• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民125人目
  • 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民125人目

  • 2012.01.19

 今週のアニ民は声優・吉野裕行さんです。ここはいつものように、よしのと呼ばせてもらいます。なんだかいつも疾走してる感のあるよしのと初めてであったのは「犬夜叉」TVシリーズの2年目でした。松野太紀さん[59]演じる妖狼族・鋼牙(こうが)の仲間の二人組、銀太(ぎんた)・白角(はっかく)の銀太を演じてくれました。

 あまり登場シーンが多くない中でもそのスピード感あふれる演技は僕らの目を引き、しばらくしたあと同じ放送枠で始まった「結界師」へとつながっていきます。とは言ってもよしのは両作品の間の数年間驚くほどの数の作品に出演、確実に実力をつけていってました。それが新ジャンルに挑戦したこの結界師の主人公・墨村良守というキャラクターで炸裂します。

 日本の新しいあやかしアニメをつくろうとほれ込んで企画したこの作品、「結、滅」などの呪文をとなえ結界術なる技を駆使して、夜の烏森学園を主な舞台に活躍する良守と斉藤梨絵さん演じる雪村時音(2つ年上)。特に墨村家の正統継承者となる者の名前に「守」の文字がつく、この人物像を見事に演じたのがよしのでした。主人公としてのヒロイックな攻撃的な要素と、土地や身近な人たちを守るために行動するバランスというか、本来相反するはずのベクトルが彼の中でうまく交わるのです。残念ながらトータル1年5ヶ月でアニメは終了してしまいましたが、良守=よしのの抜群なフィッティングといい、物語の根幹の設定や結界術のユニークさといい、可能ならまだまだ次世代に見せて伝えていきたい作品でした。

 そしてよしのはさらにもう一歩奥へと進みます。「ヤッターマン」です。高田ガン=ヤッターマン1号という「結界師」と同じ枠での連続主役という離れ技をやってくれたのです。というよりも彼の主役然とした演技力を僕たちが頼った結果かもしれません。まっすぐまっとうな主人公が伊藤静さん演じるアイちゃんと、ためらいなくドロンボー一味の戦いを繰り返していく。そのシンプルなストレートドラマに加え、今度はより大量の笑いを含む歴史的な番組。この大役を表現するよしのがまたうまい。驚くほどの超ベテラン敵役に対して、何か安心感のようなものをキャラクターに与えてくれたのでした。

 そして今回の新番組「輪廻のラグランジェ」ではイゾをお願いしました。JK女の子3人の主役に対して宇宙のイケメン3人組のひとりであります。少しすれっからしでとんがったキャラが、よしのの力量を含んでどんどん成長していくのはこれからです。

 偶然ですが最初に「犬夜叉」でよしのと出会った同じスタジオでラグりんは収録されています。その間に過ぎ去った10年という時間はおそらく僕にもいくばくかの成長を促した気はします。でもその何百倍も役者・よしのは成長したことは否定できません。そしてこれからもどんな場面でもまっすぐまっとうな判断をそしてステキな演技を重ねていくでしょう。さらにはもう後続のお手本になるべき時期なんだよね。なのでまっすぐ向いた視界からちょこっとだけ外れてる左右上下を意識できると、今の位置に輪をかけてもっともっと大きな役者になるでしょう。で、そうなってもちょっと後ろで見守ってる僕がかける声はちゃんと聞き分けてくださいね。