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ジャニーズ事務所 被害補償・再発防止策発表

【独自解説】相次ぐCM起用の見送りも…ジャニーズ事務所が被害者救済措置と再発防止策を発表 金銭補償の対象者は?ジュリー元社長が全株を持ち続けるメリットは?専門家が解説

 9月13日、ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所が被害者への補償などの救済措置や再発防止策を発表しました。事務所が抱える今後の課題について、亀井正貴弁護士と企業のリスク管理に詳しい桜美林大学の西山守准教授が解説します。

被害補償・再発防止策の概要

 9月13日、ジャニーズ事務所は、被害者救済委員会を設置し、補償受付窓口を開設して、被害者に対する金銭補償を行うと発表しました。この委員会が、被害者からの申告内容を検討、被害者から直接の聞き取りも行い、補償金額を判断するとしています。被害者救済委員会は、元裁判官の弁護士3人が起用されるということです。なぜ元裁判官が起用されるかについて、亀井正貴弁護士によると「賠償スキーム策定のプロ。納得効果正当性の付与のためだろう」ということです。

金銭補償の対象者は━

 金銭補償の対象者は、ジャニーズ事務所にタレントもしくは研修生として所属していた人、または現在も所属している人で、ジャニー喜多川氏による性加害の被害者となります。またそうした人以外でも、被害を受けたと申告があった場合は、被害者救済委員会に相談しつつ個別に対応を検討していくということです。また、被害を申告した人の所属期間や、被害の時期を理由に、補償を拒むことはないとしています。

元ジャニーズJr.橋田康氏 事務所の対応策について

 元ジャニーズJr.橋田康氏は、ジャニーズ事務所の対応策について「今できる精いっぱいをやろうとしてくれていると受け取っている」と語っています。所属時期や被害の時期で拒否しないことについて、「どんなふうに被害を受けたか、どのタイミングだったかが補償の対象として左右されると安心して手を上げられなくなってしまう」とする一方で「被害に遭っていない、在籍もしていない人が手を挙げ始めたら収拾がつかなくなっていく」とも話しています。

桜美林大学の西山守准教授

Q.この被害補償と再発防止をどう評価しますか?
(桜美林大学 西山守准教授)
「やっと出てきたというところで、前回の会見の段階では具体的なものは出てこなかったのですが、第三者が入って、窓口で専門家が受け付けていると言う点で、内容もしっかりしたものだと感じます。ただ、会見の時点でこれが出されていれば、今の状況も変わっていたかなと思います」

亀井正貴弁護士

Q.被害者が何百人もいるといわれていますが、弁護士3人で全員に会うのは不可能だと思うのですが、この3人をトップにしたチームを作ると考えていいのでしょうか?
(亀井正貴弁護士)
「そういうことだと思います。補償をするにも、基本的な枠組みを作る必要があります。想定される作業は、何人かから聞き取りをして、その損害の深さと、どれくらいの人数が請求してくるかの広がりを見極めたうえで、基本的な金額や支払い方法のひな型をつくっていくのだと思います。実際に話をするのは、この3人では無理なので、もっとフットワークの軽い弁護士をたくさん入れると思います」

Q.被害の度合いをどう金銭に換算するのでしょうか?
(亀井弁護士)
「通常は、そんなに被害が深まっていない状況で交通事故を基調にして相場を決めて損害賠償金を定めていくのですが、今回のケースは10年20年前の被害をどう金額にするかは難しいと思います。また、理論的な賠償の問題もありますが、ジャニーズ事務所を潰さないためには、どういう対応をするべきか、金額の算定はどうするべきかという視点も必要なので、元裁判官を基本に据えるだけでは難しいと思います」

「法を超えて救済・補償」を行う

Q.会見では、「法を超えて救済と補償をする」といっていますが
(西山准教授)
「『法を超えて』と言った以上、ジャニーズが持っている資産であるとか、世の中に与える影響力などもすべて勘案して、金銭的な補償をしていくことが必要だと思います。また、精神を病まれている人も非常に多いと聞きますので、そうした人のメンタルケアをどうしていくのかということも含めて、金銭以外のところをどう展開していくのかというのが今後の課題になると思います。ただ、ジュリー元社長も東山現社長も、まだ多くの被害者と会って謝罪をして話し合うということをしていませんので、まだ出発点に立っていないと思います」

ジャニーズ事務所が取るべき対策とは

Q.藤島ジュリー元社長がジャニーズの株を100%持っていることにメリットはありますか?
(亀井弁護士)
「藤島ジュリー元社長以外の第三者の株主が入って来ると、その人の利害を考えないといけなくなり補償金などのことを決めることが難しくなりますが、今ですと、ジュリー元社長が腹をくくって思い切った補償ができるので、当面はこの体制で良いと思います。しかし、今はいいのですが最終的にジャニーズ事務所が存続するには、ジャニー喜多川氏の関係者は出ていかなければならないと思います」
(西山准教授)
「解体的出直しということが提案されていますし、同族経営が今回の大きな問題を起こした要因であるという報告されています。ジュリー元社長が今後も100%株を持ち続けるということは、同族経営を続けるということになるので、様々な弊害が出てくる恐れがあります。ある程度落ち着いた段階で、少なくとも51%以上は第三者に譲渡する必要があると思います。譲渡先を慎重に検討するのであれば、改革や補償を長期に渡って行うことは可能だと考えます」

相次ぐCM起用の見送り

Q.そんな中でCM起用の見送りも相次いでいます。タレント本人が悪いわけではないですが、ジャニーズ事務所という組織が性加害を見逃していたところを企業は見ているんですよね?
(西山准教授)
「まさにその通りで、今回の発表はそこをケアしたものだと認識しています。ジャニーズ事務所が本当に悪い状況だと感じて、『とにかく最初にこれをしておかないとまずい』ということで出した暫定的なもので、これで十分だとは考えていないと思います。また、CMにジャニーズのタレントを起用している企業も、『これで安心して起用を続けられる』とはならないでしょう。ただ、事務所としては、これをしておかないと、今後広告離れが加速していくと感じて、まず1段階として手を打ったというところだと思います」

(「情報ライブミヤネ屋」2023年9月14日放送)

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