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　５月１日から８日にわたり、“統一教会”が韓国で大規模なイベントを行いました。３日には教団の関連団体UPF(天宙平和連合)によるピースサミット、７日には合同結婚式が行われ、大勢の日本人が参加したとみられています。さらに、総工費500億円以上ともいわれる新施設『天苑宮』も披露されました。実際に韓国で現地を取材したジャーナリスト、鈴木エイト氏が解説します。

華美で盛大な式典の一方で日本メディアへの警戒心も…

　イベントが行われたソウルから車で１時間ほどのカピョンは、自然豊かなリゾート地として有名な場所です。しかし、ほんの少し進むと、“統一教会”の施設が並ぶエリアが突如として姿を現します。３日には教団の関連団体UPF(天宙平和連合)によるピースサミットが開催され、政治家や宗教指導者など世界各国の要人約1000人が出席。政治家らは韓総裁への賛辞と祝いの言葉を次々と口にしたということです。

Q.現地に取材に行かれていましたが、『天苑宮』などが見えると景色が一変するような場所ですよね？
（ジャーナリスト　鈴木エイト氏）
「見えるところ全てに教団施設があって、広大さと豪華さに少し唖然とします」

Q.いろいろな報道が日本でされましたが、未だに盛大に行われているのですね。
（鈴木氏）
「教団側は報道などおくびにも出さず、全く影響がないかのように、以前にも増した華美で盛大な式典を行ったということに驚きました」

　しかし、教団施設周辺では特に日本のメディアを警戒する姿勢がみられました。取材に行ったミヤネ屋スタッフは一般道からの撮影であっても教団側スタッフに制止され、スタッフによると「一度注意を受けると教団関係者がずっとついてきて、何かしようとすると止められるという状況が続いた」といいます。

Q.特に日本メディアへの警戒心が強かったのでしょうか？
（鈴木氏）
「かなり警戒していて、イベントの生配信映像も日本語だけ見られないようにしていました。また、普通の観光客が撮影するような一般の展望台から教団の施設を撮影しようとしたら、それも制止されました」

合同結婚式には約800人の日本人が参加か

　７日に行われた合同結婚式には、会場での説明によると、オンラインも含め世界150か国、8000組の男女が参加したということです。教団施設周辺には信者らの送迎用とみられる大型バスが100台以上並び、その中には大勢の日本人信者がいたということです。

Q.何人ぐらいの日本人が参加したのでしょうか？
(鈴木氏)
「初めて合同結婚式を受ける信者が、韓国に550人、日本に200人ぐらいいて、700～800人ぐらいが参加したと言われています」

　一方、合同結婚式に参加するためには費用が必要です。１世信者の参加費用が現在は70万円、２世信者は20万円だということです。

Q.参加費用は以前より減額しているということですが、実際はどうなのですか？
(鈴木氏)
「時期によっていろいろ話があって、確かに一度2016年に減額の指示が教団内文書にあったんですが、直近の例で、信仰１世も２世も140万という話もあります」

　結婚相手の決め方は、教団のホームページによると「マッチングサイトに登録すると、全国に配置されたマッチングサポーターというスタッフが仲人のような形で、ふさわしいと思われる相手を紹介する。相手が気に入らない場合、断ることも可能」ということです。

　また、２世信者の結婚には“父母マッチング”が必要だということです。父母とは１世信者である両親のことで、２世信者は相手を選ぶことができません。

Q.このマッチングによって、韓国に嫁いで苦しい生活を強いられて、本位ではない生活をされている方もいらっしゃいます。この方たちの救済を考えないといけないですよね？
（鈴木氏）
「韓国での取材で見た幸せそうなカップルたちを否定するわけでは、当然ありません。ですが、実際に苦しんできた方々がいらっしゃって、その方たちの救済がされていないという現状は何とかしないといけないと思います」

日本人信者の献金で建てられた？「天苑宮」もお披露目

　そして、今回のイベントでは総工費500億円以上ともいわれる新施設「天苑宮」がお披露目されました。

Q.総工費500億円ともいわれていますが、実際はもっとかかっているという話もありますが？
(鈴木氏)
「当初500億円といわれていたのが、内装で高級な大理石を使うということになり、数百億円足りないということで、日本の信者に対する献金の要請額が1.5倍になったと言われています」

Q.天苑宮の建設費は、日本人信者の献金がほとんどだと思って良いのでしょうか？
（鈴木氏）
「そういわれていますし、実際にそういう理解で良いと思います」

Q.何のために建てられたのですか？
(鈴木氏)
「元々は、『“天一国”(教団がいう“天国”のようなもの)と繋がる神殿』という位置付けです。しかも、1000万円以上の献金が必要な天寶(てんぽう)家庭の完遂とセットになっています。明らかに献金を目的としていると思われます」

Q.教団の教会改革推進本部長、勅使河原秀行氏によると「献金というのは、ノルマなどでは全くない。全てが個人の意志で、賛同すればやるということが基本」ということですが？
（鈴木氏）
「天苑宮の上に天正宮というのがあるのですが、完遂記念メダルみたいなものがあります。“完遂”ということは、何か“目標”“ノルマ”金額が決まっていて、それを納めるという…いろいろ言い方はあるかもしれないですが、一定金額が提示されていることは間違いないのではないでしょうか」

Q.今回のピースサミットにはトランプ前大統領がメッセージ動画を寄せたり、トランプ政権時代国務長官だったポンペオ氏が登壇して韓総裁を称賛するなどしていて、違和感も覚えます。
（鈴木氏）
「全体的な違和感はあります。合同結婚式に参加していた２世カップルも多いのですが、ここに参加しなかった、ここまで辿り着いていない、教団から離れた２世たちも大勢います。ここに参加した２世たちは、ある程度従順で、教団と親の意思に沿って、ここに来ているということを考えると、この教団の構造自体の問題、合同結婚式だけではなく制度自体の問題がどうなのかと、改めて考えさせられました」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年5月8日放送)