2月15日(火)
神戸大丸店で1年ぶりの北海道物産展!しかし…北海道の特産品が危機的な状況でグルメの宝庫が危機に!?
新鮮な海の幸、おいしいスイーツなどグルメの宝庫、北海道。しかし…、北海道有数の観光地「札幌場外市場」では特産品の海の幸が危機的な状況で…。そんな中、2月16日から、大丸神戸店で1年ぶりとなる「北海道物産展」が開催されます!例年、“ウニ”や“いくら”といった北海道ならではの特産品が並びますが、今年は様子が違うようです。今、北海道の食に起きている危機を取材しました。
【特集】北海道物産展が1年ぶりに大丸神戸店で開催 !“おいしいもの”バイヤーが奔走するも…北海道の特産品に危機が!?その危機を逆手に新たな特産品も!
大丸神戸店で1年ぶりとなる北海道物産展が開催されました。例年ウニやいくらといった北海道ならではの特産品が並びますが…ことしは様子が違うようです。いま、北海道の食に起きている危機を取材しました。
北海道の海の幸盛りだくさんの海鮮丼
新鮮な海の幸などグルメの宝庫、北海道。しかし…
讀賣テレビ ten. 丹生谷雄介ディレクター
(讀賣テレビ ten. 丹生谷雄介ディレクター)
「札幌有数の観光地札幌場外市場です。北海道と言えば海の幸ですが、その特産品に危機が訪れていると言います」
(観光客の男性)
「食べたいなと思ったものがない…」
ウニの死滅を語る 卸売業者
市場の加藤さん)
「ウニも報道であったように死んでしまった…」
(酪農家の男性)
「牛乳というのは本来、牛の赤ちゃんにやるべきものを人間がいただいているものなので、破棄したり減らしたりは難しい…」
“新型コロナ禍”だけではない危機が。日本のグルメの中心地で今なにが起きているのでしょうか?
異常気象!? 赤潮によるウニの死滅から…
大丸 北海道物産展専属バイヤー 本田大助さん
大丸の北海道物産展専属バイヤーの本田大助さんは、18年にわたって北海道に駐在し、“おいしいもの”を探して北の大地をかけ巡っています。
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「ものが動く、消費者に使ってもらうというところが、なにより大事だと思います。そのお手伝いができればいいなと思っています」
赤潮の被害を受けるウニや貝
しかし、今回の物産展は、これまでとは違い問題に直面していました。例年、目玉商品となるウニやいくらなどの海鮮弁当。その販売がことしは難しいというのです。その原因が去年、北海道の太平洋沿岸を襲った赤潮。海水中のプランクトンが 異常に繁殖する現象です。赤潮の発生で海の酸素が極端に減少し大量のウニや貝などが死にました。その被害は北海道全土でおよそ82億円にも上り、ウニやいくらの価格が高騰しているのです。
高騰した北海道産のウニ 140g 1万1664円(税込み)
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「ダメージは太平洋を中心に大きかったと思っています。ウニなどは値段があがっています」
札幌市中央卸売市場
ウニやイクラに代わる海鮮弁当の食材を求めて本田さんが訪れたのは、水産物の売り上げで全国4番目を誇る、札幌市中央卸売市場。ここにコロナ禍で売れ残っている食材があると聞いてきたのです。
高橋水産 加藤邦洋さん ※高は「はしごだか」
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「“動いていないもの”をお願いしていましたが、何かいいものありましたか?」
(高橋水産 加藤邦洋さん)※高は「はしごだか」
「ちょうど『たこやわらか煮』(がありますよ)。ちょっと売るタイミング逃しちゃって、コロナになっちゃって(売れ残ったので)ぜひこの機会に…」
たこやわらか煮
北海道の郷土料理「たこやわらか煮」。お土産で人気の品ですが、旅行客の減少で売れ残っていました。
本田さんが試食をしてみると…
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「うん!おいしいですね。たこのうまみがくちいっぱいに広がるので、ぜひ使わせていただければ!インスピレーションがわきました」
さらに、目玉となる食材を求めて本田さんが向かったのは、札幌市内の水産加工会社。
