「ytvでSDGsを探究しよう」大阪市の小学校で「災害と情報」をテーマに特別授業を実施しました。

2月5日(月)に大阪教育大学付属 平野小学校にて、「災害と情報」について学ぶ特別授業を、ESG推進局サステナビリティグループの山川友基部長が講師となり行いました。

 

平野小学校の5年生は「未来そうぞう科」という授業で「南海トラフ巨大地震」をテーマに、「震災時に今じぶんたちができること」について学んでいて、今年元日に能登半島地震が発生したことを受け、急きょ学校側が「災害と情報」に関する授業を読売テレビに依頼。これまでの学びを通じて、「災害報道とテレビ、迅速かつ正確な情報発信者として気を遣っていることや、情報発信者にもなりうる子どもたちに期待すること」について教えてほしいという要望を受けました。

情報伝達の進歩と災害

「昔の人たちは災害を後世の人たちにどの様に伝えようとしてきたのか」。

100年から150年の周期で発生してきた「南海トラフ巨大地震」では、マグニチュード8クラスの大きな揺れを引き起こし、大津波による甚大な被害が繰り返されてきました。室町時代の1361年に発生した「正平(しょうへい)南海地震」は南海トラフ巨大地震だったともいわれ、徳島県美波町には、当時建立された供養塔が今も残っています。犠牲者の名前を刻み、後世の人たちが同じ被害にあわないように、「大切な情報」を伝えようとしたものだと考えられています。

  • 正平南海地震の供養塔「康暦(こうりゃく)の碑」 出典:徳島県立埋蔵文化財総合センター レキシルとくしま

「正平南海地震」から660年もの歳月を経た今、災害時の情報伝達の手段は大きく変わりました。21世紀の現代、子どもたちも当たり前のようにスマートフォンやインターネットを使うようになりました。そんな子どもたちに、改めて「情報」について考えてもらう今回の授業。「情報」の歴史をさかのぼっていくと、子どもたちは一斉にメモを取り始めました。

 

そんな携帯電話はいつ誕生したのか。1980年代に放送された、発売当初のCMを子どもたちに見てもらうと、「うわー!」という驚きの声もあがりました。若い女性の手には、見慣れているスマートフォンとはまったく違う、大きな受話器が握られていたからです。これが今につながるモバイル時代の幕開けになったことに、子どもたちは興味津々の様子でした。

阪神淡路大震災が残した「情報伝達」の教訓

1995年1月17日、阪神淡路大震災が起きました。災害時の情報伝達をテーマに語る時、山川部長は、子どもたちに忘れられない光景があることを伝えました。それは、学校や公民館などの避難所の壁に、びっしりと貼られていた「付箋」のことです。この付箋には、被災者が大切な人に、自分の居場所を伝えようと、個人の名前や連絡先が書かれていました。携帯電話が個人レベルでは、まだまだ普及していなかったため、家族や知人の行方を探す人たちが、避難所を駆けずり回って、ひとつひとつ付箋を確認していたのです。災害時に正しい情報を、いかに早く伝えることが重要であるか、取材経験を踏まえて子どもたちに伝えました。

情報とは…“情”を報じること

携帯電話からスマートフォンへの情報端末の進化に加えて、電子メールからSNSの時代へと、個人が簡単、便利に情報を発信できる時代になりました。技術の進歩は、莫大な情報量の増大を引き起こし、特に災害時には、正しい情報だけでなく、デマや真偽不明の書き込みがあふれかえることが社会問題となっています。

2016年4月14日に発生した「熊本地震」の際に問題となった、「ライオンが動物園から逃げた」というデマ情報は、被災者の不安をあおり、社会を混乱させました。このデマを流した男(当時20)は警察に逮捕される事態となりました。しかし、災害時にデマが流されるという問題は、およそ100年の関東大震災でも深刻な被害を引き起こしました。

 

一方で現代では、災害時の情報発信によって、被災状況が瞬く間に世界中に伝えられ、国内外の大勢の人たちが、物資の提供や、義援金の寄付、さらにはボランティアとして救援活動に加わることができるようになっています。2008年5月に中国で起きた「四川大地震」では、日本から派遣された国際緊急援助隊の活躍ぶりが評価され、日中関係を好転させるきっかけにもなりました。

 

「情報とは、“情”を報じると書きます。そして情報とは「人」の中にある大切な思いを、お互いにやりとりすることです。」「嘘をつく人に、自分の大切な情報を預けることができるでしょうか?人が心を込めて発信するからこそ、情報なのです」。

山川部長は、こんな言葉で授業を締めくくりました。子どもたちからは活発な質問が寄せられ、およそ1時間の授業が終わりました。

授業を終えて

今回は小学5年生を対象にした授業でしたが、元日に能登半島地震が発生したことを受けて、急きょ弊社に出張授業の要請があり、学校側の防災に対する意識の高さを感じました。先生方が、今では小学生でもいつでも自由に情報を発信できることのメリットとデメリットについて、教育することの大切さを認識しておられることに感銘を受けました。私どもも報道機関として、学校現場との交流を深め、学びと気づきの機会を提供して参ります。

 

ESG推進局サステナビリティグループ 山川友基

 

 


 

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