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選挙プランナー・大濱崎卓真さん

【独自解説】当落のカギを握る!?“選挙プランナー”が明かす選挙運動ウラ側「当選するかどうかは序盤で分かる」

“選挙プランナー”とは?

10月31日に迫った衆議院総選挙。19日の公示を前に、水面下ではすでに激しい戦いが始まっているようです。時代と共にその戦い方も変化するなか、近年勝敗のカギを握り、存在を強めているのが「選挙プランナー」と呼ばれる、選挙のプロたちの存在。今回の選挙でも依頼が殺到している、“現役”選挙プランナーの大濱崎卓真(おおはまざき・たくま)さんが、最新の選挙戦の舞台裏を独自解説しました。

厳しい予想も覆す!大濱崎さんの実績

選挙プランナー・大濱崎卓真さんのプロフィル

 大濱崎さんは、1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティング「ジャッグジャパン株式会社」を設立し、現在代表取締役です。衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わっています。

 これまでの実績としては、首長選挙では無所属現職で、情勢調査では厳しい予想の候補予定者から、選挙9か月前にコンサルティング依頼を受け、プランニングと精緻な情勢調査の実施で選挙戦全体の組み立てを行った結果、当選。

 都道府県議会議員選挙・政令市議会議員選挙では、無所属新人で政治的キャリアの全くない若手候補予定者から、選挙11か月前に依頼を受け、2か月で政治活動開始の準備を行い、街頭演説などの実地研修を複数回行ったほか、後援会設立の組み立て、各種印刷物制作手配一式を全て行った結果、地元新聞では「×」印のところ、逆転当選させました。

選挙プランナーの仕事とは?

選挙プランナーの主な仕事

 選挙プランナーの主な仕事は、選挙ポスターの写真撮影やキャッチフレーズの提案、選挙グッズの制作、選挙戦のスケジュール管理、後援会づくりの助言などのコンサルタント業務、電話・インターネット調査による有権者ニーズの分析や世論調査など、多岐にわたります。

Q.選挙プランナーになるには、特別に何か資格がいるのですか?
(選挙プランナー・大濱崎卓真さん)
「何か資格が必要というわけではないので、やはり政治的な経験を積んでいるかどうかが重要だと思います。」

Q. 厳しいのは、自分が選挙プランナーになった候補者が選挙に当選したかどうかで、今後のオーダーが来るか来ないかに影響するということですね?
「そうですね。やっぱり、実績はすごく注目されますね。」

Q.年間通したら、地方選挙も含めて全国何処かで選挙をやっているのですか?
「はい、毎月ぐらい選挙やっていることもあるので。」

当選に不可欠と言われる“三バン” 無くても勝てる?

“三バン”なくても勝てる?

 まもなく始まる衆院選挙戦は、これまでの選挙戦から少し変わってきています。これまでは支持組織を指す「地盤」、知名度を指す「看板」、資金力を指す「カバン」、この“三バン”が当選に必要不可欠だと言われていましたが、大濱崎さんによると「選挙プランナーの登場で“三バン”がなくても立候補しやすくなった」ということです。

Q.一定数いる世襲議員が非常に強いが、“三バン”がなくても戦い方によっては国政選挙で勝てる可能性がある?
(大濱崎卓真さん)
「そうですね。少し昔ですと、小泉政権のときの郵政解散のように、落下傘候補がたくさん出た選挙もありました。そういうのが最近は傾向として増えてきている印象があります。」

Q.候補者のキャッチフレーズの提案は、ゼロからするのか、その人の政治心情をくみ取って何かキャッチーなコメントを考えるのか、どっちですか?
「やっぱり政治信条はすごく大事なので、候補者本人から聞き取りはしますけれども、やはり“候補者が言いたいこと”と“有権者が求めていること”にミスマッチが起きたらどうしようもないので、『有権者が求めていることは、こうなんじゃないですか』と世論調査の結果から、フィードバックして決めていくことが大事ですね。」

選挙にはどれだけお金がかかる?

