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【特集】史上最年少初タイトル『藤井聡太新棋聖』誕生!“将棋を教えない”…若き天才を育てた名門杉本一門流が明かす「勝つための指導法」

現役高校生プロ棋士藤井聡太7段が、再び将棋界の歴史を変えました。7月16日、「関西将棋会館」(大阪市)で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局で渡辺明棋聖を破り、17歳11ヶ月、史上最年少でのタイトル獲得という偉業を成し遂げたのです。14歳2か月でのプロデビューから29連勝し、その後も数々の記録を塗り替えてきた藤井七段。そして今回、最年少記録を30年ぶりに更新。プロ入り後わずか4年でのタイトル獲得で”藤井聡太新棋聖”の誕生となったのです。その強さの秘訣は何処にあるのか。ミヤネ屋は藤井さんを育てた師匠杉本昌隆八段を直撃。驚異的なスピードで躍進する若き才能の素顔に迫ります。

その実力に目を留めた!藤井聡太少年と杉本八段の運命の出会い

会見で喜びを分かち合う藤井新棋聖(右)と師匠の杉本昌隆八段(左)

藤井さんは5歳の時、祖母から初めて将棋を教わりました。そして2010年の冬、小学1年生の時、小中学生が集まる研修会でその才能が杉本八段の目にとまります。小学4年生の時、杉本八段に弟子入り。中学3年生になると、史上最年少の14歳2ヶ月で4段に昇段。杉本一門初のプロ棋士となり将棋界に旋風を巻き起こしました。その後も数々の記録を打ち立て、藤井さんの活躍で杉本一門には入門希望者がこれまでの3倍に増えました。

藤井少年 実は別の一門に弟子入りするかも知れなかった!?

杉本八段は当初、藤井さんを弟子にとる予定はなく、別の一門に推薦していたそうです。その相手は同じ愛知県出身の豊島将之二冠。彼も天才と歌われた実力の持ち主でした。

「当時一緒に将棋の勉強会を開いていたんです。彼なら、同じ天才同士、藤井少年の才能がわかるのではと思い、弟子に興味ないかと言いました」(杉本昌隆八段)

その後、縁あって杉本八段の弟子となった藤井少年。

「もし、あの時、応じられていたらどうなっていたかと思います。」
と、今の心境を打ち明けました。

将棋界の名門”杉本一門” プロになるための厳しい掟

プロ棋士までの道のり

14歳2ヶ月という史上最年少プロ棋士の誕生は当時、世間の注目を集めました。それは杉本八段に弟子入りしてからわずか3年後のことです。
プロになるには、まず日本将棋連盟が運営する「奨励会」という養成機関に入会する必要があります。ここでは様々な規定が定められ、21歳までに初段へ昇段、26歳までに三段以上の棋士たちが戦う三段リーグに勝利し四段へ昇段することが取り決められています。リーグ戦で勝利した上位2名のみが四段昇段と同時にプロ棋士の称号が与えられる狭き門。実現できなければ強制的に退会となり、プロへの道は立たれてしまいます。杉本一門ではさらに厳しいルールを設け、「18歳までに初段になること」「20歳までに三段リーグに上がること」としています。

「プロになる道筋を早くつけてあげないといけない。奨励会の年齢制限をギリギリでクリアしているようでは間に合わないんです。」(杉本昌隆八段)

より厳しい年齢制限は弟子たちのその後の人生に配慮したものでもあります。入門当初から特待生だった藤井少年。杉本八段は初めて自らプロになることを勧めたのが彼でした。藤井さんがプロ棋士になれなかったら、引退も覚悟していたそうです。果たして彼のような天才はいかにして生まれたのでしょうか。

藤井新棋聖の強さの秘訣その1「教わると学ぶは違う!」才能を磨く一流の指導法

藤井聡太新棋聖(左)と杉本昌隆八段(右)

「弟子入りした時に将棋を教えなかったことが、今の彼を作ったんだと思います。
7割勝てる将棋は教えられるが、彼は7割の勝利を目指す器ではない。」(杉本昌隆八段)

杉本八段は、藤井さんにはあえて対局指導を指さなかったと言います。師匠と弟子の関係でありながら、上下関係は作らないことをモットーとし、師匠に臆することなく意見を言い合える関係を築いてきました。教わるのではなく、”自ら考え、学ぶ”ことこそ強くなるために一番大切なことだと訴えます。

「自分の手が正しい。自分はこう打つんだという信念が大切なんです」(杉本昌隆八段)

藤井新棋聖の強さの秘訣その2 妹弟子が語る「聡ちゃんのヒミツ」

妹弟子の中澤沙耶女流初段(24歳)(左)

「聡ちゃんは自分の負けた将棋にもしっかり向き合う。その姿勢が強さの秘訣だと思いますね。」

10年以上前から藤井さんと盤上でしのぎを削りあってきた妹弟子の中澤沙耶さん(女流棋士 初段 24歳)です。同じ杉本一門の門下生としてその成長ぶりを目の当たりにしてきました。天才棋士藤井聡太とはどんな少年だったのでしょうか。

兄弟子や、将棋仲間との会話も将棋の話ばかりで、学校のことを聞いてもいつの間にか将棋の話に変わっていましたね。将棋のことを考えすぎて、学校にランドセルを置いて家に帰ってきたことも・・・」(中澤沙耶さん)

中澤さん曰く、幼い頃からかなりの”負けず嫌い”で、大会で自分より少し下のクラスの子に負けてしまい、悔しさのあまり盤上に突っ伏して泣いていたそうです。子供の頃から自分が指した将棋への分析に余念がなかったという藤井さん。棋士らが勝負の後に、何処で勝敗を喫したのかなど、互いに戦いをふり帰る「感想戦」では、通常30分以内に終える棋士が多い中、藤井さんは1時間以上かけていたと言います。

「他の人の感想戦にも加わって、ちなみにこう指したらどうするの?って相手の考え方を知りたがっていました。負けた将棋を振り返るタイプだと思うんです。でも、それは中々できないんですよ」(中澤沙耶さん)

藤井さんは棋聖戦後の会見でも「これからも”探究心”を持って盤上に向かっていきたいという思いです」と語っていました。

無限の可能性を秘めた18歳の若き新棋聖。
次の対局ではどんな一手で私たちを驚かせてくれるのでしょうか。

(読売テレビ 「情報ライブミヤネ屋」7月17日放送分より)

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