• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民129人目
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  • 2012.02.16

 今週はボンズ代表取締役・南雅彦さんです。

 アニメ制作会社ボンズの顔である、ということは実質的にクールジャパンの旗手として日本のアニメーションの顔、となっている南さん。でもその南さんの仕事スタートあたりから知ってる人は少ないんじゃないでしょうか。僕が南さんと初めて出会ったのは1988年「シティーハンター2」の制作現場でした。

 当時は社名・日本サンライズでしたね。「シティーハンター」立ち上げから一緒にがんばった植田益朗P[11]の現場に制作進行として入ってきたのが南さん。年代も出身地も近いせいか、忙しい中でも妙に一緒に上井草あたりで飲みましたよね。先輩に当たる植田Pとよく議論してた記憶があります。お互い若いというか、何かにつけて必然的に提案されざるをえない案件に対して、負けじと大声で主張し合いたおして、それが作品の大切な血や肉になっていったような気がします。

 「シティーハンターシリーズ」は北条先生の原作を大切にしながらもかなりな部分を僕と植田さんで決めてきました。そしてそれを支えてくれる多くのスタッフがいるのですが、進行という立場からあっという間に制作デスクになりいつの間にかシティーをはずれて他の作品をメインで担当している、僕にとって当時の南さんはそんな印象がありました。その後サンライズにおいて「疾風!アイアンリーガー」「天空のエスカフローネ」などぽんぽんヒットをとばして、南さんがたどり着いたのが「カウボーイビバップ」です。

 この作品、僕の印象はYTVが初めに手がけた「ルパン三世」でした。時代を先取りしすぎて視聴率が振るわず、23話で終了した第一期のルパン。映像と言い音楽と言い今まで無かったジャンルに挑戦するビバップは、いろんな社会的条件も重なってそのルパンに似た厳しい道のりを歩むことになります。

 おそらく難航したであろうサンライズ社内での企画成立、そして作品のテーマや特異性から放送にこぎつけるまでのイバラの道が、アニメ制作会社ボンズの設立へと導いたのでしょうか。同時期に横で見ていた僕はやはり、なんだか大きな冒険に打って出たなあ、と思ったものです。そんな時期もずっと南さんとは飲んだり話したりしていました。恒例な年末のプライベート忘年会も必ず参加してくれますし。

 最近の作品で印象強いのは「STAR DRIVER輝きのタクト」でしょうか。実は「輪廻のラグランジェ」が同じ時期にスタートするつもりだった時、いろんな境界を乗り超えて一緒に制作発表しちゃってもいいね、なんて話もしました。南さんとだと実際そーゆーことも出来ちゃいそうなのがコワい。

 僕との共通点はとにかく中日ドラゴンズファン。球場でスポーツバーで一緒に観戦しながら飲んだりするのは至福の時。昨年は惜しくも日本一は逃がしたものの岩田さん[82]や監督の亀垣さんも含めて大騒ぎ。そーゆー意味ではかなりやんちゃな面もみんなの共通項かも。

 先日ごあいさつも兼ねて初めてボンズのオフィスを訪問しました。奥の部屋で当然のように見せる経営者としての素顔に戸惑いも覚えましたが、そこも含めてなおやんちゃな南さんに本心から敬意を表します。さらにそのやんちゃさを発信し持続するパワーが、今の日本のアニメーションを率いているという事実をキチンと受け止め、これからのエネルギーの糧にしていきたいと思います。

 …ああ、こんなカタい文章、まったくお互いにそぐわないけど、ここは気持ちもこめて、あえてこう書かせてもらいました。