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ドキュメンタリーの真偽は?(写真:ゲッティ)

【独自解説】ヘンリー王子&メーガン妃の馴れ初めは「インスタ」?密着ドキュメンタリーがついに公開 予告編は“フェイク動画”で大炎上、イギリス王室の受け止めは

 12月8日、イギリスのヘンリー王子とメーガン妃の密着ドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン」がついに公開されました。予告編で使用されたパパラッチの画像が“フェイク”とされるなど、すでに大炎上しています。唯一の理解者で後ろ盾とされてきたエリザベス女王を失い、英国王室との今後の関係が一層注目されている2人が、密着取材の中で明かした“真実”とは?英国王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏と、デーブ・スペクター氏が徹底解説します。

王室にとっては許し難い内容も…密着ドキュメンタリー「ハリー&メーガン」

ドキュメンタリーついに公開(「ザ・サン」紙)

 12月8日、ドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン」の全6話のうち、前編(第1話~第3話)が公開されました。1年にわたる密着取材で、交際から結婚・王室離脱に至るまで、知られざる夫妻の素顔が明かされるという内容です。

 イギリスメディアでも大々的に報じられていて、『ザ・サン』紙では、ヘンリー王子がドキュメンタリー内で語った「彼女は僕の所に来るために全てを犠牲にしてくれた。だから僕は彼女のために全てを手放した」という言葉を紹介する一方で、「HOW LOW CAN YOU GO?(ゲスの極み)」という見出しや、「HARRY THE NASTY(卑劣なヘンリー)」という見出しが躍り、批判的な内容が書かれています。さらに、『デイリー・メール』には、「あれだけプライバシーにこだわっていたのに、私生活を大公開!」とあり、皮肉を書く記事もありました。

英国王室に詳しい デーブ・スペクター氏

Q.イギリスでは批判されていますが、アメリカではどうですか?
(デーブ・スペクター氏)
「かなり温度差があって、アメリカは夫妻のシンパがあります。イギリスで連日報じられているニュースをそこまで見ていませんし、メーガン妃はアメリカ人で、今はカルフォルニアに住んでいるわけですから、印象操作もありますので、かなり支持されています。イギリス・ロンドンで配信が始まったのは朝の8時ですが、その後丸一日、ご覧のように間違い、検証、細かいところをチェックしているわけですから、イギリスでの受け止め方はほとんど不支持というか、喜ばれていません。ただ個人的に見たときにやはり完成度が高いので、特に二人の馴れ初めやデートのエピソードは楽しく見ました。作りは良いのですが、中立性に欠けている印象です」

2020年、Netflixと超大型契約を結んだヘンリー王子夫妻 (写真:ゲッティ)

 2020年9月、ヘンリー王子夫妻はNetflixと日本円で約224億円といわれる超大型契約を結んでいます。契約の理由について、夫妻は「人々に希望を与えるコンテンツを作っていきたい」としていました。

 しかし公開前にはヘンリー王子側が、エリザベス女王の逝去に伴い新たに即位したチャールズ国王とカミラ王妃への批判的な発言のカット(再編集)を要求しました。しかし、Netflix側は「編集権は我々にある」と反論したため、“契約解除説”もささやかれていました。

ジャーナリスト 多賀幹子氏

Q.そもそも、今回公開されたドキュメンタリー番組は、誰が作ろうと言ったのでしょうか?
(ジャーナリスト 多賀幹子氏)
「やはりメーガン妃が中心ではないかと思います。不思議なのは、映像の中にカナダのバンクーバーの映像が入っていたりするので、一体いつNetflixと契約したのだろう?というところです。王室を出た後に契約発表があったので、出た後に契約をしたのかと思っていましたが、もう王室にいるときから着々とその準備をしていたのではないかと。それでなければ、あのヒースローの空港のヘンリー王子の様子や、バンクーバーの様子が、あんなに細かく出てくるわけはないと思うので、かなりちゃんと計画した上で王室離脱したんだろうということが、よく分かります」

予告編も大炎上!物議を醸した理由とは?

 そんなドキュメンタリー番組の本編公開前、すでに予告映像が大炎上していました。予告編は2本あり、1本目は12月1日に公開されました。

 いずれも、夫妻がロイヤルファミリーとして、様々な苦悩と葛藤を抱えてきたことをうかがわせる内容となっていますが、1本目は2人のプライベート写真が中心で、ラストカットに「なぜこの番組を作ったのか」を答えるインタビュー映像が使用され、波紋を呼びました。また、2本目は12月5日に公開され、2人へのパパラッチを示唆する映像が中心で、これは「(王室の)卑劣なやり方によるもの」と、ヘンリー王子が王室を批判するような内容でした。

Q.この2つの予告動画は短いですが、衝撃的な内容でしたね。
(デーブ・スペクター氏)
「そうですね。簡単に言えば、番宣と同じなので、見て欲しいから多少オーバーに脚色した印象を与えないといけないのですが、間違いがあってはいけないです。これだけ2人がイギリスのメディアに肉薄されて、細かくチェックされるわけですから、少しでも誤解を与えるようなものは、最初から除外すべきだったのに、ばんばん入っているわけですから、これはもう失敗と言えます」