衆院選にかかる費用

 選挙に出るためには、だいたいどれぐらいお金がかかるのか?大濱崎さんによりますと、まず立候補にかかる供託金が小選挙区と比例代表の重複の場合は600万円で、一定数の票を獲得できなければ没収されてしまいます。選挙用品費用は、選挙ポスターや選挙カーなどおよそ300万円から400万円。こちらは公費負担で、一定数の票を獲得出来なければ不支給です。

Q.この選挙用品費用は、候補者が無所属でも300万円~400万円が公費負担で、ある程度の票を取れば、あとから返ってくるのですか?
(大濱崎卓真さん)
「直接、候補者が立て替える必要もないので、業者が役所に請求をします。ただ、票を10%取れなければ、役所から候補者に請求書が回ってくるので、候補者が払わなければならないです。」

 その他にも人件費や選挙事務所費など色々なお金がかかるため、準備すべきお金は総額約1500万~2000万円。ただし、一定票を獲得できれば1000万円程度返金されるということです。

Q.選挙では何百万円単位のお金がポンポン消えていく感じですね?
「選挙期間前にもお金が掛かってくるので、一般的には衆議院小選挙区に出ると、『出が3000』の『入りが1000』。『入り』というのは、寄付が集まることがあるので、手元から消える金額でいうと、1000万円後半から2000万円近くになると思います。」

Q.選挙前にも1000万円近く必要ということですが、選挙前は具体的に言うと何が一番大きいのですか?
「やはり新聞の折り込み広告ですとかチラシですよね。小選挙区ですとだいたい有権者は40万人ぐらいいますので、平均で18万世帯ぐらいあるわけですけれども、折り込みのチラシを入れるだけで何百万円というお金が1回で消えることになります。」

“選挙プランナー”の歴史

選挙プランナーの草分け

 選挙プランナーの“草分け”的存在が三浦博史(みうら・ひろし)さん。約30年前に総合選挙プランニング会社を設立しました。三浦さんは、2007年に東京都知事選で3選を果たした石原慎太郎氏のキャッチフレーズ「東京再起動」を打ち出しました。現在国内では、活躍している選挙プランナーは100人程度ということです。

Q.アメリカ大統領選挙では、凄い人数が選挙プランナーとして付いているのですか?
(大濱崎卓真さん)
「米国だと、キャンペーンマネジャーと表現しますが、やはり選挙がキャンペーンなんですよね。それぞれ広報物ですとかSNSだとか、それぞれマネジャーの下にスタッフがいる形になりますので、ワンチームという形で動くことが多いと思います。」

Q.選挙プランナーは、30年前から増えてきた?
「選挙プランニングだけで飯を食ってる人というのはそんなに多くはなくて、例えばデザイナーとかキャッチフレーズだけやっている人も入れると、たぶん100人程度なのかなっていう意味だと思います。」

SNSを駆使!選挙運動の最前線

SNSを活用して選挙に勝つ

 選挙の戦い方も年々変化し、特にネットを駆使した戦い方が重要度を増しています。2013年、インターネットを使用した選挙運動が解禁となり、政治家のホームページが次々と開設されました。2019年の参院選では、自民党の比例候補がツイッターを駆使し、54万票を獲得し当選しました。

 敏腕選挙プランナーの戦略は、有権者に直接呼びかける“地上戦”からSNSを駆使した“空中戦”へと変化しています。大濱崎氏のSNS戦略は、例えば、Twitterは「幅広く発信する手段で裾野を広げる」、YouTubeは「過去の発言を貯金」、Facebookは「リアルなつながり」、公式LINEは「起爆剤」と、SNSの種類によって使い分けています。

Q.候補者の公式LINEに入ってもらうのはハードルが高いですが、既読になったのは分かるのですね?
(大濱崎卓真さん)
「人数的には分かります。1000人が登録されて、何人が既読したかは分かりますね。

Q.LINEに入って貰うのは難しいのでは?
「LINEは結局、押しつけがましいメッセージを無理やり送るツールなので。Twitterは有権者が、自分が見たい時に見られるメディアじゃないですか。なので、一方的に送りつけることができるLINEを登録してもらうというのは、なかなかコアなファンでないと登録してもらえない。ただ何か拡散したい時、新しく動画を作りました、写真を作りました、何処で演説します、と知って欲しい時に強制的に送るための情報ツールとしては、LINEが一番万能ですよね。プッシュ通知で送れるので一番強いと思います。」

選挙用アプリも開発!

