記事
【独自解説】大谷選手の食生活は「食事を楽しむより栄養摂取」ゆで卵3つ、タンパク質60g、苦手はトマト!?二刀流パワーの源をMLB専門家が解説
2023年4月4日 UP
日本時間の4月3日、アスレチックス戦に3番指名打者で出場したエンゼルスの大谷翔平選手が、5回表の第3打席に初球を完ぺきにとらえる今季第1号の特大ホームランを放ちました。続く4日のマリナーズ戦でも、第3打席に2ランホームランを打ち、連続試合安打も4に伸ばしています。目下絶好調の大谷選手の知られざる素顔、二刀流のパワーの源は何なのか?メジャーリーグ取材歴28年のMLBアナリスト・古内義明氏が解説します
MLBに新ルール導入、影響は?
大谷選手は開幕戦に投手と指名打者の二刀流で登板。6回無失点、10奪三振という成績でした。
Q.今シーズン大谷選手は、ストレートも早いのですが、スライダーがスゴイことになっていますね。
(MLBアナリスト古内義明氏)
「スライダーは、50cm以上曲がっていますね。これを“スイーパー”というのですが、それを7割くらい投げています」
Q.今シーズンの大谷選手のバッティングですが、例えばサードが1-2塁間を守るというような極端な大谷シフトが禁止されたので、センター前ヒットなどが増えて、打率も上がりますよね?
(古内氏)
「開幕戦でもそういうシーンがありました。今年は、打率3割・30本塁打・30盗塁のトリプル3の可能性が出て来ました。盗塁に関しては、ベースが一辺7.6cm大きくなって、塁間が11.4cm短くなったので、盗塁成功も増える可能性があります」
今シーズンからは他にも、メジャーリーグのルールが変わっています。試合のペースを上げるための「ピッチクロック」が導入され、ピッチャーは、投球間隔をランナーなしの場合15秒以内・ランナーありでは20秒以内に投げないと、1ボールをカウントされます。またバッターも、投球制限時間の残り8秒までに構えないと、1ストライクを取られます。
Q.選手には大きな影響があるのではないでしょうか?
(古内氏)
「ピッチャーもバッターも、ルーティンワークを削って対応しています。大谷選手の場合、普通はキャッチャーが付ける『ピッチコム』という機器を自分が付けて、ピッチャーの方からサインを出していました。私が知る限りでは、ピッチャーがこの『ピッチコム』を付けているのは、ロイヤルズのグインキー投手と大谷選手の2人くらいです」
Q.ボタンがいっぱい付いている機器ですが、ボタンを押すと球種が伝わるのですか?
(古内氏)
「一つのボタンを押すと、例えば『スプリットの外角低め』というように、球種とコースが伝わります。通常はキャッチャーが、経験やデータに基づいてサインを出すのですが、昨シーズンも大谷選手は首を振る場面が多くあり、エンゼルスのオハピー捕手はメジャー2年目の25歳と若いので、大谷選手が投げたいボールを投げるというシステムにしたのだと思います」
大谷vs藤波 10年ぶり同学年対決
4月2日、アスレチックスの藤波晋太郎投手と大谷選手の、10年ぶりの同学年対決が実現しました。初対決では大谷選手をファーストゴロに打ち取るなど、藤波投手は2回まで無失点で抑えましたが、3回にノーアウト満塁で大谷選手を迎え、あと少しでホームランという大きな当たりのタイムリーヒットを打たれるなど、8失点で降板しました。この日大谷選手は、5打数2安打2打点でした。大谷選手は、「藤波投手は、立ち上がり素晴らしかった」と讃えた上で、「3回のタイムリーヒットは抜けてほしいなっていう思いだった。満塁だったので、それが一番だったかな」と話しています。
Q.藤波投手もスゴイ球を投げていましたよね
(古内氏)
「藤波投手も、立ち上がりの2回はほぼ完ぺきなピッチングでした。ただ3回に、先頭バッターにフォアボールを出してから突如調子を崩して、スライダーを狙われました」
Q.藤波投手の次回の登板は楽しみですが、抑えの方が良いかも知れませんね?
