• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民141人目
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  • 2012.05.17

 今週のアニ民はアニメ映画監督の川尻善昭さんです。

 その昔一番好きだったアニメ映画に川尻さん監督の「獣兵衛忍風帖」(1993)がありました。確かその作品を「アニメだいすき!」で放送するという念願がかない、ほぼ時期を同じくして「YAWARA!」の制作会社マッドハウスで川尻さんにお会いしたのが初めてでした。僕のプロデューサー師匠の一人、マッドの丸さん[7]に紹介してもらい、可能なら仕事もご一緒にと思ったのですが、もろもろのタイミングが合わずにそれは成し遂げられません。でも時折マッドのスタジオで、分厚い絵コンテを前に黙々と作業をされている姿を拝見して、いつかしっかりとお世話になりたいと思ったものです。

 …結局しっかり時間を一緒に過ごしたのは「YAWARA!杯」と名付けられたマージャン大会です。都合4,5回くらいは開催されたでしょうか。スタジオ近くの雀荘にて、参加メンバーは20名くらいで、ちゃんと賞品も準備された立派な競技会でしたね。腕前はプロはだしのマルさんが仕切り、川尻さんもその実力を見せつけていました。僕もいいところまでいくのですが優勝とかまではなかなかできなかったなあ。一緒に卓を囲んだ時、いくつかの作品の感想をお話ししたのですが、「いろいろあるけど演出は客観性かな」。気づけば麻雀卓を見つめる川尻さんの冷静な視線のせいか、結局勝負に勝ちが重なっていくんですね。…ちょっと悔しい…。というわけでマージャンも楽しく気合いの入った時間だったんです。

 あと川尻さんの監督作品では僕は「バンパイアハンターD」(2000)の記憶が鮮明ですが、一番のおおもとは「妖獣都市(1987)」にさかのぼるかもしれません。暴力的なハードボイルドタッチなシュールなキャラクターと、その世界観を背負ったストーリーの融合は、見る方にインパクトだけではない何か重石をつけたようなエネルギーを与えてくれたものです。冒頭お話した「獣兵衛忍風帖」もなんというか、重量級の手ごたえを感じさせてくれた作品でした。

 そんな川尻さんとシアトルのサクラコンで、久しぶりにしっかりお会いできました。マッドの服部プロデューサーと一緒に数々のパネルとサイン会をこなしてましたね。僕とは招待されたジャンルが違うので、パネルなど会場では一緒になりませんが、夕食は一緒にいろいろ飲食しながらお話しできて最高に楽しい時間。監督の最近のお仕事は「ちはやふる」。「TVアニメの絵コンテは4分の1くらいしたかなあ、とにかく原作を読んだらホント面白いんだよね。そのストーリードラマをそのまま、楽しみながら感動しながらの絵コンテ作業は実に楽しかった」と語る川尻さん。サクラコンでも大人気のニッポンの大御所監督、これからの作品の動向がそのまま世界の注目を浴びる存在であります。これからも僕らはきっちり後ろについていきますので、そのケレンミを感じさせる映像をこれからも続々と生み出していってくださいね。