• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民85人目
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  • 2011.03.31

 今週はアニメーション監督で巨匠・高橋良輔さんです。

 「装甲騎兵ボトムズ」「蒼き流星SPTレイズナー」などアニメ史に輝く作品を作り上げた高橋さん。その歴史は僕の想像も及ばない長く大きなものですが、ここでは高橋さんのことをいつものように、良輔さんと呼ばせてもらいます。

 僕が良輔さんと初めてお会いしたのは1985年「シティーハンター」立ち上げのころです。もうかなり懐かしいですが麹町にあったYTV東京支社・番町グリーンパレス(現・東京グリーンパレス)の大会議室に日本サンライズ(当時)プロデューサー植田さんの招聘により突然おいでいただきました。その数年前にはダグラムやボトムズ・ガリアンなどロボットものを多数手がけていた超ベテラン実力者がなぜ?と驚いたのですが、結局この作品が長く続く足がかりを作ってくれることになりました。なぜならスタッフにはなりませんでしたが、「言ってくれればいつでもやるからね。」のセリフは僕らの支えとなるに充分なものだったのです。

 そのアニメとして取り組むジャンルは女児物もあったりで多岐にわたり、演出協力のクレジットも含めればそのタイトルは50を余裕で超えます。最近印象的なものとしてはNHKで放送した「火の鳥」(2004)と「モリゾーとキッコロ」(2004)でしょうか。前者はゴールデンタイムの大変な枠で、テーマである“人の生死”を映像で、手塚イズムに重ねて見事に表現されてました。後者は愛知万博で目にしただけで、本当の作品は知らないのですが、あのあたたかい2つのキャラは良輔さんのお茶目さがにじんでいたように思います。

 愛車は今でもミニでしょうか。かわいい車にちょっとミスマッチな風貌がゴルフ場に登場すると、なぜだかその日が楽しい一日になることを約束されたようで、巨匠である雰囲気を一切感じさせない楽しいトークが続きます。アニメ業界人としては個性がありすぎるというか、いろんな分野で“達人”だそうです。とにかく監督としての作品制作においてそれは“見ればわかる”のですが、人柄も含めて人間力が大きいことは間違いありません。

 先日この日記にも書きました「片山雅博さんお別れの会」でのコメントも故人を表してなるほどと思わせてくれます。今僕が一番一緒にお仕事をしてもらいたい良輔さんですが、やはり大切なのはこちらの心構えでしょうか。その笑顔に触れると一見組みやすいと思える良輔さんの奥深さは、イージーな発想の僕がついていけるレベルではないことはわかっています。それでももっと一緒にお話しする時間が欲しい、すごしたい、ってこれからも言い続けちゃいますので、懲りずにこれからもよろしくお願いいたします。