をかけてくれたのでしょうか。何年も前にサラリーマンである僕を、もしかして実はご自分が運営されてたんじゃないかと思える「日本アニメーション協会」に加入させてくれたのも片山さんでしたね。

 それなのにこんなに早いお別れをされて、僕はいったいどうしたらいいのですか?片山さんのいるアニメーションの世界に僕が挑戦していくのは実はこれからなのですよ。昨年秋、岡本喜八郎さんのお別れの会であれもこれも仕切っていらっしゃった片山さん。いろんな難しそうな業界の集まりを、そのキャラクターの魅力でいくつも仕切ってこられた片山さん。これからのアニメ業界の船長たらんとした片山さんを失って、さあわれわれはどう舵をとっていけばいいのでしょうか。

 そういえば…になっちゃうのが悔しいのですが、年末の手塚プロのパーティーでお目にかかった記憶があります。ずいぶんスマートになってたのになぜかそのことには触れないまま、大勢の人たちの中でバタバタして一言二言の会話のみで…。本当に残念なことに僕はこーゆー大事なことに気づかないんだよな。

 大きな身体でいつも汗を拭きながら「スワちゃん、この作品ホント面白いんだよ」と、ステキな笑顔で話してくれた片山さんは、本当にもういないのですね…。まだ実感がわきませんしわきたくもありません。享年56歳。心よりご冥福をお祈り致します。