『アニメ村のステキな住民たち』アニ民97人目

　今週はキャラクターデザインの神村幸子さんです。

　僕はアニメの仕事をずいぶん長いことしていますが、ここで重大な告白いたします。実は絵ゴコロが全くないのであります。よくそんなでこーゆー仕事を続けられるなと思われますが、そこはそれアニメはチームの仕事なので大丈夫なのであります。

　というわけで神村さんのデザインに初めて触れたのは1987年2月ごろ「シティーハンター」の時。都会的なセンス、とかシティー派アクション、なんていう言葉にピッタリくるデザインが届くたびにため息をついていたものです。たとえば小比類巻かほるさん歌う「シティーハンター〜愛よ消えないで〜」のOP映像にうっとりするやら感心するやらしたのは僕だけではないはず。

　主人公・冴羽撩(ホントはケモノへん）はもちろん相棒の槇村香に極めつけは野上冴子！天才的な画力センスを持つ北条先生のキャラを、そのキレや強さは変わらずにアニメーションに昇華させてくれました。強烈に強いのに猫には弱かったりする、海坊主の上下左右な立体的キャラも存在感抜群でした。

　13年に渡って続いた「シティーハンター」はもちろん、僕担当の各作品で絵コンテや各話作監などで何かとお世話になって来ました。その中でもやはり「ブラック・ジャック」ですか。メインキャラクターデザインとして手塚治虫先生のキャラクターを華麗に浮かび上げてもらいましたね。特にピノコが秀逸、大塚愛さん歌う「黒毛和牛上塩タン680円」のED映像なんかもう胸キュンキュン来ちゃいます。

　最近は文化庁メディア芸術祭やアニメーション神戸のワークショップ、それにいくつかの学校の講師もされてますよね。2009年には話題の大型本「アニメーションの基礎知識大百科」を出版、多くの後進の人たちに灯台の役目を与えています。実は先日文化庁が主催する「若手アニメーター等人材育成事業」、通称名「若手アニメーター育成プロジェクト」、愛称「PROJECT A」という大掛かりな2年目となる作品審査会に参加させていただきました。どんな企画が選ばれたかは近くjanicaのHPで見ていただくとして、横に座ってた神村さんと一緒にこの業界の未来を掛ける作品選びができたのは、大変な時間ではありましたが今思えば至福の時間だったかもでした。

　でもダンナのこだま監督と3人で一緒にご飯したことはないですよね。アニメージュに10年に渡って連載されてた「たべものにはいつも感謝のココロ」には、たまに僕がこだまさんにプレゼントした大阪などで買ってきたお土産を取り上げてくれました。今度はぜひそのレベルを食べられる美味しい店へ3人で行きましょうね。絵ゴコロが騒ぐようなお話はできませんが、ハートが踊るようなお話は約束いたしますよ。