“帰ってきた民主党“なんて言わせない!新生「立憲民主党」枝野幸男代表を辛坊治郎が直撃。「“リアル政治“で菅政権に対峙する」
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放送日2020.09.12
菅(すが)政権とかく戦う――。合流新党「立憲民主党」の枝野幸男代表は12日、就任に先立ち読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」に生出演した。他党からは「帰ってきた民主党」(松井一郎日本維新の会代表)などと冷ややかな反応もある中、久しぶりに誕生した衆参150人規模の“巨大野党“は、自公政権の批判の受け皿になれるのか。辛坊治郎キャスターが直球勝負で新党の内実に迫った。
菅(すが)政権と明確な対立軸ができた。
枝野氏はまず、新党が目指す方向性について、菅首相が自民党総裁選で掲げた理念「自助・共助・公助」を引き合いに、自民党との違いを強調した。
「政治の役割は、自分の力だけではどうにもならないとき、あるいは近くの仲間とか親戚とかの助け合いではどうにもならないとき(に手を差し伸べる)。それが政治の役割。まさに“公助”の部分、ここでどれくらいしっかりと政治・行政が支えられるのか(が大切)だと思っている。そうした意味では、“自助”を強調する菅さんと“公助”を大事にする私たちと、非常に分かりやすい対立軸ができたと思っている」(枝野氏)
これに対し、辛坊キャスターはジョン・F・ケネディ元米大統領の名言「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい」(Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.)を例示。「(社会の)基本は自助ではないか」と尋ねた。
枝野氏は「それも一つの価値観だ」としたうえで「自分の力だけではどうにもならないと困っている人が、この30年間で非常に増えてきた。今の日本では公助をいかに機能させるかが問われている」と述べた。この点は、「帰ってきた民主党」(松井一郎・日本維新の会代表)との指摘への反論にもつながる。
「(新党は)綱領で新自由主義からの転換を掲げている。民主党や民進党は、過度な自己責任を求めて、競争さえ加速すれば世の中が良くなるという方向性を持っていた。自助、競争、『役所は小さければいい』という政治から、互いに支え合う、それを支えるために機能する政府を作るという明確な方向性の違いが綱領で明らかになっている」(枝野氏)
衆院選「10・25投開票」あり得る
菅義偉首相が新政権発足後、早期に衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとの憶測が流れていることについて、枝野氏は「7月ごろから10月25日(投開票)の可能性が高いと言ってきた。10月25日で全ての準備を組み立てている」と、選挙準備を加速化させる考えを示した。早期解散の場合の主な争点は「新型コロナ対策、経済、公文書管理だ」と述べた。
消費税「引き上げは論外だが、選挙の道具に使ってもいけない」
消費税率を巡っては、合流新党の代表選に立候補した旧国民民主党出身の泉健太氏が一時的な「税率ゼロ」を主張するなど、野党合流でも大きなテーマの一つとなった。しかし枝野氏は、菅氏が総裁選で将来的な消費税引き上げの可能性に言及したことについて「税率を下げることができるかを議論すべきで、上げるなんて論外だ」と批判。ただ、「消費税を選挙の道具に使ってはいけない」とし、消費税率引き下げを次期衆院選の争点にしたり、野党共闘の共通公約にしたりすることに否定的な見解を示した。そのうえで、「自民党総裁選を見ていると、自民党内にも引き下げの議論が必要だという考え方がにじみでている」と指摘。「(引き下げを)リアルに実行しようと考えるなら、与野党でしっかり協議していく必要がある」と主張した。なぜ、争点化しないのか。
「(政策は)政治的に争点化すればするほど実現しにくくなる。我々が政権を取った場合には、できるだけ幅広い皆さんと合意をして進めていく。決定的に両立しえない、一致できないことはしっかりと掲げる必要があるが、短期的に実現しようと思えば与野党で一致して進める。それがリアルな政治だと思う」(枝野氏)
共産党との連携
新党が早期に政権交代を目指すのであれば、他の野党との連立政権樹立が不可欠だ。とりわけ「55年体制」下の旧社会党の流れを一部引き継ぐ立憲民主党にとって、長年「近くて遠い・似て非なる」存在である共産党との距離感がカギとなる可能性もある。だが枝野氏は、共産党との連立にはハードルがあるとの見方を示した。
「共産党とは、将来の社会像について明確に違っている部分があるのは間違いない。一方、『実は枝野さんの言っているほうが近い』と、内々おっしゃる自民党の国会議員を私は何人も知っている」(枝野氏)
最後に田崎氏が“エール”「枝野さんの話は…」
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が「枝野さんはよどみなく、なんでも答えられるが、少し弱みを見せたり、発言をもうちょっと短くされたりすると説得力を増すのではないか」と、新たな船出に“エール”を送ると、枝野氏は「枝野の話は漢字が多すぎるからひらがなで話せと言われる。もっと笑えとも言われる」と笑顔で応じていた。