水産加工会社 丸亀 若月裕之社長
(丸亀 若月裕之社長)
「きょうちょうど届いてまして…『オオスケ』、キングサーモンです」
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「きょうはそれを見るの楽しみにしてきました」
(丸亀 若月裕之社長)
「2本ご用意しています」
調理台に出された「オオスケ」を見た」本田さんから「すごい!」と声が上がります。
北海道産の天然キングサーモン「オオスケ」
北海道産の天然キングサーモン「オオスケ」。北海道内の料亭などにしか出回らないという幻の魚です。しかし、コロナ禍で飲食店の仕入れが減ったことで、物産展の目玉として扱えることに。
(丸亀 若月裕之社長)
「正直申し上げて、余るほどとれるものではなのですが、こういった状況で人の動きがありませんので、我々も販売させていただけるルートが限定的になっています。2月に神戸で販売させていただけるのは、非常にありがたいです。ぜひこの機会に、お召し上がりいただきたいです」
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「(関西の皆さんに)このオオスケの味を知ってほしいです。いい色してますね…」
本田さんと若月社長は、オオスケを見ながらほれぼれと「ええ魚やなぁ…」とつぶやいていました。
ことしならではのたことオオスケを手に入れた本田さん、札幌市内の飲食店に持ち込み、弁当づくりのスタートです。
飲食店 汐音 上田英人さん
(汐音 上田英人さん)
「色もいいですね、北海道の人でもなかなか食べられない『オオスケ』の商品だと思いますので…」
関西では滅多に食べることができない幻の魚、一体どんな弁当になるのでしょうか?
北のサツマイモをスイーツに
今回の物産展では、ほかにも売れ残った食材を活用した商品があります。ここは北海道・栗山町、ここにある物産展でしか食べられないという特別なスイーツとは?
いものサイズを音声で識別
サツマイモ農家の川端祐平さんが、かごからサツマイモを出しています。何やら声が…
Q 今しているのはどういう作業ですか?
(サツマイモ農家 川端祐平さん)
「(サツマイモのサイズを選別していて)音声で重さ(のランク)を言ってくれるんです。これが、大きすぎてあまりスーパーとかに並ばないものになります」
Q どういうものですか?
「3Lサイズで結構大きいサイズです」
Q 数は結構ありますか?
「そうですねこれも3Lになります…」
5トン以上のサツマイモ
Q 今回は相当多く出たんですか?
「これが全部そうなので…5トンとかもう少しありますかね…」
納屋いっぱいに「いも」の入ったかごが積み上げられています。
北海道産 由栗(ゆっくり)いも
4年前から北海道で本格的に栽培が始まった珍しいサツマイモ「由栗(ゆっくり)いも」、甘くておいしい味にするために、本州産よりも1か月以上“ゆっくり”土の中で育てるのが特徴です。しかし、規格よりも大きな芋ができやすいというデメリットがあります。そのため、お土産などに使われていたサイズの芋が余ってしまったのです。そこで、今回の物産展では スイーツの目玉商品に据えることに。
【フルーツスタジオ】「由栗いも」の焼いもスイーツ缶 税込880円
去年若者を中心に人気に火が付いた「スイーツ缶」、規格外の由栗いもを焼き芋にし ホイップクリームと一緒に缶の中に閉じ込めました。
“牛乳あまり”廃棄の可能性も… 消費を促せ「牛乳ラーメン」
そして、北海道の食といえば今最大の悩みのタネが…「牛乳」です。コロナによる休校などで消費が減り牛乳が余っているのです。
2021年の12月には、東京都の小池知事も「みんなで牛乳を飲んでいこうと…」とよびかけました。
年末は消費者が呼びかけに応え、大量の廃棄は免れたものの日本一の酪農地帯である北海道にとって問題は今も深刻です。
カーム角山 渡邊工 副社長
酪農家に話を聞いてみると…
(カーム角山 渡邊工 副社長)
「搾っている牛乳を“止めたり出したり”はできません。そうすると牛の頭数を減らさないといけないんです。頭数を減らすと収入が減るので、経営的には非常に厳しい状態です…」
このまま休校などが続けば、来月にも再び牛乳が余り、廃棄せざるをえないと言います。
サツラク農業協同組合(札幌市)
