【SDGs】生理に悩む女性を「食」で支える!栄養補う”ご褒美”スイーツ開発を目指す女性起業家の奮闘

生理に伴う女性の体調不良で仕事の効率が落ちることによる労働損失は、年間4911億円とも言われています。そんな女性の体と心を「食」でサポートしようと、ある女性起業家が、不足しがちな栄養素を補う“スイーツ”の開発を決意しました。鉄分が豊富なドーナツ、たんぱく質が摂取できるブラウニー…しかしそこには、コスト問題など様々な壁がー。それでも“女性の元気のために!”厳しい状況を打破しようと奮闘する、彼女のチャレンジに密着しました。

【特集】生理に悩む女性をスイーツでサポート!?吸水ショーツとの斬新コラボも話題になった“ご褒美スイーツ”とは?

栄養を補う”ご褒美スイーツ“

 生理に伴う女性の体調不良で、仕事の効率が落ちることによる労働損失は、日本で年間4911億円とも言われています。そんな変化し続ける女性の体と心を「食」でサポートしようと、ある女性起業家が、不足しがちな栄養素を補う“スイーツ”の開発を決意しました。コンセプトは「すべての女性を我慢から解き放つ!」。しかしそこには、難度の高いレシピ開発やコスト問題など様々な壁がー。厳しい状況を打破しようと奮闘する彼女のチャレンジと、特製スイーツに込めた思いに密着しました。

生理でつらいときこそ、自分に“ご褒美”を!

「MOON TREATS」小松佐保さん

 2022年1月、大阪市北区・大丸梅田店の5階に、女性の体や心の悩みを解決する「フェムテック」の製品やサービスが並ぶ中、期間限定でポップアップイベントを開催しているお店がありました。そのブランドの名前は「MOON TREATS(ムーントリーツ)」。小松佐保さん(33歳)が、2021年9月に立ち上げたフェムテックブランドです。
  
(小松佐保さん)
「自分に不足している栄養素をスイーツで補おうと、”食べるサプリ”のようなスイーツを開発しています。」

生理周期に合わせて“スイーツ”が届く

 海外の論文によると、PMS(生理前の不調)と摂取栄養素には、関連性があるとされています。小松さんが手がけているのは、生理前や生理中に不足しがちな栄養素が含まれている“スイーツ”。毛髪検査キットやオンラインの問診票で、顧客一人一人の不足している栄養素を診断し、必要な栄養素を含んだスイーツが、生理の周期に合わせて届くという、定額制のサービスを提供しているのです。

不足しがちな栄養素を補うスイーツ

 栄養素はもちろん、見た目にもこだわったスイーツたちは、“食べる輸血”とも呼ばれ鉄分が豊富なビーツとベリーのドーナツや、三日月の形をした黒胡麻バターサンド、タンパク質が摂取できるドライフルーツがたっぷり入ったブラウニーなど、どれも魅力的です。

(小松佐保さん)
「月に1回くる生理はすごい憂鬱な時期になるけど、自分へのご褒美でスイーツを食べて、つらい心と体を癒してほしいなという思いで作っています。」

 お店を訪れたお客さんに話を聞くと…

(20代の女性)
「レバーがすごい苦手なので、こういう好きなお菓子とかで、鉄分が気軽にとれるのがいいなって思います。罪悪感なく食べられるスイーツかなと。」

30代で起業を決意「女性をハッピーにしたい!」

 学生時代から「食」に関心があったという小松さん。生理に目を付けたのは、「食」ビジネスのコンサルタントとして働いていた20代の頃でした。

20代の頃、「食×生理」に着目

(小松佐保さん)
「同期の女の子が、『毎月生理でベッドから起き上がれないほどつらい』と言っていたのを思い出したんです。女性は毎月“生理がやってくる”というだけで仕事のパフォーマンスも落ちるので、女性の悩みを“食”で解決できるサービスを立ち上げられたら、自分もハッピーだし、周りの人ももハッピーにできると思いました。」

 30歳でアメリカ・ボストンに留学。起業家イベントに参加し、当たり前のように活躍する女性起業家の姿に刺激を受けました。そして帰国後、「MOON TREATS」を立ち上げます。決して早いとは言えない30代での起業でした。

スイーツはすべてシェフの手作り

 「MOON TREATS」は、普段は店舗は構えずインターネットのみで展開しています。スイーツは、シェフがひとつひとつ手作りしているのです。卵や乳製品など動物性由来の素材は使わず、小麦も使用しないグルテンフリー。高い栄養価とおいしさを両立させるレシピの開発には、半年以上かかりました。

(「MOON TREATS」吉井敦希シェフ)
「小麦粉を使ってないので、おいしい触感を出すための大豆粉などの比率が難しかったですね。」

妥協なき商品開発、一方で直面する経営の厳しさ

目指すは「安く・かわいく・おいしく・ヘルシー」

 レシピの開発もさることながら、さらに大変なのが、売り上げと利益の確保です。そもそも「食」ビジネスは、原価率が高いため採算をとるのが難しい分野なのです。

(小松佐保さん)
「送料代が高くなっているのが今のネックで、常温ではチョコレートは溶けちゃうからクール便で送っていますが、1回につき送料が900円~1000円してしまうので、常温で送れるスイーツに全ラインナップを変えているんです。」

