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『アニ民288人目』声優の田中一成さん
- 2016.11.03
今週のアニ民は声優の田中一成さんです。田中さんのことをここではいつものようにかずなりさん、と呼ばせていただきます。そしてこのタイミングでかずなりさんのことをここで書かなくてはならなくなったことがものすごく悲しいです。
かずなりさんと初めて会ったのは「名探偵コナン」の初期のゲストだったかな。ゲストと言ってもかなりチョイ役で、その証拠に所属する事務所 青二プロダクションのHPのプロフィールに載っていない。実はこれにはちょっとショック…。コナン20年の間、相当何度も出演してもらってるのにね。ただ、いわゆるレギュラー的な役名がついた役はなかったかも。まあ、「ハイキュー」や「プラテネス」「コードギアス〜反逆のルルーシュ」など、キラ星のごとくあげられる数多くの出演作品に比べたら仕方ないか。
でもね、かずなりさんの記憶で一番多いのは実は「犬夜叉」なんです。で実際に事務所プロフィールを見てみると、なんといの一番に「犬夜叉」が上がってる。そりゃそうでしょ…と思いきや、でもその作品の中で演じた役名のトコロが空欄になってるのです。これは「犬夜叉」という作品にかずなりさんは番組レギュラー(=番レギ)だったということなんです。
例えば村人Aなど、役名が無い役をやる専門の声優として、ヘタしたら毎週アフレコに参加、その事によって演じるチカラを積み重ねていく、そんな時期が役者にはあるものなのです。20世紀から活躍してるかずなりさんにとって、その後いくつもの役を得てるのに、2000年から04年、あの犬夜叉の番レギを務めたコトはすごく大きなコトだった、ご本人から聞いたことがあります。
ここでかずなりさんが「犬夜叉」で演じてくれた役を書き出してみると、村人1、警官、行商人、飛脚、野武士、村人B、雑兵、妖狼族、東妖狼、下男、落武者、野盗、庄屋、子分、男、ナナフシ、町人、足軽、家臣、木こり、梅村、小助の父、妖怪、雑兵、漁師、武士、家来、主、玄武、野盗、一ツ目黒鬼、侍、香具師、僧、樵…まだ全部ではナイのですが、本当にすごい。ちなみに2009年〜10年「犬夜叉 完結編」は出演されてないので、第一シリーズで「犬夜叉」の番レギはめでたく卒業となった、という感じだったですね。
それにしても「名探偵コナン」です。最近では今年7月に放送された「少年探偵団の雨宿り」に出てもらいました。ちょっとドジな二人の泥棒そのアニキと呼ばれた方です。ドジと言っても凶悪犯、そのキャラクターを見事に表現してくれてました。その頃舞台に出てて忙しかったし、最近はなかなか一緒に飲むことがなくなっていました。かずなりさんの印象は大きな身体に優しい笑顔、お酒と会話が大好き。スタジオに入るときも出るときも元気な挨拶が印象に残ってます。
ボクにとって一番最後だったのは7月末の下北沢での舞台公演「カシマジョ!」です。百々麻子さんや西原久美子さんら4人の女性ユニットがメインの舞台に、そのユニークな個性を楽しく強くぶつけていたのが印象的でした。特に得意のギターを持ってストーリー上必要になる自分のオリジナルソングを一曲歌い上げた時は客席から拍手喝采!良い舞台を見たなと大いに満足したのです。あの後の打ち上げがボクにとって最後のかずなりさんになってしまいました。
10月10日突然帰らぬ人となったなんて、どう考えたって納得が出来ない、あまりに早すぎるサヨナラでした。残念無念ですが、演技もお酒も会話もそして人柄も本当にありがとうございました、田中一成さん、49歳。心よりお悔やみを申し上げます。