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【独自解説】岸田首相の長男、秘書官を事実上“更迭” 「国民の批判に早く応えたい」庇い続けた息子を切った
2023年5月31日 UP
岸田首相の長男・翔太郎氏が、首相秘書官を辞職しました。事実上の“更迭”とみられています。2022年の年末に撮られた首相公邸での“不適切写真”が流出し、批判が噴出したことが原因です。本来なら、『首相が公邸を私物化しないよう管理すべき立場』である秘書官の問題行動。そのことが今後の岸田政権にどう影響するのか。政治ジャーナリスト、田﨑史郎氏の解説です。
不適切写真“流出”、以前から行動を問題視されていた翔太郎氏
官邸事務所によると、首相公邸は警備体制に加えて執務機能も備えており、年間で約1億6000万円の維持費がかかっているということです。「週刊文春」によりますと、2022年12月30日、翔太郎氏ら岸田家の親族10人以上がその首相公邸に集まり、忘年会を開いていたといいます。そして、その際に撮られた“公的な場所での不適切な写真”が流出しました。翔太郎氏が中心に立ち笑顔を見せる写真もありましたが、岸田首相は「報道により認識した」ということです。
Q.首相公邸に親戚を呼び、写真を撮るというのは、ダメなことなのですか?
(政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏)
「居住空間に親族を呼んで食事をすることは、全然問題ありません。しかし、写真で問題になっている場所は、会議が行われたり、迎賓館的機能も持つ公的施設です。そこを自分の遊び場のように使うのは、アウトだと思います」
翔太郎氏の行動が問題になるのは、今回が初めてではありません。2023年1月、岸田首相の欧米訪問に翔太郎氏が同行した際、公用車で観光して土産物を買ったという報道がありました。この時、岸田首相は「土産物を購入するのも秘書官の業務だ」と弁明していました。
Q.外遊に出たら、土産物を買うという慣例があるのですか?
(田﨑氏)
「最近は減っていますけど、昔は多かったです。お土産を総理大臣自身が買いに行くわけにはいきませんから、秘書官が買いに行くケースは多かったと思います。観光したといわれているのも、お土産を買うために観光地を回ったということです」
“更迭”のワケと今後への影響
Q.翔太郎氏を更迭したことは、解散総選挙に向けて岸田政権がアクセルを踏んだのかブレーキを踏んだのか、どちらだと思いますか?
(田﨑氏)
「解散時期をどう読むかで見方は変わると思います、私は9月解散・10月総選挙の可能性が高いと思っていますので、翔太郎氏を早めに更迭したのは、『国民の批判に早く応えなければいけない』という気持ちが強く、解散総選挙を行うためではないとみています。しかし、会期末(6月21日)までに解散総選挙を行う可能性が高いと思っている人たちは、『障害を取り除いた』というふうにみるでしょう」
Q.G7でゼレンスキー大統領が電撃訪問し、岸田首相の支持率が上がったにも関わらず、翔太郎氏という秘書官一人の行動だけで支持率が下がっているという世論調査もあります。一挙手一投足が非常に重要ですよね?
(田﨑氏)
「支持率が落ちたと出たのは日経新聞の調査で、5%ぐらい落ちているのですが、同じ時期の朝日新聞の調査では上がっています。しかし、朝日新聞の調査でも、『翔太郎氏の行動については問題だ』というのが76%に達していて、『これは早く何とかしなければ』と思ったのではないでしょうか」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年5月30日放送)