2012年10月9日
JAXA宇宙飛行士 星出彰彦さんが世界初!宇宙からのアフレコに成功
船外活動のトラブルなど困難を乗り越え、人生初のアフレコを見事に終えた星出さんは「なかなか難しかったですが、頑張りました。
どんなアニメシーンになるか、楽しみです。」とコメント!
JAXA宇宙飛行士 星出彰彦さんが世界で初めて宇宙からのアフレコに成功!
アニメ「宇宙兄弟」に本人役で出演!
(c)ytv/JAXA
アニメ「宇宙兄弟」
読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネット
毎週日曜 朝7:00~7:30
現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のJAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士・星出彰彦(ほしであきひこ)さんが、JAXA運用管制チームとの連携のもと、世界で初めて宇宙からアニメのアフレコを行い、無事に成功した。
星出さんが行ったのは、本人役で出演するアニメ「宇宙兄弟」のアフレコ。アニメ「宇宙兄弟」は、読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネットで毎週日曜あさ7時から大好評放送中。原作漫画の発行部数は1000万部を突破し、実写映画も大ヒットした作品だ。アニメ「宇宙兄弟」に本人役で出演する宇宙飛行士は野口聡一さんに続いて2人目となる。
この「宇宙アフレコ」は9月末に、星出さんが滞在している国際宇宙ステーションと、JAXAの筑波宇宙センターを衛星回線で繋ぐ形で行われた。アニメの制作陣は事前に、台詞や演技の方向性を詳しく書いた脚本を、JAXA運用管制チームを経由して、宇宙の星出さんにメールで送付。星出さんは、それを使って国際宇宙ステーションのカメラの前で演技し、その音声が筑波宇宙センターで収録された。
実は今回の宇宙アフレコは、船外活動でのトラブルや、ISS運用システムトラブル、宇宙機スケジュールの変更など、予期せぬ事態が度重なり、当初の予定より遅れての実現となった。
星出さんは8月30日、故障した電力切替装置を交換するための船外作業を行った際、装置を国際宇宙ステーションに取り付けるボルトが固すぎて締められないというトラブルに見舞われた。そのため、9月5日に、2度目の船外活動を急遽実施。宇宙飛行士の歯ブラシを使って、ボルトのねじ穴に入っているごみを除去するなど、柔軟かつ冷静な対応により、電力切替装置の交換に成功した。
宇宙アフレコは、そのようなトラブルそのものや、スケジュールの調整を乗り越えたうえで無事に実現した。
注目はなんといっても出演シーン。星出さんの出演に合わせて、原作にはないアニメオリジナルシーンが作られた。
2人で宇宙に行くことを誓った兄弟・六太(むった)と日々人(ひびと)は、少年時代、国際宇宙ステーションにいる星出さんと交信するJAXAのイベントに参加。そこで、星出さんから、自身が宇宙飛行士への道を諦めなかったことなどを聞き、勇気づけられるという重要なシーンだ。
星出さんは、応募資格を満たさなかったため宇宙飛行士の試験を一度は断念するなどし、実質3回目の挑戦で合格した。このシーンは諦めずに頑張れば夢は叶うという子供たちに向けての熱いメッセージが込められている。
また、番組では、今回の宇宙アフレコにあたって、星出さんへの宇宙に関する質問を視聴者から募集した。その質問に星出さんが自身の言葉で答えるシーンも、あわせて放送される。
宇宙アフレコが世界初の試みであると同時に、星出さんにとっては、人生初のアフレコでもあった。それを見事に終えた星出さんは「なかなか難しかったですが、やり遂げました。どんなアニメシーンになるか、楽しみです。」と話した。
また、読売テレビの永井幸治プロデューサーは「宇宙からの生の声をそのまま視聴者に届けられる。日頃からリアルさを追求している『宇宙兄弟』にふさわしいシーンとなった。臨場感のある本物の声を楽しみにして欲しい」と話している。
今回の宇宙アフレコで収録したシーンは、11月4日放送のアニメ「宇宙兄弟」第31話「ロケットロード」で放送される。
©小山宙哉・講談社/読売テレビ・A-1 Pictures
星出彰彦プロフィール
1968年 東京都に生まれる
1992年 慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業
1997年 UNIVERSITY OF HOUSTON CULLEN COLLEGE OF ENGINEERING航空宇宙工学修士課程修了
1999年 NASDA(現JAXA)よりISSに搭乗する日本人宇宙飛行士の候補者として選抜される
2001年 宇宙飛行士として認定される
2008年 スペースシャトルディスカバリー号による1Jミッションに参加