50年以上北海道で牛乳を作り続けるサツラク牛乳。去年、牛乳が原料の生クリームが余り、値下げせざるをえなかったといいます。そこで今回、大丸側は物産展に出す商品として、牛乳を使ったある料理を提案しました。
生産者も驚く商品、それは「ミルクラーメン」
サツラク農業協同組合 美馬裕隆さん
(サツラク農業協同組合 美馬裕隆さん)
「ミルクと塩って相性もいいので、しょっぱいものにも(牛乳が)合うということを皆さんに知ってもらういい機会になればいいなと思っています」
今回チャレンジするのは塩味がベース。試作は西山ラーメンの粕谷貴則さんが行います。札幌ラーメンのベースを残しながら、牛乳のまろやかさにもこだわりました。
試作のミルクラーメン
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「きれいな色ですね、まろやかで、塩味が引き立っていますね!」
(西山ラーメン 粕谷貴則さん)
「スープの量と牛乳の量を変えて半々にもしましたが、ラーメン感が薄れてしまうので、バランス的にこれくらいかなと…」
上々の味に満足気の本田さん。さらに、追加の提案も…。
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「札幌ラーメンといえば味噌なので、ぜひ味噌もチャレンジしてもらえたらと思います」
(西山ラーメン 粕谷貴則さん)
「味噌ですね。やったことないので、ちょっといろいろまたチャレンジしていいですか?」
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「もちろんです!」
2月16日~28日大丸神戸店で北海道物産展が開催 新たな名産品も!
そして、物産展を前日迎えた2月15日、北海道から自慢の品が続々と届きました。
由栗いも使用 コーヒータルト 1800円(税込み)
大きすぎて売れ残っていた由栗いもは焼き芋や…タルトにも。
そして、本田さん肝いりの牛乳を使った味噌ラーメンも完成しました。
北海道味噌ミルクコーンバターラーメン 1,150円(税込み)
(西山ラーメン 粕谷貴則さん)
「まろやかなコクのあるラーメンができました。今は北海道になかなか来られない方々が多いので、ここで北海道のおいしさを感じてもらえたらなと思います」
さらに、今回の目玉、海鮮弁当は…。
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「(盛り付け)お願いします!これカニですね…」
(調理の男性)
「はい、タラバです。 毛ガニ(も盛り付け)行きます」
北海道の海の幸がふんだんに盛り付けられ…
(調理の男性)
「たこも北海道産です。『たこやわらか煮』ボリュームよく行きます!」
そして、サーモンピンクの切り身を見た本田さん、「これがオオスケですよね」と嬉しそうです。
(調理の男性)
「北海道産オオスケ、豪快に盛って行きます!」
どんどん盛られていくオオスケの切り身…
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「これ、めちゃめちゃ貴重ですよね!2枚3枚4枚…」
幻の魚「オオスケ」が豪快に4枚載った特別な弁当になりました。
オール北海道産 鮭のオオスケ弁当 3,240円(税込み)
出来上がったお弁当手に取る本田さん。
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「いただきます!うん!とろけますね。オオスケが主役のお弁当だけど、北海道の“おいしいもの”が全部入っています」
北海道の食をめぐる危機があらわれた今回の物産展。しかし、本田さんはそんな今だからこそ、物産展を通して伝えたいことがあるといいます。
大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん
(大丸 北海道専属バイヤー 本田大助さん)
「先は見えないんですが、その変化の中で、変化をとらえながら、3~5年後に向けて北海道としての新たな未来定番を、生産者と一緒に今後考えていかないといけないと、改めて思っています」
(「かんさい情報ネットten.」2022年2月15日放送)
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