Q.予告の段階から王室批判をしているということで、王室側としてもひやひやしたのではないでしょうか?
(多賀幹子氏)
「そうですね。ヘンリー王子は、『王室には階級制度がある。非常に汚いゲームだ』と批判しているわけですが、その中で自分は王子、国王の息子という非常に高い位置の階級にいたわけです。自分は王子という高い階級のままに、そういうことを言うというのは、非常に矛盾を感じていて、まず王子を返上したり、王位継承を返上してから、『実は王室の中にはひどい階級制度・階層制度があって、これに苦しめられた』ということを言わないと。このお2人はいつもそうですけど、矛盾するものを感じますね」

(デーブ・スペクター氏)
「これだけ厳しい王室だったら、どうして兄のウィリアム王子とキャサリン妃がこんなに立派に毎日公務やっているのかと言いたくなります。予告編の映像の『私はかわいそうでしょう?』と泣いているメーガン妃の後ろをよく見ると、何十万もするエルメスの毛布があるので、どこがかわいそうなのか、と思ってしまいます」

Q.1本目の予告編の公開日は、ウィリアム皇太子夫妻がバイデン大統領を表敬訪問するため、アメリカを訪れた日だったことから、メディアの注目を向けさせないよう画策したのではないか、ともいわれていますが、意図的なものなのでしょうか?
(デーブ・スペクター氏)
「偶然ではないと思います。やはり全部ぶつけています。王室の暗黙のルールでは、Aという人が大事な公務しているとき、あるいは海外へ行っているときに、同じタイミングで自分たちは何もしないというのが大体の決まりです。これは意図的にやっているとしか思えないです」

(多賀幹子氏)
「王室離脱のときも、キャサリン皇太子妃のお誕生日の前日というような日を狙って出しました。それで王室はもう上へ下への大騒ぎで、キャサリン妃のお誕生日どころではなくなった経緯があります」

 また予告編の中では、メーガン妃が泣いている姿を映し出した後、ガラスが割れるような効果音を入れ、次のカットにイギリス連邦記念日での厳粛な表情をしているキャサリン皇太子妃の映像を映し出したことから、冷徹に見えるキャサリン皇太子妃の表情を使った、意図的な偏向編集ではないかとも言われています。

Q.この演出はNetflix側の意図なのか、それともメーガン妃が口をはさみすぎたせいなのでしょうか?
(デーブ・スペクター氏)
「ディレクターはアメリカ人の女性で、かなり腕のいい人物です。Netflixそのものはアメリカで制作していますので、中にはもちろんイギリス人も入っていると思いますが、アメリカの見方だと思います。キャサリン皇太子妃は、ヘンリー王子をまるで弟のように大事にして、大好きだったんです。それを平気で敵に回すというのは、やはりヘンリー王子がメーガン妃の言うとおりにしているという印象も受けます。一瞬だけ目つきの悪い写真は誰だってあるわけですから、それを使うのは、かなりずるいのではないかと思います」

Q.キャサリン皇太子妃は大変人気がある方ですから、この表情をあえて使うことは批判を浴びるというのは想像がつくのではないかと思うのですが?
(多賀幹子氏)
「全くその通りで、逆効果だと思います。わざとらしくこういう顔を持ってきたというところは、メーガン妃の意地が悪いというか、悪意を感じられると思います。ウィリアム皇太子との兄弟の確執もとても深刻ですが、義理の姉妹であるこの女性同士も、なかなか難しいものがあるなと感じてしまいます」

 さらに物議を醸しているのは、“フェイク”とみられる映像の使用です。夫妻をつけ回すカメラマンの映像は、飲酒運転で逮捕された女優を待つカメラマンで、実際には夫婦とは関係のない映像だということです。このような映像は他にも少なくとも3つあげられていて、中には夫妻が出席していない、ハリー・ポッターの上映会のメディアの姿が使用されているということです。
 
 また、夫妻を盗撮したように見えるカットについては、南アフリカを訪問したときに、許可を得て撮影した映像であったにも関わらず、あたかも“パパラッチに撮られた”かのように使用されていました。

Q.なぜこのようなことになってしまったのでしょうか?
(デーブ・スペクター氏)
「2人は『予告編をチェックしていなかった』とも言っていますが、これだけチェックされるのは想定内ですので、2人がチェックすべきだったと思います。これだけの差し替えを、日本でやったら大問題ですし、イギリスでもものすごく問題になります。アメリカだから許される、許すしかないという感じがあります。『これは予告だからイメージだ』という逃げ道はありますが、この2人がずっと主張している苦情がこれですので、だったらせめて正しい映像や写真をつけないと、全体の信ぴょう性がなくなります」

Q.本編も大丈夫かなと思ってしまいますよね?
(デーブ・スペクター氏)
「事実、パパラッチに追いかけられているときもありました。トロントあるいはロサンゼルスのときや、イギリスでも逃げないといけないようなときもありましたが、いざ子どもたちが学校に行くと、イギリス国内だと絶対撮影はしません。それである程度、距離も保っているわけですから、夫妻が言っていることは、少し大げさだと思います」

