-
『アニメ村のステキな住民たち』アニ民198人目
- 2013.08.22
今週のアニ民はトムスエンタテインメント(=TMS)企画部・小野田博之さんです。小野田さんと初めて出会ったのはTMSがまだ東京ムービーと呼ばれていたころです。場所は今の新井薬師だったか東中野だったか。東中野のスタジオはもうとっくにありませんが。
僕のアニメデビュー作は1986年1月放送スタートした「ロボタン」。その最初のシナリオ打ち合わせから小野田さんはいました。ということは前年の8月に異動で東京に引っ越してきたので、その直後にはもうお目にかかってることになります。
まだ右も左も前も後ろもなにもわからない状態の僕に、いちいちアニメ作品のプロデュース指導してくれたのが加藤俊三さん(アニ民3)で、シナリオ関係でいろいろ教えてくれたのが小野田さんであります。右も左もわからない初めてのアニメプロデュースということで、若気の至りというか調子にノッたというか、僕がシナリオを書く!と言い出したことがありました。毎週2話放送するうちのとある1話を、小野田さんも苦笑いしながら(イヤイヤ?)指導してくれて、演出の奥脇さんの全面協力のもと、何とか放送するところまでこぎつけたのは絶対忘れられません。確か冷蔵庫が巨大ロボットになって悪さするお話でしたよね、冷蔵庫なだけにヒヤヒヤしました…。
それから「魔法騎士レイアース」や「名探偵コナン」などで毎週新井薬師のスタジオに通う日々が続きますが、実は担当の縁もあり、小野田さんと仕事でご一緒することはなくなってしまいました。それでもスタジオでお会いすると、いつもの丸っこいクロブチメガネが似合う笑顔が返ってきて、なにか一緒に戦った先輩戦友という連帯感が心地よく感じたものです。もちろん今も。
小野田さんと言えば「ロボタン」の前に手掛けてた「ゴッドマジンガー」「ルパン三世パート3」とか「キャッツ・アイ」ですし、その後も「それいけ!アンパンマン」「とっとこハム太郎」「ぷるるんっ!しずくちゃん」など子供向けの作品に手腕を発揮されてます。
仕事後の飲み会では僕が妙な主張をすると初めは優しく「諏訪さんはこーゆートコがダメなんだよなー」と指導してくれますが、実は怒ると怖い小野田さんであります。結構激論好きで丸い顔が赤くなってそれゆえ愛嬌があるんですよね。いろいろあっても、最後はご自分が采配されるシリーズ構成のようにうまくまとめてくれる、そんなイメージがあります。
そんな小野田さんも7月いっぱいで定年ということで、アニメーションの世界から一線を引かれました。デスクにご挨拶することはできたのですが、後輩の吉岡P(アニ民27)や僕らでキチッとお送りする会をしたいと申し出ても、そーゆーのはイヤ、と絶対拒否されるのが小野田さんっぽいよなあ。確かに会社をリタイアされても、アニメに対する小野田さんのスタンスは変わらないと思います。というわけでこれからも引き続きベテラン文芸として、アニメ界のご意見番をよろしくお願いいたしますね。