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逮捕されたガーシーこと東谷義和容疑者

【独自解説】ガーシー容疑者の逮捕容疑「常習的脅迫」、捜査のポイントは「“常習性”の立証」量刑判断は「変な弁解をしないかで変わる」元検事が解説

 パスポート失効後もドバイに滞在していた前参議院議員・ガーシーこと東谷義和容疑者(51)が急転帰国し、著名人らへの常習的脅迫などの容疑で逮捕されました。帰国を拒み続けた東谷容疑者に何が?そして今後の捜査の行方は?元検事の弁護士・亀井正貴氏の解説です。

東谷容疑者の逮捕容疑「常習性脅迫」とは?

亀井正貴弁護士

 国際手配の末、6月4日に急転帰国し、逮捕された東谷容疑者。接見した弁護士によると、金に困って帰国したわけではなく、以前は「日本に帰国できなくてもいい」などと発言していたものの、母国の土地を踏んで「すっきりした気持ちとホッとした気持ちが強い」と話していたといいます。また、容疑については「やったことはやった。協力姿勢でいきます」と話していたということです。

東谷容疑者逮捕の概要

 東谷容疑者は、2022年に配信した動画の中で著名人ら3人を常習的に脅迫したほか、その内の一人でジュエリーデザイナーの男性に対し事業をやめるよう要求するなどした疑いが持たれていて、「常習的脅迫」「威力業務妨害」「強要」「名誉棄損」の容疑がかけられています。

Q.これらの中で一番重い罪はどれですか?
(元検事 亀井正貴氏)
「『常習的脅迫』です。それ以外は体刑と罰金刑の両方があり得ますが、『常習的脅迫』には罰金刑がなく、体刑のみになります」

捜査のポイントとなる「常習性」

 亀井氏は、「経済的目的が動機なら常習性は強まる」といいます。チームで名誉棄損や脅迫をして、その様子をSNSに投稿して収益を上げていたということになれば、常習性を示す証拠になるということです。

Q.動機が経済的目的なら、常習性の可能性が高まるのですか?
(亀井氏)
「その犯罪を何度もやることを常習性といいますが、そのためには強い動機が必要で、その場合には組織性があるということになります。組織としてやっていくのだから継続性があるということですし、それが経済目的であれば、ずっと継続していかなければならないということです」

Q.ジュエリーデザイナーの男性に対し「奥さんもよく知ってます」などと言っていたという情報がありますが、これは家族も脅迫していたということになりますか?
(亀井氏)
「直接の被害者はこの男性ですが、『周りの人にも危害を加える』と暗に告知することによって、より一層強い精神的な衝撃を与えたということになります」

「常習的脅迫」の量刑

 常習的に生命、身体、自由、名誉または財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫することは「暴力行為等処罰法違反の罪」にあたり、3か月以上5年以下の懲役が科されます。

Q.今回の容疑は「3人に対する常習的脅迫」なのですね?
(亀井氏)
「一般的には、まず逮捕してから再逮捕していくという手法がありますが、本件の場合は長期間に及ぶ捜査により、物的証拠や関係者の供述も揃っていますから、それに対して東谷容疑者が何を言うかだけがポイントです。もちろん被害者数も量刑に影響を及ぼします」

パスポート失効後もドバイに滞在

 東谷容疑者に対しては、3月16日に警視庁が逮捕状を取り、翌週に外務省がパスポート返納命令を出しました。しかし、その期限を前に東谷容疑者が紛失を届け出て、パスポートは失効。にもかかわらず、6月4日まで日本に帰国することはありませんでした。

Q.ずっとドバイに居続けたということで、心証はどうですか?
(亀井氏)
「心証は悪いです。逃亡しているのと同じですから、『反省していない』ということでもありますし、かなり悪い情状として評価されると思います」

執行猶予が付く可能性は?「容疑者の供述次第」

今後の政治活動は?

 旧NHK党の前党首・立花孝志氏は、東谷容疑者の逮捕前に会見を開き、「再度、国会議員に挑戦してもらいたい」などと発言していました。今後、東谷容疑者が政治活動に戻れる可能性はあるのでしょうか?総務省のホームページなどによると、被告人の立場なら、勾留中であっても「推定無罪の原則」により立候補は可能だといいます。有罪判決を受けた後は、執行猶予付きの場合は立候補可能、実刑判決を受け収監中の場合は立候補不可だということです。

「容疑を認めるか否か」がカギに

Q.執行猶予がつくと思いますか?
(亀井氏)
「初犯ですし、この罪名なら原則執行猶予がつく事案だとは思いますが、示談ができるかどうか、被疑者自身が否認するのか、事実は認めても変な弁解をするのか等、どういう対応をするのかでも結論は変わってくる可能性があると思います」

被害者男性のコメント

 被害者の一人であるジュエリーデザイナーの男性は、東谷容疑者の逮捕を受け、「私に関する配信内容が事実無根であったことが、一日も早く明らかになることを希望いたします」とコメントを出しました。

Q.この被害者男性は、脅迫動画によってビジネスができなくなり、店を閉めざるを得なくなったということです。損害は見えていると思いますが、示談はあると思いますか?
(亀井氏)
「弁護人としては示談を目指す事案だと思いますので、損害賠償も当然対象に入ってくると思います。それで示談ができれば、執行猶予がつくと思います」

Q.今後の捜査のポイントは何でしょうか?
(亀井氏)
「東谷容疑者の供述に尽きると思います。もし他に何か出てくれば調べますが、基本は供述に帰結されると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年6月5日放送)

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