“フェイク映像”にNetflixも激怒!?王室も今後反論か

予告編公開後の英国王室の反応

 テレビ関係者よると、「Netflixの責任者はフェイク映像に激怒している。予告編の映像がどれだけ怪しいものかを知らず、ヘンリー王子夫妻がそれらを精査し、問題が起きそうなものに注意を払ってくれることを期待していた」ということです。

 そして英国王室関係者には、「最初の数週間は大変かもしれないが、今後は、もうネタ切れだろうと予測もしている」、「ウィリアム皇太子夫妻はドキュメンタリーを見る予定はない」、「ウィリアム皇太子夫妻は王室スタッフに対し、事実でなければ反論するように指示した」ということを話す人もいるということです。

Q.今後、反論や抗議が出てくるのでしょうか?
(多賀幹子氏)
「そうですね。もう前とは違って、ロイヤルの方も黙って見ているというわけにはいかず、間違いははっきりと言いましょうとなっています。エリザベス女王は穏便に、罰するよりも許す、というようなスタンスでしたが、今度はチャールズ国王とウィリアム皇太子が一緒になって、『間違いは間違い』という可能性は大変高いです」

前編に“人種差別的な要素”か、気になる内容は?

メーガン妃に対する“人種差別的な要素”をにじませる内容も(写真:ゲッティ)

 前編で注目されているのが、ヘンリー王子夫妻の結婚にあたって報道が過熱していたとき、イギリス王室のメンバーから「通過儀礼のようなもので、私の妻も同じような経験をした。なぜメーガン妃だけが特別扱いされて、メディアから守られないといけないのか」という発言があったということです。これに対しヘンリー王子は、「『そこには人種的な要素の違いがある』と言った」と話しました。これに対してメーガン妃は、「ひどいものだったが、『何も言わない』という姿勢を貫き続けた」としています。当時の報道内容にはメーガン妃に対する“人種差別的な要素”が含まれていたことを、にじませる内容です。

Q.ここに強いメッセージがあるのでしょうか?
(デーブ・スペクター氏)
「そうなのですが、やはり少し過剰に言っている面があります。今の世の中、そういう人たちが多いわけですから。でもそれを乗り越えて、イギリスの王室を次の時代に、ミックスの人でもプリンセスになれるような、オープンな王室を作ることができたんですが、結局2年足らずのときに諦めてアメリカに行ったのは、どうかなという気もします。もったいない、惜しいんです。本当にそういう差別をなくしたいならば、残って戦うべきだったっていう意見も多いと思います」

 そして、ヘンリー王子夫妻の交際のきっかけを明かす内容もありました。ヘンリー王子は、メーガン妃のインスタグラムの写真を初めて見たときに、「これ誰だろう」と思い気になったということです。メーガン妃は「女友達から『あなた独身よね?』と聞かれた。『あなたのことを聞かれた』って、いったい誰?って感じだった」と話しています。その後、連絡を取り合う仲になったのだということです。

Q.交際のきっかけはインスタグラムだったということで、びっくりですね?
(デーブ・スペクター氏)
「これはとても自然で、とりわけ計算があったわけではないと思います。メーガン妃の方が上で、ヘンリー王子から見ると魅力的な女性だったことは間違いないと思います」

気になる後編は?“禁止映像使用”のウワサも

どうなる?番組後編 (写真:ゲッティ)

 番組後編は12月15日公開予定です。この日はキャサリン皇太子妃主催のクリスマス会の開催日ということでまた、重ねてきたのではないかといわれています。さらに番組後編では、撮影クルーが立ち入りを禁止されていたエリザベス女王の国葬の映像について、「夫妻は何かしらの映像を入手した可能性があり、後編で使用されるのではないか」とイギリス紙で報じられています。

Q.使用禁止映像が使われているという推測が報じられていますが、可能性はあるのでしょうか?
(多賀幹子氏)
「あるかもしれません。また、前編で出てこなかった人物が1人いて、それはカミラ王妃です。チャールズ国王は、愛妻のカミラ王妃について、『何か批判などがあれば、即刻称号を取り消す』と、前から言っておられますので、後編ではそのカミラ王妃が、お母さんのダイアナ元妃の結婚生活を壊した張本人みたいな言い方で批判する可能性がとても高いです」

(デーブ・スペクター氏)
「まだ何を言うのかは分かりませんが、結果的にひょっとしたら、これでイギリス国内のチャールズ国王に対しての支持が、むしろ高まるのではないかと思います。この大変な目に遭わされているという、王室大変だなっていう感じもしますので」

Q.今後、ヘンリー王子夫妻とイギリスとの関係はどうなるのでしょうか?
(デーブ・スペクター氏)
「やはり国王は、あんまり小さいことをしたくないと思うので、おおらかにやるのではないか、という気がします」

(多賀幹子氏)
「1月にヘンリー王子の回顧録、スペアがいよいよ出ますので、これと絡めて国王の決断が出ると思います」

(「情報ライブミヤネ屋」 2022年12月9日放送)

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