• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民118人目
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  • 2011.11.24

 とにかく映画「神☆ヴォイス」絶好調公開中!というわけで、このお方のお話をしないわけにはいけません。今週は映画の中で“声優の登竜門「V-1グランプリ」審査委員長”を演じていただいた羽佐間道夫さんです。

 声優会の大御所として業界で知らない人はいない羽佐間さんは、あの俳協(東京俳優生活共同組合)創立メンバーだったそうです。設立が1960年5月って言うのはもう半世紀以上前じゃないですか。声のお仕事は主に洋画などの吹き替えが異常に多く、シルヴェスター・スタローンはじめ著名なキャラクターが続々続々(僕なりにひとつあげるとすれば「警部マクロード」デニス・ウィーバーですか)ですが、アニメ番組も1963年の「鉄腕アトム」から多く出演されています。

 なのにどういうわけか僕はお仕事のつながりは一切なく、まさにずっと雲の上の大御所な存在でした。で、初めての出会いは2004年になります。その場所はよく覚えています。「シティーハンター」でお世話になった麻上洋子さんが、講談師・一龍斎春水としての真打ち披露パーティーの会場でした。なんと羽佐間さんと同じテーブルに座ることになった僕は、麻上さんの真打ちお祝い気分に増して、羽佐間さんのご威光に緊張する羽目になったのであります。でも初めて聞くような声の世界のエピソードを、ひとつひとつ深く楽しく触れることが出来た時間となりました。

 その次に出会うのが2008年、アニメ「めぐみ」の記者会見です。北朝鮮拉致問題の啓発のために日本政府拉致問題対策本部が企画制作というこの作品、日本語バージョンはやまちゃん(山寺宏一さん)[112]が呼びかけ羽佐間さんらがそれに応えて無報酬で出演したものです。その会見に並んだ羽佐間さんの心に響く答弁に、深く感銘を受けた記憶があります。

 今回「神☆ヴォイス」での役柄・審査委員長でも、短くではありますが見事なご挨拶シーンがあります。スーツな容姿でマイクを持ったあの魅惑声をあびると、どうしてもそのコトバの内容についていかなくちゃ、な気分になっちゃうんですね。その上重厚というか貫禄と言うか、付加された何かが今回のテーマ・声優という存在を大きく彩ってくれます。

 そのシーンの収録前、ご挨拶させてもらった楽屋には、羽佐間さんと一緒に審査員でお願いしてる野沢雅子さん・キートン山田さんそして野沢さんのマネージャー・吉田理保子さんがズラッと座ってて、それはそれは大御所な空気。挨拶もそこそこに少しでも早く部屋を出たいと思うのですが、羽佐間さんの意外にクダけた面白トークに流れで腰を落ち着けなんと記念写真(冒頭3枚目)まで撮る始末。何度か書いていますが、この審査員にしてこのV-1グランプリ、実際にあったら本当に楽しいでしょうね。

 その後“滝口順平さんお別れの会”でもお会いしました。当然のように発起人としていろいろ切り盛りされていました。今までもそうですが何があっても業界の重鎮、というより中心人物です。この日記でもお話したとおり、例えばやまちゃんがありとあらゆる役をこなすことで有名ですが、その演技幅で言えば羽佐間さんは明らかにその道の先輩となるわけです。というわけでどうかこれからも、ピカピカに光る大先輩ぶりを僕たちにそしてすべての声優たち声優を愛する人たちに魅せつけていってくださいね。