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　10月11日、いわゆる“統一教会”の元信者救済に取り組む弁護士らが、“統一教会”について「解散命令請求」を行うよう、政府に申し入れ書を送ったことを明かしました。また、涙ながらに“統一教会”の解散を訴えた元2世信者の女性に対し、教団のアメリカ本部の元幹部がその勇気を賞賛しました。

全国弁連「“統一教会”の解散」求め、文科相と法相に申し入れ

　10月11日に会見を開いたのは、“統一教会”の元信者救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護士らです。“統一教会”について解散命令請求を行うよう、文部科学大臣と法務大臣らに対し、申し入れ書を送ったことを明らかにしました。

「何百億、何千億という被害を違法な献金・勧誘や違法な伝道で搾取しておきながら、過去のものを全く省みない。“統一教会”の姿勢からすれば、教団内部での自浄作用は全く期待できませんから、解散請求を行うほかないと考えています」（全国霊感商法対策弁護士連絡会　川井康雄弁護士）

　解散命令が出された場合、任意の宗教団体としての活動は可能ですが、宗教法人格を失い、税制上の優遇措置を受けられなくなります。

「税制上の優遇がなくなれば、献金等も調査することがあり得るので、資金の流れについて、より突っ込んだ介入ができるのではないかと思っています」（全国霊感商法対策弁護士連絡会 木村壮弁護士）

「国が認めた法人だと信者や家族を納得させる材料になっているので、それを失わせるのは大きいと思います」（全国霊感商法対策弁護士連絡会　阿部克臣弁護士）

　一方で政府は、信教の自由などの観点から解散命令請求については、慎重に判断することにしています。

「信教の自由は大切です。これは守らなければなりません。しかしながら、それを悪用する団体があった場合には、毅然として対応しなければならない。“統一教会”は明らかに宗教を金儲けの道具にしている、宗教法人の名を借りた特殊な宗教団体です」（全国霊感商法対策弁護士連絡会　山口広弁護士）

元2世信者“涙の訴え”、教団解散を求めた会見に賞賛の声

　解散命令の請求を巡っては、“統一教会”の元2世信者、小川さゆりさん（仮名）が10月7日、「日本外国特派員協会」の会見で、「私が正しいと思って下さるなら、どうかこの団体を解散させてください」と訴えました。

　小川さんは、合同結婚式で結ばれた両親から生まれた、いわゆる「祝福2世」です。自身は6年前に脱会したものの、両親は現在も熱心な信者だと言います。生まれた頃から自分の意思に関係なく、礼拝参加や教義本訓読の強制、恋愛禁止などを教えられ、それらを破った場合は「地獄に落ちる」などと脅す教育を受け、両親が多額の献金を繰り返したことで、苦しい生活を余儀なくされてきました。一時期、精神疾患で入院せざるを得ない状況にまで追い込まれましたが、一緒に会見に臨んだ夫の支えもあって回復に至ったのだといいます。

「自分と同じように苦しんでいる、多くの被害者の方々の存在を知り、宗教による被害をなくしたいと思いました」（“統一教会”元2世信者　小川さゆりさん（仮名））

　しかし、小川さんが会見を行っている最中、思わぬ出来事が起こりました。

「少しショッキングな内容ですので、代わりに僕がしゃべらせていただきます。今、旧統一教会の方からメッセージが届きました。内容を要約すると、彼女は、彼女が言っているように精神に異常をきたしており、安倍元首相の銃撃事件以降、その症状がひどくなってしまっていて、多くのウソを言うようになっている。そのため、『この会見をすぐに中止するように』というメッセージが届きました」（小川さんの夫）

　教団から届いたという会見中止を求めるFAX。そこには、両親の署名も入っていたといいます。これに対し、小川さんは表情に怒りをにじませ会見を続けました。

「お金を返しもしないで、『自分たちが正しい』という主張だけを続けている人たちと、自分とどちらが悪なのか。これを見てくださっている多くの方は分かってくれていると私は信じています」（小川さん）

　この会見に対し、“統一教会”のアメリカ人元信者で、40年以上マインドコントロールやカルト研究に取り組む心理学者、スティーブン・ハッサン氏がその勇気を称賛しています。1974年から約2年間“統一教会”の信者で、全米本部の副代表も務めたというハッサン氏。今回の小川さんの会見を見て、「まず初めに、この若い女性を褒めたたえたいと思います。声をあげてくれてありがとう。勇気を出してくれてありがとう」と小川さんをたたえた上で、ハッサン氏はこう続けました。

「私はアメリカでのリーダーでした。文鮮明氏とは直接、個人的に何度も会ったことがあります。この組織は世界中に事業体を持つ、数十億ドル規模の集団です。小川さんが、“統一教会”が税の優遇措置を受けられるかどうかの調査と再評価を求めているのは素晴らしいことです」（“統一教会”元幹部　スティーブン・ハッサン氏）

　そして、小川さんが会見で強く訴えた、「高額献金を規制する法律」の成立や「違法な契約や恐怖心をあおる教義、児童虐待などを理由に団体そのものを規制・解散できる法律」、「困難や虐待にあっている子ども（2世信者）を守る法律」の必要性については、

「日本の人々が“統一教会”に怒り、批判的になっていることを嬉しく思います。世界の人々は霊感商法を知りません。いろんなカルト集団の元メンバーや、人間関係をコントロールされた人たちに、もっと声を上げてもらいたい」（ハッサン氏）

（「情報ライブ ミヤネ屋」　2022年10月12日放送）