ytvでSDGs探究しよう!現役大学生vs読売テレビ社員vol.2
読売テレビの‘名物’プロデューサーが語る、
コンテンツ制作の醍醐味とその舞台裏とは・・・
7月1日月曜日。立命館大学(京都市)で開講した「読売マスコミ講座~メディアの公共性から 21 世紀の新聞・テレビの役割と課題を考える~」に登壇したのは、制作局の山本陽CP(チーフプロデューサー)です。
山本CPは、営業局を経て、番組制作の現場で、「ベストヒット歌謡祭」、「鳥人間コンテスト」、「超プロ野球ULTRA」など、いくつもの大型番組の制作や新番組の立ち上げに携わってきた‘名物’テレビマンです。
制作現場ではAD(アシスタントディレクター)から経験を積み、今はチーフプロデューサーという立場から、番組制作全体を統括しています。およそ200名の立命館大学の学生を前にしても落ち着いた語り口調で、コンテンツ制作の裏側と‘モノづくり’への熱い思いを伝えました。
サステナビリティグループ 石田由
「テレビ局はものづくりの会社、番組クオリティーが経営を左右する」
読売テレビに入社後、最初に配属された営業局で山本氏が手掛けたのは、担当していたスポンサーの提供番組、2006~2007年に放送された「ICHIRO MONDOW」でした。この番組は、当時米大リーグのシアトル・マリナーズに所属していたイチロー選手が、初めてMC(司会)を務めたミニトーク番組で、一年間限定で放送されました。この番組をはじめ、営業局時代に様々な番組をスポンサーに提案し、実現させていく中で、「テレビ局の根幹はモノづくりだ」と痛感したと話しました。山本氏にとってこの体験が、番組制作にのめり込むきっかけになりました。
「番組のクオリティーが高くないと企業はスポンサード(支援)してくれない」
「たとえ短い時間の番組でも、クオリティー(質)が高くないと、テレビ局のビジネスモデルは崩れてしまいます。良い番組でなければスポンサーも出演者も集まってきません。そうなるとプロジェクト(番組制作)は進みません。」そう感じた山本氏は、自分で番組を作るために「制作局で仕事をしたい」と強く思うようになったと語りました。
「自分が本当に表現したいことは何なのか?ひとつをしっかり持ち、そこから逆算してものをつくる」
山本氏は30歳を過ぎた頃、念願叶い制作局へ異動しました。制作局では、上沼恵美子さんの番組を皮切りに、全国ネットで放送している読売テレビの看板音楽番組「ベストヒット歌謡祭」の制作にも携わり、番組制作の第一線でのキャリアを積み上げていきました。
この日の講義のため、山本氏は、学生たちに制作現場における「大切なポイント」を伝えたいと考え、去年放送した「ベストヒット歌謡祭2023」の映像と、番組制作演出の‘虎の巻’ともいえる『カメラの指示書 ”カット割り”』を準備し、特別に公開しました。そして、音楽番組ではカメラをどの様に使って撮影し、番組を演出すれば良いのか、学生たちに対し質問を投げかけました。
「クイズです。この1曲分の歌唱映像を見て、番組の演出担当者が一番見せたい!と思った最も大事なカット(映像シーン)はどこでしょうか?実は演出担当者は、この中の‘ワンシーン’を効果的に見せたいために、このカットから逆算して他のカットを構成しているのです。」
学生たちからは「一番初めのカットかな?」、それとも「最後のシーンかな?」などと思い思いの意見が出る中、山本氏は、学生からの意見をしばらく聞いた後、正解のカットを紹介しながら、番組演出の重要なポイントについて語り始めました。
「自分が一番表現したいこと、ひとつをしっかり持って、そこから逆算してモノをつくることが大切なポイントです。」
「まずは自分の表現したいものがハッキリしていないと、視聴者に何を見せたいのか、途中で道に迷ってしまいます。モノづくりをする上では、自分の番組演出に‘軸’をもつことが大切です。」と語り、学生たちに番組制作における基本姿勢について語りました。
「テレビにあって新聞や雑誌の紙面にはないモノ。テレビにあってYouTubeやNetflixにはないモノは?」
2022年から2023年の毎週金曜深夜に放送していたバラエティ番組の「るてんのんてる」は、読売テレビの若手ディレクターたちが、企画、キャスティング、撮影、編集など、番組制作のすべての工程を一人でやり切る画期的な番組で、山本氏はチーフプロデューサーとして関わっていました。
各ディレクターが毎回違った企画を放送するという番組でしたが、山本氏は、この番組の最終回に、番組に携わった制作スタッフ全員をスタジオに集め、司会のフットボールアワーさんと「テレビの未来」について、‘対談形式’で激論するという企画を放送しました。その中で、一人のスタッフから投げかけられた質問が「テレビにあって紙面にないモノ。テレビにあってYouTube・Netflixにないモノは?」という問いでした。
講義でも「るてんのんてる」の最終回を見て、同じ問いを山本氏から投げかけられた学生からは「YouTubeは信頼性の面で弱い。テレビは報道の面で信頼度が高いと感じる。」などの意見が出ました。さらに、他の学生からは「山本さんは異動を多く経験されているが、異動すると一から新たな環境で取り組むことになるため、どんな気持ちやモチベーションをもっているか?」という質問が出されました。山本氏は「テレビ局で異動すると、新しい国に来たと思うくらいに、まったく違う世界になります。でも『クリエイトする』という意味では、どの部署でも同じで、知らなかったことを知るきっかけにもなり、制作の幅が広がることに繋がります。」と答えました。
山本氏は番組制作のほかにも「ProgLab〈プログラボ〉」という子ども向け‘ロボットプログラミング教室’の新規事業を立ち上げた経験について語りました。この時は、営業部門での経験を活かして、売り上げの見通しや収支の計画を自分で考えたことで、読売テレビでは、やりたいと思う気持ちとアイデアがあれば、色々なことにチャレンジできることを熱く語りました。
そして最後に「プロセスにプレジャーを」、過程を楽しんでください!と学生たちに熱いメッセージを送り、
90分間の白熱講義の幕を閉じました。
山本陽氏がチーフプロデューサーを務める「鳥人間コンテスト2024」が今夏7月27日(土)・28日(日)に滋賀県彦根市の松原湖岸で開催されます。今年は、滋賀県版SDGsであるMLGs(マザーレイクゴールズ)との連携をさらに深め、琵琶湖の環境保全と地域との共生を掲げて、自然にやさしい番組制作に取り組みます。
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