選挙用アプリの開発

 選挙用のアプリも開発されました。選挙コンサルティング会社「ジャックジャパン」は地理情報システムを使って政治家向けのアプリを開発しました。地域ごとの家族構成や選挙カーの走行ルート、推計所得などのデータを地図に落とし込み、地域の特徴に合わせて政策を訴えることができるということで、国会議員約30人の事務所が利用しているということです。

Q. この地域はこういう家族構成が多い、この地域はこういう職業の方が多い、これくらいの年収の方が多い、などで、候補者も言う内容を言い分けたりするのですか?
(大濱崎卓真さん)
「後援会の人がどれぐらいいるかという情報も含めて、この地域ではこういう傾向があるということを、国勢調査などのデータを使っているんですが、お年寄りが多い所では高齢者対策、子育て世代が多い所では子育て育児の問題、と切り分けていかないと意味が無いと思いますので。」

Q.例えば、選挙カーが候補者の名前を連呼する場所、連呼しない場所などがすみ分けがあるのですか?
「今コロナ下なので、在宅で働いている方もすごく多いです。そうすると、今までであれば駅前やっていたのが、住宅街に入っていったほうがいいという考え方もあります。一方で、住宅街で仕事してる方からすると、テレワークをやっていて音が入って迷惑だって方もいらっしゃるので、お勤めの方がどれぐらいいらっしゃるのかも重要な要素ですよね。」

勝敗の手ごたえは、いつ分かる?

Q.選挙戦を戦っている中で、「これは当選しそうだ」とか「これは負けているな」とかは、手応えとしてアナログな感じで分かるのですか?
(大濱崎卓真さん)
「選挙期間中の有権者の反応というのは、どんどんリアルタイムで変わっていくものなので、有権者の方が候補者に対して、どんな顔で見ているとか、握手を求めた時にどれぐらい反応がいいかとか、そういったものが時々刻々変わっていきます。」

Q.「これ当選するな」とか「このままじゃ危ないな」とか分かります?
「はい。序盤の段階で分かってくるので、そこで軌道修正をかけていくことが期間中も求められると思います。」

Q.ドラマで選挙プランナーが候補者をガンガン怒るのを見たのですが、実際に怒るのですか?
「やはり意味がないことを続けても意味がないので、それはきちんと選挙事務所に戻ってからですけれども、『これよくないんじゃないですか』とか『こういう風にもっと声掛け変えた方がいいですよ』とかはお話ししますね。」

誰の依頼でも受ける?成功報酬?

Q.ある程度の条件が合えば、与野党関係なく仕事は受けるのですか?
(大濱崎卓真さん)
「基本的には政党を問わずなので、与党でも野党でも関係なく受けます。」

Q.絶対受からない人に頼まれたらどうするのですか?
「絶対受からない人には『絶対、受かりませんよ』と言いますね。まず開口一番に。」

Q.努力すれば受かる人でなければ、受けない?
「そうですね、本人の努力が一番大事なので、それに対抗するための施策を打っていきますが、何をやっても難しい人にお金を貰ってもどうしようもないので、そこは『難しいですよ』ときちんと言うようにしてます。」

Q.成功報酬ですか?当選したら幾らとか、落ちたら幾らとか?
「基本的には成功報酬じゃなくて、大きな選挙があれば、それだけ時間をかけますが、基本的には成功報酬ではなく、かかっただけのものに対してのコンサルティングのフィーを頂くという考え方です。」

Q.半年前から準備したり、期間は長いのですね?
「普通は衆議院に出るっていうと期間は相当長いと思うんですけれども、ただ新しく政党を立ち上げるとかそういう話が出てきますので、その時にすごいコンパクトな中でやれることをやっていくという形になります。」

“コロナ”の中で戦う選挙はどうなる?

Q.今回の総選挙は、コロナの影響で街頭演説がフルオープンでない中で、今まで通りの戦い方とはいかない?
(大濱崎卓真さん)
「感染対策をしっかりやっていく。ただ、緊急事態宣言が明けましたので、やはりどんどん昔のやり方に戻っていくとは思います。」

Q.我々有権者は投票するにあたって、候補者のどこを見たらいいですか?
「必ずしも政策だけではなくて、人物・人柄をしっかり見てほしいなと。政策はきれいごとを並べても、実現できなければ意味ないですし、臨機応変な対応ができるか、発信力があるか、そういったところを見てほしいなと思いますね。傾聴力があるかどうかっていうのも大事だと思います。」

Q.今回はどんな選挙になりそうですか?
「コロナで、今までなかったことが起こっている中で、対応力がどれだけしっかりできるか、そこが与党、野党の候補者の中で差が出てくるかなと思います。」

(情報ライブミヤネ屋 2021年10月7日放送)

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