 新製品として、にんじんやレモンを使ったドーナツなどの開発に取り組む際にも、シェフと熱のこもった真剣なやり取りが行われていました。

「もう少し固くできますか?」(小松佐保さん)
「できますよ」(吉井シェフ)
「上の砂糖、もう少し量を減らせますか?」(小松佐保さん)
「できますよ、はい」(吉井シェフ)
「見た目の色を出したい。茶色じゃなくて。」(小松佐保さん)
「はい」(吉井シェフ)
「可愛くするにはどうしたらいいんだろう?」(小松佐保さん)
「うーん…」(吉井シェフ)

妥協を許さない新製品の開発

(小松佐保さん)
「原価を落とし、ヘルシーにして、見た目をかわいく、質を高く。私が常に無理難題をシェフに言い続けて、それに応えてくださっている感じですね。」

「幸ちゃんのイチゴハウス」(三重・玉城町)を訪問

 小松さんの「食」へのこだわりはこんなところにも。2月7日に彼女が足を運んだのは、三重県のいちご農家「幸ちゃんのイチゴハウス」。こちらで育てられているのは、豊かな香りと少ない酸味が特徴の品種「かおりの」です。その中でもお目当ては…

「これが、規格外いちごですか?」(小松佐保さん)
「そうですね、ここにちょっと傷があって、擦りむけていて…」(「幸ちゃんのイチゴハウス」山本翔史さん)
「え、これだけ?これだけの傷で?」(小松佐保さん)

廃棄される“規格外いちご”

 少し傷があったり、形や色が悪いだけで廃棄されている“規格外のいちご”を、ドーナツに使おうと考えたのです。狙いは、フードロスを減らすこと。いちごを提供する「幸ちゃんのイチゴハウス」の山本翔史さんからも、感謝の言葉が聞かれました。

(山本翔史さん)
「廃棄いちごは0円なので、そこまでにかかった経費も回収できないことになりますが、このように使っていただけるとそれも回収できますし、なにより産物を捨てなくて済むので、とてもありがたいですね。」

ベンチャー経営の厳しさにも直面

次々と新しい取り組みにチャレンジする一方で小松さんは、ベンチャー経営の厳しさにも直面しています。自身では売上をどう評価しているか尋ねると…

(小松佐保さん)
「全然だめだと思っています。シェフと一緒にいいものを作ったと思っていますが、このいいものをもっと広めていくのは私のマーケティング力なので、そこが全然足りていないと、いつも痛感しています。」

会社の利益も認知度も目標にはほど遠い中、小松さんを支えるのは「食」に対する思いです。

(小松佐保さん)
「食業界に携わっていたから難しさも知っていたし、利益を出しづらいのも知っていたので、『つらい業界によく飛び込んだよね』って言われるんですけど…、好きが一番かなと思っています。」

斬新コラボで新たな“相互送客”を!

「ダイアナ」の関さんにコラボを提案

 2月10日。厳しい状況を打開しようと、小松さんは意外な場所を訪れていました。

(小松佐保さん)
「かわいい!斬新な組み合わせですね、パンツとスイーツ。」
(「ダイアナ」関由果梨さん)
「普通なら想像しない組み合わせ、だから注目があるかもしれないですね。」

吸水ショーツ×スイーツ コラボBOX 5500円(税込み・送料込み) ※すでに販売は終了しています

 訪ねたのは、株式会社「ダイアナ」が運営する、吸水ショーツを手がけるフェムテックブランド「+FT SUPREME.LA.LA(プラスエフティ シュープリーム ララ)」。ショーツとスイーツをセットで売る、コラボBOXの販売を提案したのです。「食」という、他にはないフェムテック商品が受け、提案は採用されました。

(「ダイアナ」関由果梨さん)
「食は習慣付きやすいですし、一番取り入れやすいアイテムだと思うので、すごいところに着目
したなと思いました。」

(小松佐保さん)
「コラボすることで知っていただいて、いい相互送客をしながら、女性の悩みを解決する方法として、食もあるし、吸水パンツもあるし、いろんな方法があるってことを、生理やPMAで悩む女性に知ってもらえたらなと思います。」

完成した新商品、にんじんやレモンのドーナツ

 先日から試作を繰り返していた新しいドーナツは、朝食にしてもらえるよう甘さを控えめに。さらに、全てのスイーツを常温対応のものにしたため、ネックだった送料も安くなり、1箱当たりの価格を3割ほど下げることができました。
 
(小松佐保さん)
「心も体も元気じゃないと、何か新しいことに挑戦しようと思えなくなっちゃうじゃないですか。”食”で、女性たちがチャレンジできる世の中をつくっていきたいなと思っています。」

 スイーツをきっかけに、食と健康について考えてほしい。そんな願いを胸に、叶えたい夢に向かっています。

(読売テレビ 「かんさい情報ネットten.」 2022年3月1日放送)

ホームページ上に掲載された番組に関わる全ての情報は放送日現在のものです。あらかじめご了承ください。

過去の放送内容