• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民200人目
  • 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民200人目

  • 2013.09.12

 アニ民がついに記念すべき200人目になりました。そして登場いただくは原作者・樹林伸さん。ここでは樹林さんのことを何時ものようにキーさんと呼ばせてもらいます。実は200人目はキーさんを書こうとずっと決めていました。このアニ民は書かせてもらう人にはそれなりにタイミングを図っているのですが、キーさんはこーゆー記念節目にぜひと思っていたのです。

 キーさんと初めて会ったのは1996年秋、映画「金田一少年の事件簿 オペラ座館・新たなる殺人」のアフレコ現場です。まだTVシリーズの制作に入る前でしたが、その後相まみえる直接の担当者が多くいるのでスタジオに入れてもらったのです。監督の西尾大介さん(=大ちゃんアニ民164 )や清水慎治プロデューサー(アニ民8)と初めて会ったのもこの現場なんですが、そのセンターにドーンと控えていたのがキーさんでした。

 もっともこの現場、文字通り戦場状態で、挨拶するスキマさえ見えないような緊張感あふれるものでした。ミステリーとして少しでも奥深いものへと考え抜いた末のシナリオの変更が、そのまた前後のシーンに強く影響し、役者の演技プランにも変更が出たりして、ハタで見ていても脳みそが爆発するんじゃないか、とそんな感じの現場。そんな中でも終始客観的にミステリー全体を眺めながら指示を出していたのがキーさんでした。大ちゃんもキーさんの指示に自分の絵コンテや演出プランを照らし合わせて、粘り強くベストな作品作りを重ねていたのが印象的でしたね。

 しかしこの時はまさか1999年初夏、映画「金田一少年の事件簿 殺戮のディープブルー」でまさに同じような戦場を、今度は自分がど真ん中で体験することになるとは思ってもいませんでしたが。そしてキーさんの、ミステリー作品として面白くすべき矢のような提案や嵐のような提案もじっくり味わってしまいました。

 1996年12月、講談社の打ち合わせ室で行われたのがTVシリーズの初めてのシナリオ会議。「名探偵コナン」が先行されて放送されてる中、僕は初めてまみえる制作チームに対して、原作の面白さはそのまま生かすとして、何かTVを見てくれる視聴者にお土産になる付加が欲しいと提案。みんなで何かアイデアがないものかとそれぞれに考えてた時、キーさんが「こんなのどう?」って言い出したのが、3・4・5・6・7・9・10・11なる数列(Q.この数字の周期性を当てよ)。これ実は1997年のGWの土日休日を表してるもの。679は4月の26・27・29だけど、もしかしたらTVのチャンネル数?とか、月別に何かの共通点があったり?とか思えるよね。でも翌年のカレンダーを見ながらその場で、日本の暦の特徴出しを数字で即座に問題として考えつくというレベルの高さに、その場で脱帽感に満たされたものでした。

 さてキーさんに関しての情報はもはやとんでもない原作者で、毎週5、6本の連載原作をこなし、映画やTVドラマ果ては歌舞伎のシナリオも手がけ、TVなどにも多く出演している。なんてコトは今さらですよね。というわけで、僕が今キーさんと一番多くの時間を共有するのがワインがらみです。お姉さんと共同で、ご存知週刊モーニング連載中「神の雫」の原作者でもあるため、ワインを飲むことそのことも厳しい仕事になってしまったキーさん。「それはちょっと不幸かも」なんて横で思いながらも、やっぱり羨ましくて僕もとばかりに、キーさんのワインエリアの端にちょっぴり捕まってたりして。

 この春に出版された僕の初めての本「スワッチのアニメここだけの話」には、昨年秋そのキーさんご姉弟と一緒に「神の雫」“第11の使徒探し”にスペインに同行させていただいた旅行記を詳しく載せています。この本もすべてもろもろご快諾いただいたキーさんたちのおかげあってこそでした。

 とにかくキーさんに関しては、書こうと思えば書ける内容がありすぎてキリがありません。まずはここでしっかりと200人目のアニ民として、マンガアニメ業界人として誇りを持ってキーさんをご紹介しておきます。そしてこれからもアニメーションプロデューサーとして、そしてワイン愛好家としてずっとキーさんとお付き合いさせてもらおうと思っています。あ、もちろん前者の方の比率をずっと大きくしていかなくては…ですね。