(古内氏)
「その可能性もあると思います。また、アスレチックスも世代交代中で、ロンガリア捕手も24歳と若いので、もう少し経験のある捕手だったら、藤波投手も良いピッチングをしたかもしれません」
大谷選手は、藤波投手からフェンス直撃のタイムリーヒットを打った際、ベンチに向かって両手を挙げて“ぐるぐる回す”パフォーマンスをしていました。エンゼルスのネピン監督は「WBCで少し見たが、彼のダンスのようなパフォーマンスをメジャーでもやってほしいと望んでいた。クールです」と話しています。
Q.大谷選手に、WBCの決勝などでもしたように、チームを鼓舞してほしいということでしょうか?
(古内氏)
「昨年もピッチングでは声を張り上げるようなシーンもあったんですが、今期は『自分がチームを引っ張るんだ、勝ちたいんだ』という意欲が見えます」
体作りの先を見据えて…大谷選手の食事事情
侍ジャパンの高橋宏斗投手は、テレビ番組に出演したときに大谷選手の食事について、「毎回ゆで卵を3つ食べていた」と話していました。古市氏によると「大谷選手は、やりたい技術から逆算して食事を決めている。ダルビッシュ投手も似たようなところがある」ということです。
Q.WBCで優勝した翌日に、ダルビッシュ投手がワゴン車の中で何か食べていましたが、それも考えて食べているんですか?
(古内氏)
「フレンチトーストを食べていましたが、当然計算して、この時間に食べようと思って食べています」
大谷選手もCM撮影時のインタビューで「僕らにとって体が資本なので、食事は一番メインかなと思います。クリーンな食事を心がけているので、甘いものなどと戦っているというか、欲と戦っています」と答えています。また2021年のインタビューによると、血液検査をして自分に合った食べ物を取るようにしているということです。
Q.アメリカのアスリートは、血液検査をして食事を決めるというのは良くしていますよね?
(古内氏)
「当たり前にしています。大谷選手の場合は、1日に60gのたんぱく質をいかにして摂取するかということを考えていて、食事を楽しむというより栄養の摂取というような食生活だと思います」
他にも古内氏によると、「大谷選手は1日に6~7食を食べていたときもあり、外食はほとんどせず自炊が多い。オムライスを作るのが上手」だそうで、苦手な食べ物はトマトだということです。
Q.食事以外に、科学的トレーニングも相当取り入れているのでしょうか?
(古内氏)
「最先端のデータを駆使してトレーニングをしています。彼の場合、30歳までに体を作って、その上に技術を習得したいという考えがあります。体作りには、まだ先があるんです」
そして今年のメジャーリーグ選手の年収ですが、約86億円で大谷選手がトップになりました。
Q.これは年俸がトップということですか?
(古内氏)
「2位以下の選手の場合は、副収入は5%くらいです。しかし大谷選手の場合、55%がスポンサー契約という稀な選手です。車から時計・食品まで、あらゆる業種が彼を応援したいと手を挙げています」
Q.エンゼルスの順位によっては、今シーズンに大谷選手のトレードもあり得ると聞いたのですが?
(古内氏)
「アート・モレノオーナーは、『7月31日のトレード期限までに、エンゼルスがプレーオフの出場争いをしていれば、大谷選手をキープする』と言っています。これは裏を返せば、『プレーオフ争いをしていなければ、出す』ということも考えられます。昨年も3対1の超大型トレードを画策したのですが、大谷選手に見合う選手がどこも用意できなかったということです。しかし今年は、トレードをしないとシーズンオフにFAで大谷選手が出ていく怖れもありますので、プレーオフ争いから脱落した場合は、トレードもあり得ると思います」
Q.大谷選手は、場合によっては違うチームで、ワールドシリーズに出ている可能性もあるということですか?
(古市氏)
「そういうこともあり得ます」
(情報ライブミヤネ屋2023年4月3日放送)