• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民114人目
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  • 2011.11.03

 今週は声優の野沢雅子さんです。

 初めて出会ったのは実は作品作りにおいてではありません。おそらく当時の野沢さん所属事務所の忘年パーティーあたりでしょう。ここではいつものように野沢さんをマコさん、と呼ばせていただきます。

 そのパーティーはおそらく1990年頃だったと思うのですが、当然業界声優第一人者であったマコさんは僕にとっては超あこがれで口を聞くのもドキドキでした。ご存知のようにあまりにもアニメの主人公として出演されてる作品が多く、その声を知らない日本人はいないです。みんなマコさん演じる、強くカッコ良くそして愛嬌があるヒーローの誰かにあこがれ恋をしてきたんですよね。

 なのにお仕事でご一緒したことは「金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」そして「結界師」でそれぞれ1回づつくらいです。いつもいつもお名前を聞くだけでドキドキする存在なのに、どうしてそーゆーゲストだけで終わってたのかな、と今思うとちょっと不思議。おそらくマコさんの名前そのものの大きさに、僕の方にもなにかとひるむような気持ちがあったのでしょう。

 それなのにマコさんとの大ヒット作品が多数ある東映アニメの清水さん[8]らとご一緒に食事などされているところに、僕がちゃっかり加わることがよくありました。しかし自分が切り開いて来たわけでなくただ見ていただけ世界を、そこを支えて来たメンバーに混ざって同じ時間なように過ごせちゃうことに、正直何となく抵抗があった気がします。それでも何度もご一緒にいけちゃってたのは、全てその場の中心となってるマコさんの人柄のおかげかもしれません。

 今回映画「神☆ヴォイス」で劇中の設定・声優登竜門イベント“V―1グランプリ”の審査員役をお願い出来たのは本当に有り難い奇跡でした。と言うのは今のマコさんはオフィス野沢を設立され、ゼネラルマネージャー吉田理保子さんとコンビな状態。実力派ベテラン声優だったその吉田さんは、僕のプロデューサーデビュー作「ロボタン」からのお付き合いで僕の人生の師匠のひとり。マコさんや吉田さんの近況をたまに電話などでお聞きしたりする仲でしたから、この時期超お忙しいマコさんをわかってました。このタイミングでスケジュールいただけたのは縁を感じますし、もうこれはほとんどこの映画にとって運命とか宿命とか言いたい自分がいます。

 今回審査員としておいでいただいたのは羽佐間道夫さん、キートン山田さん、滝沢ロコさん、マコさんの4名。もう本物のこーゆーイベントがあっても全然おかしくないレベルです。マコさんはじめ大物ゲストの一言一言が映画の物語中のセリフとしてだけでなく、声優を好きなそして声優を目指すすべてのみなさまに心の奥底にまで響くことでしょう。

 マコさんに怒られるかもしれませんがここで告白いたします。この映画収録の時もそうですし、食事のときなどもいつも感じますが、マコさんにお会いするとマコさんにいつも自分の母親みたいな感覚を覚えます。幼いころの自分のおふくろにどこか似ているのかなあ。あんなに少年ヒーローをいっぱい演じてこられたのにホント不思議ですが、その大きな広がりを持つ強くカッコいい少年の美声にもいわゆる温かさを感じているのかもしれません。どうかこれからもお身体を大切に、末永く僕にとっての美声な母性を聞かせていってくださいませ。