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『アニ民235人目』東映アニメーション キャスティングプロデューサーの吉田理保子さん
- 2014.08.21
今週のアニ民は東映アニメーション キャスティングプロデューサー 吉田理保子さんです。ここでは吉田さんのことをいつものようにりほこさんと呼ばせていただきます。
今でこそキャスティングなど作品の裏方に回ってますが、りほこさんは知る人ぞ知る実力派の声優で活躍していました。僕が初めてりほこさんに会ったのも役者としてです。それは1986年秋、僕のプロデューサー第2作「ボスコアドベンチャー」での敵役ダミア役です。りほこさんのスゴさを何も知らずに普通に仕事で出会ってしまった、というより出会えてしまったまだ20代の僕は、それを後で少し後悔することになります。
りほこさんは洋画の吹き替えもそうそうたる女優を数え切れないほどしているし、演じたアニメキャラクターもキラ星のごとく並んでいます。これはというキャラクターをひとつあげるのなら「アルプスの少女ハイジ」のクララでしょうか。僕もオンタイムで見ていて「クララが立った!」シーンに超感動した一人です。例えばアフレコ後の食事会でひょんな会話からその事実を知った時の驚き、というかそんなコトも知らないで仕事していた自分に、気がついたショック…そんな後悔でしたね。仕事をするというのは人を知るに他なりません。
その後「シティーハンター」「名探偵コナン」「金田一少年の事件簿」などいっぱいお付き合いいただいた時期は、りほこさんとしては声優活動のかなり後半となります。そして1998年に声優業の一線から離脱し、マネージャー業に専念、当時の所属事務所「81プロデュース」の敏腕営業マンとして業界を裏方から支えてくれることになります。しかしこの事実は当時、かなり僕らを驚かせました。正直言って比類なきエッジの効いた実力派女優なだけに“もったいない“感覚が走ったものです。
でもりほこさんが目指したのは、役者にとどまらないアニメ業界の円滑な舵取りでした。役者であった経験を大きな武器にして見事に解決した、多かれ少なかれ役者がからんだトラブルもいくつも聞いています。結局アニメ音響業界は声優をやめたりほこさんを得て、百万のチカラを手にしたようなものでした。
さらにご自分の経験を生かしての声優などの後進の指導も比類ないものです。指導の仕方がツボを得てるのは一流の役者だった証しですよね。りほこさんの一言ひとことが思い切り演技に響いた後輩も多いはず。ちなみにプロデューサーの僕にとっても胸に響く指導がいっぱいなのは、うーんなぜでしょうか。
それにしてもりほこさんとは長いですねえ。あの野沢雅子さん(=マコさんアニ民115)のマネージャーとして、その事務所全体を切り盛りしていた時も年に数度は会えてたし、映画「神☆ヴォイス」でもさんざんお世話になりました。そして今は東映アニメのキャスティングプロデューサーとして毎週「金田一少年の事件簿R」の音響制作に大きくチカラを入れてもらってます。
金田一収録後毎回必ずある食事会でも、若い役者さんたちを盛り上げ励ますキレのいい美声は今でもいろんなキャラクターをホウフツさせ、聞いてるだけで何だか元気が出てきます。こうやってりほこさんと一緒に作品に携わっていけるシアワセに、これからもずっと僕をひたらせていて下さいね。