『アニメ村のステキな住民たち』アニ民108人目

　今週は声優の折笠愛さんです。

　僕が折笠愛さんに出会ったのは「名探偵コナン ピアノソナタ月光殺人事件」だと思います。ここでは折笠さんのことをいつものように、愛ちゃんと呼ばせてもらいます。

　なんだか存在感の強い人っていますよね。僕にとっての愛ちゃんはいつもそんな声優でした。コナンと前後して多く出演してもらった「金田一少年の事件簿」でもストーリーがら、ゲスト出演は容疑者か犯人となるのですが、そのどちらにしてもなぜか印象に残る。存在感、と言いましたが、それはとりもなおさず声の強さ、というか声色の輪郭がはっきりしている、ということでしょう。そういえば金田一でも犯人役が多かったですもんね。犯人ってわかってからの動機を告白するドラマのシーンなんて、愛ちゃんの独壇場でした。

　「名探偵コナン　ピアノソナタ月光殺人事件」は1996年4月放送、第11話に当たります。番組にとって初めての1時間SPでした。そして最初で最後“コナンが犯人の自殺をくいとめられなかった”有名なエピソードです。愛ちゃん演じた浅井成美＝浅生成美というこの犯人の葛藤と、犯人が飛び込んで燃え盛るラストの映像が、テーマともなるピアノに重なって見事な詩情を奏でるドラマとなっていました。その独白シーンを愛ちゃんが何度もチャレンジしていたのを思い出します。青山先生もコナンで最も好きなエピソードの一つにあげられてますよね。

　実は愛ちゃんの「名探偵コナン」での持ち役は目暮みどり。ご存知目暮警部の奥さんであります。忙しい警部を電話で酔っ払いながら一喝！するシーンは記憶に新しいところです。そしてもうあれから5年になりますか、いくちゃん[44]の代役をお願いして映画も含めて数ヶ月間、見事に円谷光彦を演じてもらったこともありました。

　でも愛ちゃんの本当の舞台は、その文字通りの舞台でしょう。聞けば元来舞台女優だったそうで、その実力をいかんなく発揮された一つが「サクラ大戦」だと思います。藤枝あやめという役はメインレビューチームの先生なんですよね。もう強烈なベテラン実力派声優が大勢出演して、それこそ女優としてのきらめきを色彩を競い合うのがメインとも言えるこの“舞台ショウ”で、小柄でもピリリとしている愛ちゃんを何度も楽しんでしまいました。来月7日に2度目の武道館公演をされるそうです。

　愛ちゃんとはプライベートで一緒にゴルフをします。僕にとっておそらく女性声優さんでは一番回数が多いチームパートナーです。ここで何度か告白してますが、僕のゴルフの腕はちょっと残念で愛ちゃんに勝てません。愛ちゃんはあまり飛ばないからっていう女性らしいかわいらしさに正確さが加わり、結局は良いスコアになってあがってきます。たまに一緒に移動したりしての車内トークも最高で、ちょっと理想的なまじめで楽しいゴルフが僕は大好きですね。

　本職ですから当然歌は上手です。というかなんかレベルが段違いなうまさなんです。もう10年近く昔ですが三茶のお店で「ウィスキーが、お好きでしょ」を聞いたときには全身に電流が走りました。それから何度か歌ってもらいましたが、愛ちゃんの声優俳優人生や本人キャラクターなど、すべてが歌に重なってくるような歌声はちょっと比類ない気がします。あんまりお酒は飲めない？という愛ちゃんですが、これからも公私ともにそのカラフルな声にずっとお付き合いさせてくださいね。